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最弱にて最強の  作者: 凪
9/50

九幕目 奴隷達との夕餉

 少し改定しました。

 迷霧が泣きやむまで、待っていたと話すとすぐに開放された。

 神様がらみはこちらでも特別みたい。


「お帰りなさいませ。凪様」

部屋に戻ると、留守番組みの真風と炎が挨拶する。


「凪様。夕餉ゆうげまで半時ほどです。湯浴み(風呂)ですが中松様が気を利かせてくれまして、七の刻(午後七時)から九の刻(午後九時)まで借り切り風呂もみじの湯が使えます。広いので六人全員で入れます。御背中は誰に洗わせますか」


 真風が聞くが、夕餉は夕食で湯浴みは風呂だよね。

 えっ。貸し切り風呂。体を洗ってもらうのですか、全員で一緒にお風呂に入るの。出会ったその日に混浴ですか。

 中松さん説明不足なのに気を利かせすぎです。

 取りあえず保留にしよう。


『和風ちゃん達とお風呂入るの。おふろ~』

 火は楽しいみたいだね。

『精々楽しみな。くくくっ』

 伝承どうりの性格だったんだね。草犬君は。

『火と植よ。静かになさい。風の名の人よ。他の精霊は我、水と土で抑えますから、ゆっくりとお疲れを取って下さい』

 ありがとう。 水と土の精霊さん。



「夕餉まで、少し話そう」

 自分が話す。時間稼ぎ。

 円になるように座らせる。

 真風がお茶を皆に入れる。


「迷霧は何故、忍者を隠す」

「知られたくないからです。今の藩主様には、戦国の頃は決まった主に仕えず、雇われ忍だったので藩主様に使い潰されるか、不審がられて皆殺しにされるかもしれません」

 迷霧ちゃん。辛い立場だね。

「流れ忍」

「はい。売られたのは村の年貢が払えなかったからです。我は五人兄弟の三番目の一人娘でした。兄弟皆から可愛いがられましたが。忍者を知られたくなく。娘の我が売られました。長男が心配して良い主人に巡り会えた時のみ、持てと道具を隠してくれました。すべては年貢です。獣人は三年前より、年貢が三倍になりました。御公儀の方針だと」

「御公儀は人間族以外を偽人にせびとと勝手に名づけ、人間族以外の藩を潰す感じがします」

 ひめの憤慨しながら話にはいった。話しを続ける。

「その偽人の力を戦国の頃は、散々当てにしたくせに」

「三崎藩が我ら龍人と獣人を僻地の開墾にあたらせたのも、御公儀の命との噂が。我が売られたのも、年貢です。開墾中なので年貢なんてとても払えないのに」

 炎が話すが機嫌が悪い。


「話しを替えよう。皆の事が知りたい。ひめのは加護の事は知られたくなかったの」

「は、はい。風大精霊様の加護を受けし者は、今まで我も含め四人のみ。百十二年振りです」

「少ないな」

「少なすぎるからこそ、秘め事にしました。特に御公儀には力ある者は幕命で無理やりか、人攫い同然に連れ去り、奴隷魔道具より更に強い魔道具で、武具として死地に行かされます」

 また、公儀か。

「戦国の世を終わらせた。初代将軍様が八年前に他界され二代目となり。イキガミ正義教なる、不審すぎる宗教が取り入ってからです。偽人と言い始めたのは」

「落ちついて。今は皆の事が知りたいから。ひめのはエルフって知ってる」

 ひめのは驚愕の表示を浮かべた。

「森人族のみに伝わる種族の名をどうして、御存知なのです」

「日本ではなく、海の向こうの国にある伝説。映画じゃ駄目、芝居で有名になった。耳が尖っていて弓と魔道が得意な種族。森と生きる。それがエルフ」

「確か今日初めてお会いした時も森人は伝説と・・我ら森人の特徴ですが」

「琥珀に真風は知っていた」

「存じませんでした」

 真風が代表。

「一族でも限られた者にしか、教えれませんから」

「それなら此処での話しと越後屋の六人だけの話しにする。矢上神家の忍者道具と魔道の事は秘め事で頼む」

 五人の首輪の黄色の石が鈍く光った。


「誰かきます」

 迷霧 忍者の子。さすが。


「失礼します」

 襖が開き女中が聞く。

「夕餉が整いました。お持ちして宜しいでしょうか」

「お願いします」

「失礼します」

 女中さんから、料理をのせた黒い膳を受け取り、真風が自分の前に持って入ってくる。

 

