十五幕目 大奴隷競り市 青乃間 顔見世
今回も謎の言葉が有ります。
後書きで大分は解説します。
隣の青乃間に移動する。
「十五から三十までのおなごです」
受付が話す。
会場内を一番から見ていく、もちろん才もね。
青十八番 十五歳 名・みりあ 人間族 開始五両
看板はあるが誰も居ない。あれ、入り口の方が騒がしいな。悲鳴に近い驚きの声がする。
「何だ、あの髪の色は。面妖な髪の色だ、妖魔か」
「気味の悪い髪の色だぜ」
「あんな髪の色は獣人にも、どの種族にもいないぞ」
「髪の色が黄金のような色だぞ」
「黄金を見た事あるのか」
「無い!!」
笑いが起きた。
「肌が真っ白だ」
「げっ。瞳の色が青いぞ。妖魔かあやかしの類いか」
「あれが菜山藩の因果三人娘の一人。異人の娘だ」
「あやかしに付きまとわれし、異国のおなごか」
「縁起が悪いぜ」
驚きの声も多いが、厳しい客の野次も多い。
店の奉公人に連れて入って来たのは、ロングヘアーの金髪の女性だ。瞳が青く肌が白い。白人種だった。
「凪様。あの様な雌黄(明るい黄色)色の髪が有るのですか。あまり凪様は驚いて無いので」
迷霧ちゃんが怯えながら聴いてきた。
琥珀も顔色が悪い。
小声で二人に説明する。
「はくじんと言う。白い人と書く。日本の海を渡った国々に多いよ。髪の色は、きんぱつと言う。金の髪と書く。日本の異国の言葉でブロンドヘアーとも言う」
「へー。凪様は物知りですね」
迷霧ちゃんよ、日本では常識ですよ。
「西の大陸から、父親が軍師として招かれ、生まれも育ちも日乃国で御ざいます。
朝日流護体術の道場では目録を頂き。免許の関門を受ける直前に、藩が御取り潰しになりました。
礼儀作法を身に付け。更に家事全般をこなし、裁縫仕事に台所仕事をこなします。
見かけは異人ですが、料理は日乃国の物しか作れません。異人が作る日乃料理を御自身で御堪能あれ。
珍しい髪と瞳の色のおなごです。しかも、生娘でございます」
奉公人の必死のセールスが、虚しく響く。
「菜山が乱戦の時に無敗だったのは、小鬼族の力と弩の威力に、異人の軍師の策略によるものだったが。あの軍師の娘か」
野次は貴重な情報源。
白人が珍しいのか、皆離れて見ている。
みりあは百八十位の身長で、巨乳だ、あれだけ巨乳だとせっかくの青い振り袖が似合わない。着物は貧乳が似合うの言葉の意味が解る。
顔立ちは、北欧系の感じする。ブロンドヘアーとブルーの瞳が印象的。
ひめのとはタイプが違うが絶世の美少女だ。
みりあの才を見る。
あれ。金色のフィルターみたいな物が掛かっている感じがする。見にくい。
白い文字は、はっきりと見える。朝日 小太刀・剣・鞭・薙刀・槍・弓・弩・連弩・手裏剣・体術
流石は目録の腕前だ。文字の色が濃いな、上級だ。普通は目録は十年以上かかるのに、十五歳で目録か、才能としか言いようがない。
鞭術ね、此方にも有るんだ。日本の武芸の流派にも、少ないが鞭術は有った。自分の学んだ流派には無いけど。
そして、弩か。楓にもあったよな。
日本では、奈良時代に入り、平安時代に廃れた武具だ。自分は使った事はないが、弩は無いな。弩はね。
金色の文字が見にくい。
光・火・風・土・水・雷・氷・幻・空間・防御・契約召喚
魔道かな、多分魔道だな?
