No.1 True face
最近、瞬く間に流行した動画があった。
それは、『Colar night』という題名の歌だった。
SNSでは〔歌がおしゃれ〕とか、〔歌ってる子が可愛い!!〕などとコメント寄せられたが評価されたのはそこだけではなかった。今まで歌が上手いなどの歌に関する評価が多かったがこのグループは他の歌動画とはまた違った。
その動画内では手品を披露するシーンがあった。
そのシーンがSNSでは反響を呼んだ。
その出来事がきっかけでこのグループは数々の人気アイドルグループを生み出してきた"ミュージックパラダイス"からスカウトされデビューを果たした。
そのグループの名前はデビューきっかけともなった題名『Colar night』と名付けられた。
そんな、今人気急上昇中のアイドルの素顔は私立如月学園に通う高校一年生として普通に通っていた。
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「みんなおはよー!」
元気な笑顔で挨拶しているのは、Colar nightのメンバーである宇佐美 ゆう。
アイドルとして顔も整っていて、男女問わずファンが多い。学校では男女問わず仲がいい子が沢山いる。
その横にいるのはゆうとは真反対の暗さのオーラを放
っていてメガネをかけている、いわゆる陰キャタイプの子。クラスではいつもひとりで本を黙々と読んでいることが多く、女子ではゆう以外一緒にいるのを見た事がないくらい友人がいない。名前は木涼 羽依。
「ほら、またあの子ゆうちゃんと一緒にいるよ?なんでいつも一緒にいるんだろうね?」
「さぁ?でも、一緒にいてあげるのがゆうちゃんの優しさなんじゃない?でも全然釣り合ってないねー」
「それ、言えてるー!」
このように羽依はヒソヒソと陰で言われることが多かった。羽依は皆からは嫌わていた。クラスでは浮いている陰キャだった。
階段を登ると廊下に沢山の男子が集まって、お菓子を食べていた。それを見兼ねた羽依は態度が変わった。
「あの…校内にお菓子を持ってくるのは校則で禁止されているはずですが?」
「は?何お前?」
「お菓子は校則違反ですが…?」
「なんでお前にそんなこと言われなきゃならねぇの?だいたい誰にも迷惑かけてねーじゃん!」
「こうやって校則を破ってくからこの高校全体の印象が悪くなって行くんですよ…?」
冷たい声で羽依が言い返す。声色を変えただけでは向こうをひるまない。言い争いになりそうになった時に
ゆうが間に入ってきた。
「まぁまぁ、落ち着いて2人とも。羽依もこうやって先生に見つかる前に言ってくれてるから、羽依も今回は見逃してあげて…ねっ?」
「・・・・・・・・・。」
「はぁ…。今回だけですよ?次からはあまり校則を破らないようにしてください…。」
「羽依もこうやってから言ってくれてるから、次回からはお願いね…?じゃあ、羽依行くよ?」
そう言ってゆうは私の手を引いて歩き出した。
その様子を見ていた一部の女子たちはまたヒソヒソと話し出した。
「また、木涼さんの先生気取りが出た…。別にいいじゃんね?皆やってるし…。」
「ねー。」
「ってかさっきのゆうちゃんの対応見た?神対応すぎっ!」
「流石、ゆうちゃん!惚れるわー!」
羽依が嫌われている理由は真面目すぎるからだ。この真面目さがかえってめんどくさい奴と言われていた。
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「羽依じゃあまた後でねー!」
「うん。また後で。」
ゆうとはクラスが別々だった。だからクラスでは一人になってしまう。教室へ歩いていっていると、一人の女子が目の前にきた。顔を上げると同じクラスの人だった。
「何か用ですか?」
「ちょっとこっちに来て。」
「何で?」
「いいから。早く。」
腕を捕まれ引っ張られ中庭に連れてかれた。
そこには女子が数人群がっていた。
「なんですか?」
女子の群がりの中に連れてかれ私が問いかける。
「まだ、学校に来るの?」
突然の問いかけに思わず呆れてしまった。
「はぁ…、別に来ても何も問題ないでしょう?」
