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最弱にて最強の  作者: 凪
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四十一幕目 今夜からの宿は。

 再勉強してました。

 特に萬川集海ばんせんしゅうかい万川集海まんせんしゅうかい?を勉強してました。

 少しややこしいと思いますが、天領の呼び名が本来は作中のままです。

 町田様の一喝で、笹が杷から手を離す。ひめのが精霊風魔道を放つ前でよかった。


 護り人の札も出来てきたので受け取る。

 八人が其々の札の内容の確認をする。主人である自分の魔道力でも反応するか確認する。OK。

 中松さんから提案があり、色が違う紐を用意してくれるそうだ。札は魔道力を込めないと見た目での区別ができないから、紐の色で判別との事。中松さんに感謝。

 中松さんの説明によれば、盗賊の討伐の時に、首から紐で札を下げて見える様にして区別するんだって。首から紐でさげる名札の感じみたい。


 役人から紙の束を渡される、そなえ(チーム)用の手引き書だ。

 紙には絵が描いてある、文字は有り難いことにくずし文字じゃない、くずし文字は学が無い者でも読める様に、手引き書等には遣われないとの事。部数が必要な書類や本は、豊家が持ち込んだ、印と木版を使う印刷技術が役に立つらしい。。

 討伐が受けれる七級になるまでに、屋号やごうの形、鉢巻はちまきとたすき、掛け手襁たすきまたは、陣羽織の色を決めろと役員に言われた、襷等の見本も載ってるが、よく判んないです。中松さんが軽く頷いた。後で教えて貰おう。


 皆で城に向かう道すがら、中松さんが簡素に解説してくれる。

「屋号はそなえ(チーム)を表す標で、備の家紋にあたり、鉢巻きの真ん中に屋号を入れ、頭に巻きます。紋は、侍と許された家にのみで御座います。家紋と屋号は別になります。屋号であれば、商人や町人でも持てます。

 襷は、着物でも動き易く乱れぬ様にする、たすき掛けの襷です。

 掛け手襁は楕円だえんの形をしており、屋号と備の名が書かれ、首から片手を掛けまする。掛け手襁と陣羽織のどちらかを選びます。

 四つの品共魔道力を込めれば暗闇で、蛍の様に光まする。念じれば止みます。四つの品は共大討伐のみ入り用になりますが、商人の警護なら一目で護り人が付いていると判るので、盗賊も襲わないかと。

 初めて訪れる村では遠目からも解り易いかと。護り人を頼むのです、何らかの騒動が起き周りをいましめておりましょう。無用の騒動を避けれるかと。

後、造る時に人数分の金子が入り用で御座います」

 光るのか、便利だね。

 やっぱり、お金必要だよね。襷、一筋すじ(襷の数え方)の値段にチームの文字数で加算される。ここは日本と同じだ。

 襷は応援団や着物の乱れ防止のためにする、掛け襷だ。他の品と色揃いにするチームが多いとの事。

 掛け手襁は紙を見ると絵で解った、選挙で候補者しているタスキ。または、新人歌手が宣伝用にしているタスキに似ている。 

 鉢巻きは、頭に巻くハチマキです。真ん中に屋号かチーム名をいれるんだって。他に防御の品を付けるのもあるそうです。

 陣羽織は、絵を観るとチャンチャンコの様に袖がないのと、新撰組の陣羽織に似た、袖があるタイプもある。

 色と模様は様々で、背中に屋号か刺繍をいれたり、襟元や胸元、背中等に備のチーム名と屋号を入れ、全員お揃いにする。日本なら、チームでお揃いの色のジャケットやTシャツを着る感じだ。

 鉢巻きと掛け手襁、陣羽織はチームを区別しやすいし、確かに昼間でも遠くから見やすいと思う。

 まあ、七級迄にゆっくりと考えるか、其れともパクろうかな。




「もう一度、三崎のお城に入れる日が来ようとは・・・」

 城の天守閣が見えてくる所で、炎が感無量の様子。自分が炎に尋ねる。

「炎、城には」

「家は百五十石でした。中ぐらいで御座います。

龍善りゅうぜん(前の藩主)様の頃は、身分の隔たりなく中庭の桜の花見に入れました。

 改易の沙汰が下ったおり、中庭で藩主様が家臣と家族一人一人に、御言葉を掛けて下さいました。

 良民、家臣思いの藩主様でした」

 そっか、優しい藩主だったんだ。ん?三崎のお城?前の藩は潰されたのに、今も三崎藩なのは?

