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第38話 光の矢

公国軍大将サハクィエルの話が終わるや否や、ブレッドはアイテムを素早くソートし武装を取り出した。筒状の兵器を取り出すと肩に担ぎ照準を合わせる。


「挨拶は済んだな、ではお別れだ」そう呟くと装備したロケットランチャーの引き金を引いた。ヒュリー皇子に向けて対戦車榴弾が襲いかかる。


M72 LAW米国製のランチャーからHEAT弾という対戦車用の砲弾が放たれた。戦車の鋼鉄製でできた装甲を容易に引き裂く強力な破壊力を持つ弾頭が一直線に飛翔する。相手がどのような特殊能力を持っていようと、無傷では済まないはずだ。


「バシュ、バーン!!!!」


凄まじい着弾音とともに、爆煙が上がり衝撃が床を震わせた。城の床に敷き詰められた真紅の絨毯が燃え上がる。


「やったか?」


「君らの攻撃は単純なんだよ。銃弾、爆薬、ミサイルばかりで面白くない」嘲るような声がパチパチと燃え上がる炎の中から聞こえた。


灰色に立ち上る煙の中からゆらりと3つの人影が浮かび上がる。驚いたことに皇子と二人の公国軍人には傷一つ付いていない。涼しい顔をした彼らの前には、水晶の塊のような半円状の物体が浮かんでいる。炎を反射し巨大な結晶体はキラキラと光り輝く。その表面には傷一つなく磨き上げられた結晶のようだ。青白く光るその物体によって榴弾は完全に防がれた。


「地獄の業火すら防ぐ聖なる盾『ヴァイスシルト』これでも中級魔法なんだよ。信じられるかい」皇子は勝ち誇った顔をしている。


その横でサハクィエルは手を天へと振り上げて唱える。


「貫け、ブラウリヒトシュトラール!!」


彼の周囲の大気が光り輝き始める。彼が手を振り下ろすと同時に、眩い光が収束して一本の光線を形成している。まずい、と感じ回避行動をとろうとした瞬間、稲妻が落ちたかのような轟音が鳴り響き、眩い光が放たれる。目の前の床が鋭利な刃物で切り裂かれたかのように割れた。


「足元が崩れて射線が逸れたか、運のいい奴らだ」


さっきのランチャーの衝撃で亀裂が入り床下が崩落した。それの弾みで幸運にもサハクィエルのビームが少しずれた。もし直撃していたらどうなっていたか分からない。呪文を唱えてから攻撃まで避ける隙がまるでなかった。これまでの敵とは次元が違う。


「次で終わりにしようじゃないか」


サハクィエルが再び魔法を唱え始める。その横ではクロノスも拳に炎を纏いおおきく振りかぶっている。


こちらも距離を取りながら反撃の機会を伺う。これまで敵を薙ぎ払ってきた兵装が今回は一切通用しない。相手の攻撃魔法の火力も図抜けている。


今回の戦いはこれまでと同じとはいかない。緊張感と危機感で筋肉がこわばるのを感じた。


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