「あのさぁ…いい加減その態度やめてくれない?ムカつくんだけど…?その上から目線でいかにも自分の方が立場が上ですよ的なアピール…なんなの?」
「ならいちいち呼ぶ必要ありました?私と関わらなければ問題ないことですよね?」
「だから…だからそうゆうとこだっつってんの!目障りだから学校に来ないでくれる…?!」
目の前で冷静を保っていた態度が急に変わり出した。
数人の女子に囲まれ私は少しふらついた。
──この空気感がめんどくさい…ほんと女子ってめんどくさい…。
「ってかさっきゆうちゃんが言ってたけどあんた羽依って言うんだ?」
私を嘲笑うかのように別の女子が言った。するとほかの女子もそれに連れて口々に言ってきた。
「マジ?!それってういっちと同じ名前じゃん!!」
「えー!かわいそー!」
ついには私の態度とかの話が私の名前の話になっていた。
──絶対私に対しての当てつけの内容がなくなっちゃってんじゃん…!早く教室戻りたい…。
「別にその話に関しては私は関係ない。アイドルの名前ごときでバカバカしい…。一緒にしないでくれる?」
「はあ?!一緒にしてねーし!!とにかく私たちはあんたのせいで迷惑してるの!!」
「…どういう風に?」
「…っ!なんで…あんたなんかと…Colar nightのメンバーなんかと…っ!なんでりっくんと親しくっ!」
「りっくん…あぁ…李亜の事ね…。私は親しくしてる訳じゃない。全部向こうから…」
──うーわぁ、めんど…
「うるさいっ!とにかくあのグループを汚さないでっ!ういっちが居ないからって好き勝手やってんじゃないわよっ!あんたが…ういっちの代わりになるとでも…?!」
──ういっちの代わりねぇ…なんと答えたらいいのやら…
だんだん教室に帰りづらい空気になってきてしまった…、そう思っていると遠くから自分の名前を呼ぶ声がした。
「ういーーー!」
遠くから李亜が駆け出してきた。
「うい!こんなとこでなにしてんの?HR始まっちゃうよ!ほらみんなも!」
李亜が来てくれたことによりその場は何とかなった。
「ほら、みんな急げー!」
そう言いながら私の肩をポンポンを叩いてきた。
私の方を向いて軽くウインクしてきた。どうやら李亜は私を助けてくれたらしい。李亜のおかげで何とかHRは間に合った。HRが終わり一限目の準備をしている李亜にお礼を言おうとしたが周りの目が気になってしまい言いそびれてしまった…。
4限が終わり私は弁当を持って屋上へ向かった。
普段は屋上へは行けないようになっているが私たちだけ特別に出入りができる。ドアを開けると、既にみんなが集まっていた。
「あー!遅いよー!リーダー!」
「ごめん、みんな…!ゆうちゃんその呼び方はやめて?」
「えー?なんでよー?いいじゃーん!」
「うちのグループにはリーダーなんていません!」
「でも、センターは羽依じゃん!」
実は人気のアイドルグループColar nightのセンターういっちとは木涼羽依の事だった。
だけど羽依は自分の正体をみんなには明かしていない。
「センターとリーダーは違うのっ!とりあえず食べよう!」
「その前に自己紹介の練習をするよー!」
「え?!なんで?!」
「だってー、私たち本格的にデビューしだしたし、デビューしたからには自己紹介つまり自分たちのキャッチフレーズ的なものが必要でしょ?」
「そ、そうだけど…」
「そうと決まれば羽依からどうぞー!」
「わ、私から?!」
「そこはゆうからでしょー?」
李亜がニヤニヤしながらゆうに言った。
「お手本が見たいなー?」
「…仕方ないわね…!いくわよー!みんなの心を撃ち抜くキューピット♡うさみんですっ♡」
──うわぁ、陽キャって恐ろしい…
「ういー…、そんな遠い目で見ないであげて…あれでも頑張ってお手本見せてくれたんだから…。」
「はい次李亜の番!」
「はーぃ…って俺?!」
そう呼ばれて頭を抱えてるのは同じクラスで背の低いことがコンプレックスの黒須 李亜。背が小さいがこのグループでしっかり者?の李亜は意外と頼りになる。
「じゃ、じゃあ…行きますっ!…背は小さくてもみんなへの愛情は大きい!りっくんだよー!」
──恥ずい…帰りたい…!というかういがまた遠い目してる…!
