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浪人日記  作者: クスクリ
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1977年10月前半Ⅲ

 10月12日(火)

 今日は朝方5時頃から漢文の方に目を向けた。どんな風に勉強するか頭が混乱したが、漢和辞典があることに気付いた。結局そのまま一時間ぐらい、漢文について、ただ考えた。

 目が覚めたのは11時だったが、睡眠時間が少なかったのでもう少し寝た。昨日と同じくおにぎりを買うつもりだったが、今日は水曜日。15分延長したが、焼きそばを食った。

 相変わらず、14時から17時までの三時間が辛い。睡眠の誘惑に屈しそうだ。出だしは良かった古文単語の瞑想確認も眠気のために時間が予定より遅れた。19時からまた本屋に行ってみた。


 解説;――今日は水曜日。15分延長した――この部分の意味が分からない。


 10月13日(水)

 夜食にと思ってAコープのおにぎりを二パック買った。夜中12時、きつねどん兵衛と一緒に食ったが、そうまで腹が減ってなかったのか、あまり美味く感じなかった。

 あまりにも眠いので、いつも取る休憩時間を、14時からの1時間、昼寝に当てたが、散歩した方が良かったかな。

 久しぶりに豊田の家に行ってこの前借りたミュージックカセットを返し、太田裕美のカセットを借りようと思って夜中の12時頃に出掛けたが、あの野郎、早くも寝ていた。

 19時半からの木曜スペシャルでハイエナとリカオン生態記録映画をやっていた。


 10月14日(金)

 例え10分でも、十分に確実に睡眠を取ってすぱっと勉強に取り掛かれるようにしようと、12時過ぎまで寝ていたが、これでは脳が覚醒しない。11時頃に起きて勉強開始まで猶予時間を置く。今日も何度ももう眠ってしまいたいと心が折れそうだったが、何とか堪えた。

 新幹線宿舎(俺ら家族が住む古い木造長屋の鉄道宿舎と広い通路挟んで向かい合う)の奥さんだが、気になる人が居て、勉強の気が削がれる。妙に懐かしい顔をしているのだ。誰かに似ているのか。こっそり気取られないように、今日も望遠鏡で覗いて見た。そう、感じが太田裕美に似ているのだ。


 解説;もうあれから40年、俺が還暦なら、あの人は70はいっているな。少しはあの頃の面影、残っているのだろうか?瞼の綴じれば顔は完璧に思い出せる。新幹線宿舎は若い夫婦が多かったが、あの人を奥さんに出来た旦那が心底、羨ましかった。

 喝!年上の人妻に懸想する暇があったらしっかり勉強せい、とあの頃の俺に言ってやりたい。


 10月15日(土)

 10時はあまりにも早かったので、六畳の賢二の部屋から毛布をかっさらって居間に行き、12時ちょっと過ぎまで寝ていた。

 庭に出たら、花の周りでカラスアゲハが一匹、戯れ飛んでいた。もうちょっと接近して見たかったから、部屋から望遠鏡を持ち出してきたが、既に消えていた。折角だからバードウォッチングの真似事でもしてやろうと、泣いていた鳥に向けたら飛び去りやがった。

 寝ていた先日より早い時間の11時に豊田の家に行ったのだが、呼び出すのにちょっと躊躇った。夜中だから。奴と話す話題はいつも決まっている。政治問題・社会問題・学問、特に社会学と言えばマルクス。今長崎でバス乗っ取り事件が起こっているが、それについてぎゃーぎゃー言っていた。豊田の家に来る前に、「頭の体操」を見ていたので、それを豊田に出題してみた。

 深夜2時に家に戻った。二男の賢二が俺の部屋からラジオカセットを持ち出して寝ながら聴いていたが、途中から小椋佳を聴き始めた。あの野郎、俺のミュージックカセットまで持って行きやがったんか。

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