 ひめのに質問したら、藩の名は土地の名が多く、大抵は名を替えないそうだ。

 日本でもあったな、オーナーが代わっても社名を変更しない事が。

 代々地方を治めている主家の苗字が、土地の名になり、藩の名にもなっている藩が少しあるそうだ。その場合も藩名は変更しないとの事。

 例外として、普請ふしん大名(公儀に近い大名)は、藩の名を変更する事がまたにあるそうだ。親近の御三家が転封した時が、有名なんだって。日乃にもあるんだ、御三家。

 もう一つの例外は、小さい藩が潰され、他の藩に吸収合併する場合だ。吸収する藩に統合する場合、大抵は吸収する藩の名に、たまに新しい名に変更する場合があるんだって。平成の市町村合併の感じを受けた。


 堀に掛かる橋を渡る、門番に町田様が話し掛ける。あっさりと通された。

 

 城の中に通され畳敷きの部屋で、九人で待たされる。みりあは御高祖頭巾をとって素顔だ。みりあはヤッパリ、ブロンドヘアーの美人さんだ。隠さなければならないのが、勿体無い。

 三十分位待たされる、声が掛けられる。全員正座に座り直す。

 襖が開かれて中松さん、町田様、そして中年男の国家老の山崎が他に四人の家臣を従えて入ってきて、山崎が上座に座る。

 中年の二人はが胡座あぐら座りだ。町田様は他では正座だったのに、胡座だ。若い二人は正座だ。年代別で別れてるのかな。全員座布団無し。

「寿殿、まさか森護の姫と唐五の二大名家の御息女。菜山の姫を二人も、ましてや菜山の異人軍師の御息女を百九十六両の金子で身請けされるとは、この山崎、感服致しましたぞ」

 あれ?炎と迷霧ちゃんの話しがない。

えにしかと、巡り合わせは」

 自分が話すと国家老の山崎が話す。

「誠に遭逢そうほう(出逢い)は奇異な事よ」

 山崎が自分を見て含み笑いかな?

 山崎が話しを続ける。

「炎と申す、龍人間族のおなごは龍善様の家臣の娘と聞き及ぶが、如何いかがか」

「父は龍善家の家臣で御座いました」

 炎が答えた。

「龍善様の家臣団の処遇は、御公儀の政事まつりごと(政策・政治)だ。我が御館様の御政道せいどう(政策・政治 政事の別称)ではない。

 年貢の三倍は、年貢が軽い家のみの御公儀の沙汰だ。名倉家も龍善様も、種族の訳隔たりなく年貢を軽くしてたのが、目障りのようだ。

 それに名倉家にも、土人つちびと族と土中つちなか族に鳩族の家臣が居り、御公儀は放逐ほうちく(追放)せよと迫るがな、我とて共に苦労した同胞を見捨てれぬ」

 大名も公儀のやり方に不満があるのか、武具、身分と職に家禄かろく(給料の米)を取り上げられ、僻地の開墾に年貢三倍なら、何時反乱が起こるか気掛かりだ。龍人間族と獣人族は怒らせない方が懸命だ。

 家臣も見捨てれないよな。三崎の見方が少し変わった。

 でも、迷霧ちゃんの評価がない。一番の掘り出しモノなのに、忍びの者を隠してるからかな。自分によくなついてる、可愛い狐ちゃんだよ。


「我が主家、名倉家とて、先祖代々の国、塩沢しおさわ(旧藩・前の領地)から幕命で国替くにかえ(大名の移動・転封の別称)され、知行ちぎょう(棒禄・家禄米の事)が十万石増たが、金剛石こんごうせきと岩塩の鉱山こうざんが御公儀のしはいしょとなった。

 それに龍善家の銀と石炭の其々の鉱山が、綿の畑の殆どがしはいしょにされた。本来なら国替えした、名倉家の所領しょりょう(そょりょうとも。知行の別称。領地)となるのだが」

 山崎が忌々しそうな表情をしたが、しはいしょは何だ?

 誘拐されてきた時に受けさせられた、中松さん講座で知行、所領は解るがしはいしょはなかったな。物知りひめのに質問しよう。

 

「御家老」

 町田様が山崎に声を掛ける。 山崎が喋りすぎたと思ったみたいだ。

 金剛石?確かダイヤモンドの事だったよな、日本では。

 名倉家が岩塩のとれた藩だったのか、塩沢ね、如何いかにも塩がありそうな名だな。

 菜山も塩の製法を狙われ潰されたからな、他人事ではないだろう、十万石の加増でも利が薄いのか、銀と石炭の鉱山、綿の栽培地まで奪われたのが不満か。それとも故郷を奪われたのが不満なのか。龍人間族と獣人族という針のむしろに座らせるている感じなのか?

