災厄、その元凶は
くそっ。明らかに頭数が足りない。しかも、元々の存在意義が、「完全な殲滅」――そんなものに慈悲などない。一般市民と戦闘員、その区別すらしない。これは確かに「パンドラ」――災厄だ。こんなもの、俺たちだけで大丈夫なのか? とはいえギアはもうこれ以上増やせない。
「ターゲット確認。排除行動開始スル」
電子的な音声がした。
「くそっ!」
反射的に加速し、体にGがかかる。だがそんなものどうした。ロングソードを形成し、切りかかろうと――
「っ……!」
してやめる。そこにはもう、生き残った者など存在しない。すべてが赤く、黒く染まる。
意識せず涙が零れ落ちる。これが俺が選んだ選択の先にあった未来か。こんな、こんな未来を求めて俺は戦ったんじゃない。ふざけるな。
「お前らああああああっっッッ!」
「avalanch system auto personality open limit over」
神速、その言葉の意味を超越した速度で奴らを破壊していく。破壊したパンドラの破片が装甲に覆われていない服に突き刺さり、血の染みを作る。そんなものに構いはしない。こんな傷、すぐに治る。それよりも、俺が原因で死んだ人達のほうがもっと、もっと――
「はあっ、はあ……」
パンドラを完全に破壊した。跡形もなくなるレベルで。
そして、思う。この状況を打破するには、オリジンを潰すしかない。この前の改良型も然り、そもそも通常型でさえ倒せるのはで俺たちだけ。となると、元を潰すしかない。
「こちらアヴァランチ。パンドラ全機の活動停止を確認。帰投する」
「わかりました。今のところ新たなパンドラは確認されていません。一度休息をとってください」
スラスターを吹かし、三機が空を舞う。