 後の五つは廊下にある。真風と迷霧に炎が中心となって紅い膳とおひつと鍋を持ってくる。

「えっと」

「主人の身の回りは我らの特権です」

 真風よ。少し怖いよ。

「我、ひめのにさして下さい」

「ひめ。でも給仕は」

「初めてです。それに、ひめのです。凪様、我に盛り付けをさして下さい」

「お願いします」 

 ひめのちゃん。盛り付けで必死にならないで。

 真風と迷霧ちゃんの指導の元、ご飯と汁物の盛り付けが終わる。六人分を盛り付けさしたけど。ひめのちゃん不器用すぎ。


 「あれ、膳の色が違うだけと思ったら、料理の皿が二品多い」

「主人と違うのは、当たり前です」

 そうなの真風。

 小鉢と細長い皿が多い。

 小鉢の方は、椎茸と白菜の煮物だ。白菜?日本で一般的に食べられてる白菜だ。

「真風。この野菜は白菜かい」

「はい。白菜です」

「大陸から入ったの」

「どうでしょうか。昔から有りますから」

「日本では、明治、いや、百年ぐらい前に大陸から入ったから」

 日乃国原産なら、かなり生態系が違う。虎も居るし。

「細い皿は肉料理なの」

「猪の魔獣の肉ですね」

 さすが虎娘の琥珀。肉は詳しい。

 魔獣も種類によっては食べると聞いてだけど、魔獣のステーキ肉は初めてでた。

「肉は、皆で分けてお食べ」

 近くにすかさず陣取った、迷霧に皿を渡す。

「宜しいので」

「肉は苦手。それに、種族的に肉が好みだと思うけど」

「ありがとうございます。頂きます」

 迷霧ちゃんは、ペコリと御辞儀をすると、ひめの以外と分け合う。

「ひめのは」

「森人は野菜か果実のみです。肉や魚は、体が受けつけません」

「ベジタリアンなの」

「べじた何です」

「ベジタリアン。菜食主義」

「主義で無く、体が受け付けないのです」

「そうなんだ。じゃあ、温かい内に食べよう。お代わりは、自分でする事」


「「はい」」


 全員良い返事です。じゃあ手と手を併せて。

「いただきます」

「「えっ」」


 自分の言葉に全員が固まる。

「いただきはしますが。あの凪様」

 ひめのは少し慌てた感じで話す。

「中松さん達も怪訝な顔してたけど。変かな」

「我等は、全ての神様と仏様に感謝いたします」

 ひめのが代表で答えた。

「やってみて」

「食事と平穏無事を全ての神仏に感謝いたします」

 各自が唱え、五人が合掌した。

「仏様はあるんだ」

「はい」

 ひめのは満面の笑みで答えてくれた。

「説明は後、冷めるから。この赤い食べ物は何」

 皿に二つある。赤く円になっていて、真ん中あたりが黄色の円になっている。初体験。

柿衣かきころもです。干し柿に真ん中が栗で、油で揚げ、輪切りにした食べ物です」

 真風が解説してくれた。

「干し柿を揚げた。初だ」

 食べてみた。不思議だ美味しい。


 五人の奴隷との初めての食事は、楽しかった。


 でも、炎と琥珀でお櫃の米が、無くなった。

 食費は、どうしよう。

 もみじの湯は、どうしよう。


 柿衣

参考文献

別冊歴史REAK 江戸の食と暮らし

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