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皇太子妃に返り咲き ~冤罪令嬢、謎のイケメンに溺愛されて大逆転~  作者: ひろの


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第20話 救出戦―決着

広場。


ユーリが、拘束し気を失ったマスクを背負いながらゆっくりと歩いていく。

その隣をセリナが寄り添う。


やがて――

前方に、人影が見えた。


「あ……」


セリナが、小さく声を上げる。

ソフィが、こちらに気づいて手を振った。


「セリナ様!ユーリさん!」


その隣には――

地面に横たわるレオンの姿があった。


「レオン!」


ユーリが、駆け寄る。

セリナも、後に続いた。


レオンは、目を閉じたまま動かない。

呼吸は、ある。

でも、顔色が悪い。


「レオンさんが……」


ソフィが、震える声で言う。


「戦って、勝ったんですけど……

 その時に……」


ソフィの目が、レオンの左肩に向けられる。

ユーリが、レオンの左肩を確認する。

服が破れて、その下には――

黒く焼けただれた傷跡。


レーザーブレードで貫かれた痕だ。

ナノパッチが貼られているが、傷は深く、肉が完全に焼かれていた。


「……っ」


ユーリの表情が、強張る。

慎重に、レオンの腕を動かしてみる。

関節は動く。


でも—

筋肉が、完全に損傷している。

神経も、焼き切られている可能性が高い。

ここまでの損傷だとナノパッチでは修復が難しい。


「これでは……」


ユーリが、低く呟く。


「もう、左手では剣が振れん」


その言葉に――

ソフィの顔が、青ざめた。


「え……?」


ソフィの声が震える。


「剣が……振れない……?」


「ああ」


ユーリが、渋い顔で頷く。


「筋肉が焼かれている。

 神経も損傷しているだろう」


ユーリが、ゆっくりとレオンの腕を元に戻す。


「治療しても……日常生活には困らんかもしれないが……

 今までのように剣を扱うことはおそらく……」


「そんな……」


ソフィの目に、涙が溢れる。


「そんな……!」


ソフィの声が、大きくなる。


「レオンさんは……私を助けるために……」


ソフィの膝が、崩れる。

地面に座り込み、両手で顔を覆う。


「私のせいで……レオンさんが……!」


嗚咽が、漏れる。


「特務官として……剣が……!」


ソフィの肩が、激しく震えた。


「ソフィ……」


セリナが、ソフィの隣に座る。

そして、ソフィの背中を優しく撫でる。


「ソフィ、落ち着いて」


「でも……!」


ソフィが、顔を上げる。

涙で、顔がぐしゃぐしゃになっている。


「レオンさんは……

 剣士なんです……!」


ソフィが、泣きながら言う。


「二刀流の……

 剣士なんです……!」


「それなのに……

 私のせいで……!」


ソフィの声が、震える。


「左手が使えなくなったら……

 レオンさんは……!」


セリナが、ソフィの手を握る。


「ソフィ、聞いて」


セリナが、優しく言う。


「レオンは、あなたを助けたかったの」


「でも……!」


「レオンは、選んだのよ」


セリナが、ソフィの目を見る。


「剣を失っても、

 あなたを守りたいと」


セリナの声が、穏やかに響く。


「それは、レオンの決断」


「あなたのせいじゃない」


「でも……」


ソフィが、また泣き出す。


「私が……

 もっと強ければ……」


涙が止めどなく地面に落ちる。


「捕まらなければ……」


セリナが、ソフィを抱きしめる。


「ソフィ、泣いていいのよ」


セリナが、ソフィの頭を撫でる。


「辛いわよね」


ソフィはセリナの胸に顔を埋めた。


「大切な人が、傷ついて」


セリナの声も、少し震えている。


「私も、同じ気持ち」


セリナが、小さく呟く。


「ユーリが傷ついたら……

 私も、きっと泣いてしまう」


ソフィが、セリナの胸で泣き続ける。

声を上げて。


ずっと。


セリナは、ただ静かにソフィを抱きしめていた。


やがて――

ソフィの泣き声が、小さくなる。


「……セリナ様……」


「ん?」


「私……

 レオンさんに……

 何て言えば……」


ソフィが、震える声で聞く。


「そうね……」


セリナが、少し考える。


「まずは、ありがとう、かな」


「ありがとう……?」


「ええ」


セリナが、微笑む。


「レオンは、あなたを助けてくれた。

 だから、まずは感謝を伝えましょう」


セリナが、ソフィの涙を拭う。


「それから……」


セリナが、優しく言う。


「あなたのレオンへの想いを伝えればいい」


「想い……」


ソフィが、呟く。

そしてゆっくりとレオンを見た。


「レオンさん……」


ソフィの目に、また涙が滲む。


その時。

カイルが、エアバイクで到着した。


「よっ!みんな無事か!」


カイルが、手を振る。


「おっ、レオンは……大丈夫なのか?」


カイルがレオンを見る。


「怪我をしたんだ」


ユーリが答えた。


「あまりよくない」


「……そうか」


カイルの表情も心配そうな表情でレオンを見つめた。


「とりあえず、全員集合だな」


ユーリが、周囲を見回す。

その時、レオンが目を開けた。


「……どうなった?」


「レオン!」


全員が同時に叫ぶ。


「勝ったか?みんな無事か?」


「あぁ、勝った。これを見ろ」


拘束された黒曜の五影。


ファング。

カタラス。

ハーピー。

オラクル。

マスク。


「全員、捕まえたぞ」


ユーリが、レオンに伝えた。


「そうか、良かった。ソフィも無事なんだな?」


「レオンさん!私は無事です!

