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赤字領地を押し付けられた無能文官、数字と仕組みだけで静かに成り上がる  作者: 煤原ノクト


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第14話 まず、止める

 翌朝。


 俺は、現地役人全員を集めた。


 会議室の空気は、重い。

 警戒と不満が、隠しきれていない。


「今日から、三つだけ決める」


 前置きは、しない。


「一つ。

 すべての“臨時支出”を凍結する」


 ざわっと、声が上がった。


「二つ。

 支出は、必ず“担当者名”を記載する」


「三つ。

 金の出入りは、一本化する」


 年配の役人が、声を荒げる。


「そんなことをすれば、

 現場が回らなくなります!」


「回らなくなるのは、

 回してはいけない金だ」


 俺は、淡々と返した。


「必要な支出は、止めない。

 だが、“理由を説明できない金”は、今日で終わりだ」


「……横暴です」


「横暴でいい」


 俺は、即答した。


「これは、改革じゃない。

 応急処置だ」


 誰かが、小さく舌打ちした。


 だが、構わない。


 昼。


 城下の取引所を回る。


 商人たちの反応は、意外だった。


「……止めるだけ、ですか?」


「ああ。

 増やすのは、後だ」


「正直、助かります」


 そう言って、肩の力を抜く者もいる。


 無意味な手数料。

 不透明な徴収。


 それが止まるだけで、

 現場は息をする。


 夕方。


 若い役人が、青い顔で駆け込んできた。


「大変です!

 役所の一部で、支払いが止まって――」


「どこだ?」


「“特別管理費”の部署です」


 俺は、うなずいた。


「予定通りだ」


「え……?」


「そこは、

 止まって困る理由がない」


 若い役人は、言葉を失った。


 夜。


 臨時の収支表を作らせる。


 たった一日。


 それだけで――

 支出が、目に見えて減っていた。


「……こんなに?」


 若い役人が、呆然と呟く。


「増やす改革は、才能がいる」


 俺は、静かに言った。


「だが、止める改革は――

 覚悟だけでできる」


 役人たちの顔が、

 少しずつ変わり始めていた。


 反発。

 不満。

 そして――理解。


 この領地は、

 今まで“何も決めてこなかった”。


 だから、

 止めるだけで、

 数字は動く。


(――次は)


 この凍結に、

 必ず誰かが耐えられなくなる。


 そこで、

 本当の敵が見える。


 俺は、帳簿を閉じた。


 改革は、派手じゃなくていい。


 止める。

 決める。

 守る。


 それだけで、

 領地は、変わり始める。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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