1-2. 仮面と王女とホクロの君
全体集会がやっと終わった。
わたしは壇上の方へ急ぐ。
留学生たちは、きっとあの辺りにいるはず。(特に、あの仮面の彼!)
お兄様の姿も見える。
わたしの姿を見つけたお兄様の目が輝く。
「ネネ、君も使節団の方に挨拶に来たのか」
わたしに微笑みかけるお兄様。
そう、わたしは公爵令嬢。
挨拶しておくことにする。
「はい、お兄様。みなさまへ挨拶をさせていただこうかと思いましてこちらへ参りました。」
最初からわたしのミーハーな部分は、さすがに晒せない。
留学生が全員並ぶ。
「サーラーン王国エストラーダ公爵家の嫡男、アドリアン・エストラーダと申します。
5年生です。以後、よろしくお願い致します。」
「エストラーダ公爵家の令嬢ネネルーナ・エストラーダと申します。
魔法学校の2年生です。
まだまだ未熟者ですが、何かあればどうぞ、お声がけくださいませ」
「アドリアン王子殿下、ネネルーナ王女殿下、今後ともよろしくお願いいたします」
レオハルド王子が礼をすると、他の9名も礼をした。
王女殿下だなんて…わたしは王家の人間ではないのに。
使節団の方からの敬意が伝わる。
「あの、ひとつ質問をよろしいかしら?」
「はい、何でしょうか?」
レオハルド王子が答えてくれるようだ。
「みなさま、仮面はお取りになりませんの?
せっかくですから、お顔をみてご挨拶をと思いまして。」
「そうですよね、私たちが仮面を外さないのを不思議に思われるのも無理はありません。
バレンシャン王国では、仮面をつけて過ごすのが当たり前なのです。」
「あら、そうでしたの。
それは女性の方も同じようにでしょうか?」
「いえ、基本的には男性のみです。
この仮面は特殊でして、自分自身か、自分が信頼している人のみ仮面を外せる仕組みになっています。
日常生活では常につけていますが、睡眠時などは外すこともあります。」
「まあ、そんな仕組みが備わっているのですね。」
ただの仮面かと思ったし、今日だけなのかと思っていたのに、仮面をつけ続ける宣言をされてしまった。
ああ、わたしは、あのホクロの君ーハオ様のお顔を一度ちゃんと見てみたかったのに…
どうして仮面なんて…!
「ネネルーナ、バレンシャン王国からせっかく来てくださった使節団だ。
彼らの文化を尊重しよう。」
そういって、お兄様はわたしの肩に優しく手を置いて、使節団に伝えた。
「何かあれば、わたしかネネルーナが案内しよう。
よき留学生活となることを祈っている。」
やっぱり、ハオ様だけ空気が違うと感じた。
わたしが惹かれているからなのかな?
あ、そうだ、ハオ様の魔法型は何なのかしら…
あとでタイミングを見計らって、聞いてみよう!
はーあ、学校生活がますます楽しみになってきた!
最高の新学期の始まりだわ!
本日21時にも投稿します!




