残業日が続いてしまった……もしかしてこれが当たり前になっていくんです?:2
『レガリアちゃん、君の身体は原石によって書き換えられた』
昨夜、ロスに言われた言葉が頭に響く。
鼓動を強める左手の銃は、もはや一つの生命体のようだ。
(原石武器……私を侵食して、新たな生物にでもなるつもり?)
「進めレガリア!もう後が無いぞ!」
隊長が私の背中を押す。
後ろを走る隊長は背中にモンドを背負いながら駅へ急ぐ。
影の怪物と化した村人が追いかけてくる。隊長に殴り飛ばされ半身が削れても勢いが落ちる様子がない。
拳銃から手を離したいが、この手に吸い付く熱い鉄の塊はまるで腕と溶け合っているかのように離れない。
「レガリアッ!」
肩を掴まれた。そのまま無数の腕が私を引き倒す。
物言わぬ怪物達は顔面まで真っ黒だった。
引き金の音が鳴り、再び閃光が走る。
光を浴び、怪物達が姿を維持できなくなる。
首に何かが絡まり背後に引き摺られる。
熱でぼんやりし出した頭を向けると、隊長が心配げに私を見つめていた。
手甲から白輝鉄が伸びている。
「その腕か?」
改めて左腕を見ると、大量の白い糸が腕から生えていた。
白輝鉄のように見えるその糸は、私の持つ拳銃に繋がっている。
隊長が私の手から銃を引き剥がそうとするが──
「熱ッ!なんだこの銃は……」
赤熱した銃はその見た目通り高熱を放っているようだ。
「おい、歩けるかレガリア?最悪お前とモンドだけでも列車に──」
影達の列の背後から、肉を引き裂くような音。続いて羽音、風を切り何かが近寄ってくる。
隊長が荒く呼吸する私の口を塞ぐが、『奴』は正確な私たちの位置を掴んでいるようだ。
風が近くに寄ってきた。
「ほう、これはこれは、イストサイン支部の隊長殿ではないか」
グラドミスの声だ。