 公儀の政策の皺寄しわよせか。

 公儀のしたい放題だな、その内に日本の由井ゆい 正雪しょうせつの様にクーデターを計画する者が現れるぞ。


「今宵から、城内の脇本陣わきほんじんを宿にされよ。龍人間族の武具は御館様が許された、朝方に武具倉にて、武具を選らばれよ。

 皆も修練がいりもうそう、中松に案内させる故。ゆるりとくつろがれよ」

 家老が部屋を出て行く。後には中松さんと町田様が残る。


 中松さんの案内で、脇本陣に移動する。脇本陣といっても平屋の一軒家で、長期間泊まる技術者等の宿泊施設だ。

 殿様とその家族は、城には住まず、近くに建設した本陣で生活するんだって。

 城は、砦と役所の合併の様に使用してると中松さん講座から受けて感じた。

 物知りひめのの話しだと、脇本陣は大名の移動中の家臣用の宿泊施設の意味もあるそうだ。公儀の命令で整備中の街道の宿場に、本陣・脇本陣の建設が急がれている。

 自炊が基本だが、夕食と朝御飯は、食材の用意がないので、城から持って来てくれるそうだ。


 中松さんの案内で、脇本陣に入る。

 大きめの火鉢がある十畳程の居間らしき部屋に入り、設備の簡単な説明をして、中松さんと町田様退場です。


「ひめの、しはいしょは何んだい」

「日本には、御座いませんか。御公儀、上様の所領で御座います」

 支配所・支配処と書き、しはいしょ・しはいじょと読み。通称で御料、おりょう。御料所、ごりょうしょ・ごりょうじょ。御料地、ごりょうち。公儀御料、こうぎごりょう。

 代官所はだいかんしょと読み、代官が管理する土地を意味する。

 代官の建物は、本陣か代官本陣とひめの先生。

 支配所は公儀のみをさし。代官所は公儀と大名や旗本の所領地にもある。

 公儀の領地は、支配所(別称含む)と代官所と土地や人で呼び名が別れるらしい。

 時代劇で代官本陣を代官所と建物を呼んでるが、日本ではどうなんだろう?

 代官以外にもあるらしいが、次回に回してもらった。覚えきれないから。

 でも、時代劇では公儀の領地?所領だったな、天領てんりょうじゃなかったけ。ひめの先生に質問したら、天領は帝の所領で御座いますと?そうなんだ。

 

 話しが終わると、真風とみりあが中心になり動きだす。

「ひめと台所を」真風、ひめの

「風呂場を」  みりあ

「我は井戸を」 炎

「布団を」   迷霧ちゃん

「納屋を」   琥珀

「他の部屋を」 椿、早彩ちゃん

 主人を置いて設備の確認に、皆行ってしまった。各自の判断で行動してくれて喜ばしいが、少し淋しい。グス・・


 椿、早彩ちゃんの義理姉妹が最初に戻ってきた。

「旦那様、六畳程の広さのが二部屋、八畳が二部屋、この部屋が、十畳で一部屋で御座います。ごふじょうは奥に御座います。

 只今、迷霧さんが布団の数を数えております。我等も手伝いをして参ります」

 自分の表情で早彩ちゃんが解説してくれた、ごふじょうは御不浄と書き、かわやの事。厠はトイレだったな。

 椿は報告すると、早彩ちゃんと一緒に迷霧ちゃんの手伝いに行く。早彩ちゃんだけでも残って欲しかったな。淋しい。


 次は、みりあが報告にきた。

「旦那様、湯編みの用意を致しまする。湯舟には湯が出る魔道具が付いてました。湯舟は広く四、五人は入れます、我に御背中を流さして頂きとう願います」

 みりあは、正座で三つ指をつき懇願してくる。

 どうしようかな、今晩の添い寝の相手は、みりあか椿か迷ってます。でも、勘がみりあは今夜は不味いと報せる。う~ん。


「凪様、夜伽をさせて頂きとう御座います」

 みりあ、目付きが怖いです。

 肉食系女子なの?

 獲物を狙う肉食獣のような眼だ。

 地球の白人みたいに、狩猟民俗なんですか?狩らないで!


 公儀の所領は支配所が定説です。

 代官所は代官の管轄地の事です。建物は本陣・代官本陣が正しいです。

 知行は地が付くと知行地となり、土地をさします。

 天領は、明治維新後将軍の支配所が天皇の所領地となり、明治になって作られた言葉が定説ですが、異説もあります。

 この世界では、少しだけ帝が所領地をもってます、公儀も手が出せません、今はですが。


 陣場羽織りは、七級になってから、解説しますが勘の良い方は気が付いたかも。

 手襁はたすきの古い文字です。文字を別けました。すじは襷の数え方の一つです。

 屋号は、身分が卑しくてももてましたから、家紋とは別扱いだったので別けました。

 時代劇では、描かれない身分差別(藩・家で変わりましたが)や仕来しきたりを書きたいです。


 萬川集海を再勉強中です。次幕は早めに投稿します。名前が二つあるのは、忍び道具の紹介編の後書きで書きます。

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