「んー、ふつー。」
「うるさいなっ!ゆうだって普通じゃん!」
「はい次ーえーと、じゃあるぅ!」
「えー、僕ー?」
ほわほわした喋り方をしているのがこのグループの癒しキャラ嶺崎 瑠伊。るぅとはゆうと私は幼なじみだ。だから互いにあだ名で呼びあっている。
「みんなの心の癒しになぁーれ、るいっちでーす!」
るぅはファンからは羽依と同じ愛称で呼ばれている。
「なんかそれ、キャラがずるいなぁ?」
「ゆうちゃん、り、理不尽…。」
──ショックの受け方尋常じゃないんだけど…そんなショックだったんだ…
羽依は無意識に遠い目をしながらツッコミを入れた。
「はい次はー、お待ちかねの琥珀くんでーす!」
「…やらねーよ…。」
冷たい目で拒否したのは、このグループのクールキャラ登希 琥珀。歌っている時以外笑ってるを見た事がないくらい無表情だ。そこが琥珀の人気のひとつなんだろう。
「えー、ここまで来てやらない、はないと思いまーす。」
「やらねーって言ったらやらねーよ。」
「そんなこと言っていいのかなぁー?朝、羽依が校則違反の子を注意しに行った時のこと言っていいのかなぁー?」
「おいっ!バカっ…!」
「なんの事?」
「羽依が朝校則違反の子を注意しに行った時の事を琥珀に言ったらものすごく心配してたぁー。」
「そうなの?琥珀?」
「・・・・・・・・・。やればいいんだろ?」
「はい、そうでーす♪」
「こはくんこと琥珀…です…。」
「えっ⁉それだけ?!」
「…他に思いつかねぇ…。」
「そーだねぇー、こーくんは飾るとキャラが崩れちゃうもんねー。」
るぅが言うことがあってるかもしれない。琥珀はクールなキャラだから下手に飾らない方がいいのかも。
「はいじゃあ次ー、最後のちゃんと決めてよ!リーダー!」
「やるのぉ…?」
「お願いしまーす!」
「センターのういっちだよー♪私のマジックでみんなも私に目が離せなくなっちゃうからねー!」
──はい、恥ずい。
「何この子?!可愛すぎっ!合格ー♪」
ゆうが暴れだした。
──これって試験だったけ…
「ういー、遠い目になってる…!なってる…!」
「これで、全員終わったわね!」
ゆうが満足した顔で言った。
「昼休みあと10分しかねーぞ?」
「へっ?うそ?」
「ほんとだねー、うーちゃんとゆうちゃんは全然食べてないんじゃない?」
「やばい!」
慌てて弁当を食べたが時間がなかったので半分残してして屋上から出ようとした。
「やばい!あと5分で授業始まっちゃう!」
「ゆう急いでー!」
「ういー、次移動ー!」
「李亜ほんと?!ごめん!ゆうもう行くね!」
私たちはゆうに手を振りながら屋上を出ていった。
──そういえば、李亜に言いたいことがあったような
「あ…!そういえば、李亜!今日、ありがと…。」
「んぇ?あぁ…あのことか別にいいけどまたなんかあればちゃんと言えよー?あーゆうのめんどくさいだろうし…。」
──やっぱり李亜はなんでも見抜いてる…。
「うん。わかった。あ、あとこの事あんまりみんなには言わないで欲しいの…。迷惑かけちゃうから…。」
「…わかった…。その代わりちゃんとみんなをもっと頼れよ?」
「うい…。ありがと…。」
今まで特に問題なく過ごせてるのは李亜のおかげかもしれない。そう感じた。