 レオンさんが助けてくれたおかげです!

 ……あ……ありがとうございます!」


再び涙が溢れた。


「無事ではないのはお前くらいだ」


ユーリが心配そうにレオンに伝えた。


「……ソフィ、泣かなくていい。

 お前が無事ならばそれでいいんだ。」


「レオンさん……」


左手を動かそうとして苦痛に顔を歪めたあと

レオンが静かにユーリの方を向いた。


「ユーリ、すまない……。俺はここで離脱する」


「レオン!?」


「この状態では足手まといだ。特務官も続けられないかもしれない。」


「いや、お前なら……」

「レオンさん……」


ユーリとソフィが同時に悲痛な声を上げる。


「良いんだ。足手まといなのは間違いない。

 それに今からしっかり療養とリハビリを行えば腕の回復が見込めるかもしれないしな」


「……分かった。許可する。しっかり休んで傷を治せ。」


ユーリが、レオンの肩に手を置く。


「ユーリ」


レオンが、ユーリを見る。


「セリナを、頼む」


「ああ」


ユーリが、頷く。


「お前がいなくても、俺が必ず守る」


「それと……」


レオンが、ソフィを見る。


「ソフィも」


「……分かってる」


ユーリが、微笑む。


「お前の大切な人だからな」


レオンの顔が、少しだけ赤くなる。


「……ああ」


小さく、頷いた。


その時――

ソフィが一歩前に出る。


「あの……」


そして震える声で言った。


「私……

 私も、ここに残ります」


「……!」


全員が、驚いてソフィを見る。

セリナが複雑な表情で口を開いた。


「ソフィ?」


「私が……」


ソフィが、レオンを見る。


「私が、レオンさんの看病をします」


真剣な目のソフィが続けた。


「レオンさんは、私のために傷を負いました。

 だから……

 私に看病させてください」


ソフィの声が、決意に満ちている。


「それに……」


ソフィが少し俯く。


「私、レオンさんを……

 支えたいんです」


小さく、でもはっきりと告げた。


「ソフィ……」


レオンがソフィを見る。

その目が、少しだけ優しくなった。


(ソフィが……俺のために……)


レオンの胸が温かくなった。


嬉しい。

本当に嬉しい。

でも――


「ダメだ」


レオンが、首を横に振る。


「お前は、セリナ様についていけ」


「でも……!」


ソフィが食い下がる。


その時、セリナがソフィの肩に手を置いた。


「ソフィ」


セリナが微笑む。


「いいのよ」


「え……?

 セリナ様……でも、私は……」


「ソフィ、あなたはずっと私を支えてくれた」


セリナが、優しく言う。


「だから、今度は私があなたを応援する番」


セリナが、ソフィの手を握る。


「レオンを、支えてあげて」


「セリナ様……!」


ソフィの目に、涙が溢れる。


「でも…… 私がいなくて、大丈夫ですか……?」


ソフィが、心配そうに聞く。


「大丈夫よ」


セリナが笑う。


「ユーリがいるもの」


セリナがユーリを見る。

ユーリが頷く。


「ああ、セリナは俺に任せろ」


ユーリが、セリナの隣に立つ。


「お前は、レオンを頼む」


「……はい!」


ソフィが、力強く頷いた。

レオンが、ゆっくりと体を起こす。


「……すまない、ソフィ」


レオンが右手をソフィに差し出す。


「世話になる」


ソフィがレオンの手をしっかりと握り、そして涙を拭った。


「いえ……私こそ……ありがとうございます」


レオンが、真剣な目でユーリを見る。


「俺たちはリュシアン皇太子との最後の戦いまでには戻る」


「……分かった」


ユーリが頷く。


「待ってるぞ」


「ああ」


レオンが、微笑む。


「約束だ」


セリナが、ソフィを抱きしめる。


「ソフィ、気をつけてね」


「はい……セリナ様も……」


ソフィが、セリナを抱きしめ返す。


「必ずまた会いましょう」


「ええ」


二人、少しの間抱き合っていた。


やがてユーリ、セリナ、カイルが立ち上がる。


「じゃあ、俺たちは行くぞ」


ユーリが、レオンとソフィを見る。


「気をつけろ」


「お前もな」


ユーリが、微笑む。

カイルが、レオンに手を振る。


「レオン、ちゃんと治せよ」


「ああ」


「ソフィ、レオンのこと頼んだぜ」


「はい!」


ソフィが、力強く答える。

セリナが、もう一度ソフィを見る。


「ソフィ」


「はい?」


「レオンを、よろしくね」


セリナが、意味深に微笑む。

ソフィの顔が、真っ赤になる。


「セ、セリナ様……!」


「ふふ」


セリナが笑う。


三人が、歩き出す。

廃工場を出て次の目的地へ。


「あぁ、何かいいな、羨ましー!

 俺も彼女欲しくなってきたー!」


カイルが軽口をたたくのを見て、

レオンとソフィは笑いながら、3人を見送った。


二人は立ち上がった。

ソフィがレオンに肩を貸す。


これから――

二人だけの時間が、始まる。

サブカップルが成立しました! でも……頼もしい仲間が二人も離脱。

この先どうなるんでしょうか?


ご感想やご意見、スタンプ、どんな些細なものでも大歓迎です。励みになります。

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