そして、聖鞭・聖剣・聖槍・聖弓・聖鎧・聖盾・聖拳・聖脚・聖羽・聖眼・聖耳・聖鼻・聖髪・聖速・聖力・聖念派・聖念力・聖治療・聖酒・聖水・聖壁・聖水中・聖獣師
そして、諱?違う名だ、名らしき文字が見える。多分そうだな、本人に聴こう。
しかし、聖だらけだな。眼耳鼻髪? 酒水壁??何だろう。
そして聖獣師か、神獣と係わりあるのかな。
四人に少し待ってと言うと、四人がため息をする。
「少し話していいかな」
「どうぞ、どうぞ」
奉公人は、嬉しそうに答えた。
「こんにちは。みりあさん」
「こんにちは。旦那さん。我に声を掛けるとは、度胸の有る殿方ですね」
「見張られているから声を小さく。楓さんから三人で、身請けして欲しいとお願いされてね」
「楓様が」
「拙者は、人の才を見る事が出来る。聖と付く才が多いね」
「才が見える」
「うん。話してもらうとこちらも考えやすい」
「はい。旦那さん。我は西の大陸の神の子供でしたが、兄弟が両親に反乱を起こしました。
兄弟の中で唯一両親に味方をした為に、兄弟達に人の体に封印され、日乃国に追放されました。兄弟達は、おぞましい事に両親の肉を食べ、血を飲み両親の力を奪いました」
「オリュンポスの話しに似ているな」
神の血筋か、楓の含み笑いの訳か。楓は知ってたな。みりあが怪訝な表情をする。
「おり、何ですか」
「拙者の世の、異国の神話」
「異世界の方でしたか。召喚魔道ですか。禁じられていますが」
「知られると拙者も罰せられるみたい」
「そう聴いております」
誘拐された、被害者なのに何故か捕まる。
三崎藩から逃げて、公儀に逃げ込めない理由だ。自分が話し続けた。
「秘め事にしてくれる」
「承知しました」
「前世はどのくらい覚えてる。自身の名は」
「良く御解りになりました。我の名に、両親に兄弟達等の名が思い出せません」
「やっぱりね。多分だけど、封印は解けそうだよ」
「誠ですか」
「陰陽師だよ。多分解ける」
「封印が解ける」
「封印が解けても、解けなくても拙者に忠誠を誓えるかい。護り人の奴隷として、戦いに出て貰うけど。遊廓よりはましだと思うよ」
「はい。旦那さんに忠誠を誓います。封印されていても、朝日流の業でお役に立ちます」
「神獣は、言う事を聴くかい」
「聖獣達にお気付きですか。正しくは聖獣です。この国の方々は、あやかしと勘違いしてます。我を慕い警護の為に、西の大陸から付いてきてくれました。封印の為に意志が通い難いのです。封印が解ければ、我を仲介して旦那さんの命令に従うはずです」
才に聖獣師があるからね。やっぱり、聖獣が名か。
「聖獣と言うんだ。聖獣達の名は覚えてる」
みりあは少し驚く。
「はい。思い出せません」
「やはりね。封印は解けると思う。西の横槍は無いかな」
神様とは揉めたくないからね。
「我を人の体に封印して、日乃国に追放したのは兄弟達です。西の大陸に行かねば、大丈夫かと」
「それと、朝日流について聴きたい。何を学ぶか選ぶの」
「はい。当人が選びます。師匠が進める時も有ります」
そっちね、日本の有名過ぎる天然理心流も、柔術と棒術に剣術から選べた。
日本の武芸は名があてにあらない。槍術なのに剣術があったりした。此方も似た感じがする。
そして、北辰一刀流を学んだ、坂本龍馬の目録は薙刀だけが残っている。
日本の水鴎流の様に剣や薙刀に体術の技を全部学ぶ流派も有る。自分が学んだ流派もそうだった。
日本の武芸は総合型が多い。剣術・柔術のみの流派が小数派だ。此方も総合型が多いと思う。琥珀や炎の才を見ると、そう感じた。
朝日流は選択制か。
「朝日流は何故、おなごの流派なんだい」
自分がみりあに質問した。
「おなごは殿方と違い非力です。ほとんどの御流技は力業が多く、おなごでは非力の為に、業が使えきれません。その為に素早さと急所攻めに重きを置いた流派です」
「脚と脇下狙いかい」
「はい。良く御解りで。人ならば腕も狙います」
「確かにおなご、嫌、非力の者向きだ」
「はい。戦が無くなっても、魔獣や盗賊はいますから、おなごは子と家を護るのが努めです」
「確かに、子と家を護るのが、おなごの努めですね。みりあさんなら大丈夫でしょう。ならば、競りに参加します」
「ありがとうございます。あの早彩様は」
「これから会って決めますよ」
「可愛らし方ですよ。それと西の話しは秘め事でお願いします。特に早彩様には」
「承知しました。競りは時の運。縁あればお会いしましょう」
「旦那さんと縁が有ると信じ、心待ちにしています」
「あやかし付きと話してたぞ」
「不吉な奴だ」
野次は無視しようとしたら、琥珀と迷霧ちゃんが野次を飛ばした奴らの前に立つ。
「何だ、おなごは引っ込んでろ。この猫が」
「よせ、虎族だ」
「と、とら!」
逃げだした。ホッ。出入り禁止にでもなると困る。
戻ると中松さんが含み笑いで質問してきた。
「今度は、何とおだてて貰いましたか」
「髪が綺麗ですね」
中松さん。深いため息をつく。
やっぱり信じて無いよね。あらま。中松さんはもしかして信じてるの。
あらま。琥珀も迷霧ちゃんまで信じてるの。頭を抱えてる。町田様まで頭を抱えてる、信じるかな普通。
受付で、白乃間の場所を聴く。
「十四歳より下のおなごですが、よろしいですか」
少し驚かれた。ロリコンだと思われたかな。
「はい。戦えるおなごは全員見るつもりですから」
「では、三階に上がってすぐです」
四人は、ため息をつく。
まずは、隣の紫乃間に入る。
あれ。満面の笑みで春さんと他の三人に出迎えられた。
あらま。四人共目が笑ってなかった。
ご指摘ありがとうございます。改稿しました。
みりあの才と素性は、ボチボチと書きます。
朝日流が脇下狙いも少しづつ。
天然理心流は、井上源三郎・近藤勇・土方歳三・沖田総司で有名な流派です。
北辰一刀流は、坂本龍馬・清川八郎・山南啓助(さんなみと読む新説有り。)で有名。
水鴎流は、静岡県を中心に展開しています。
子連れ●の流派とは、関係無いです。
日本の武芸は、作中で書きましたが、古いほど総合型が多いですね。
正常な方が知らない、武芸や武具の話しをいれます。
雖 読めますか。いずれだします。
春さんと三人覚えてます?




