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赤字領地を押し付けられた無能文官、数字と仕組みだけで静かに成り上がる  作者: 蒼野湊


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第94話 名前の重なり

 記録は、積み上がっていた。


 判断の数だけ、

 名前が残る。


 数字の横に、

 人の名が並び、

 その下に、

 短い理由が続く。


> 判断理由:間に合うと判断

> 判断理由:優先度高と判断

> 判断理由:迷いあり


 曖昧な言葉。

 だが、

 消えない。


 午後。


 若手官僚が、記録を見ながら言う。


「……似ていますね」


「何がだ」


「判断理由です」

「同じような言葉が多い」


 レインは、静かに頷く。


「似ているのではない」

「重なっている」


 沈黙。


 判断は一度きりだ。

 だが、

 似た状況は繰り返される。


 そのたびに、

 誰かが迷い、

 誰かが選ぶ。


 名前が変わるだけで、

 構図は同じだ。


「これを、基準化できますか」

 若手が問う。


「できる」


 レインは即答する。


「だが、しない」


 短い言葉。


「なぜですか」


「基準にすると、

 名前が消える」


 それが理由だった。


 ルカが、壁際で笑う。


「ようやく分かってきたな」


「最初から分かっていたつもりだった」


「つもりだな」


 軽いやり取り。


 だが、

 空気は以前より柔らかい。


 夜。


 帳簿を見る。


 数字は整い、

 記録も増えた。


 だが、

 どこにも“正解”はない。


 あるのは、

 重なりだ。


 似た選択。

 似た迷い。

 似た後悔。


 それが積み重なって、

 制度になる。


 俺は、静かに言う。


「それでいい」


 誰に向けた言葉でもない。


 だが、

 レインは頷く。


 成り上がりは、

 一つの答えに辿り着く物語ではない。


 **似た問いを、

 違う名前で繰り返す物語だ。**


 窓の外は、静かだ。


 制度の中で、

 名前は消えずに残り、

 少しずつ重なり始めていた。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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