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魔法世界の王女は、恋をしてはいけない人に恋をしたーアイドルを夢見るわたしですが、世の中は厳しすぎますー  作者: りなる あい
第一章 ~2年生 新学期~

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1-3. 仮面の従者、選ばれる

タイミングを見計らって声をかけようと思っていたのに、声をかけるタイミングがなかった。


わたしは2年生で、ハオ様は4年生だから、教室の階がそもそも違う。

放課後になり、1日が終わってしまうのに、ハオ様を捕まえられなかった…

と残念に思った瞬間、見つけた!


学校の中庭に使節団の集団がいる!

そばへ行こうと足を早めたら、みんなが一斉に消えていなくなってしまった。


嘘…やっと見つけたと思ったのに…!


集団転移しちゃったのかな…


1人でトボトボ歩き続けると、お兄様が角を曲がってこちらにやってきた。


「お兄様!こちらにいらしたのですね」


「ああ、今、使節団のメンバーに青春祭について、説明したところなんだ。」


「そうですね!陰陽のエネルギーが交わる日ももう直ぐですね。」


ミドバーレ魔法学校では、陰陽のエネルギーがちょうど交わる日の前日、青春祭が開催される。

青春祭は、学生が音楽に関する演出を披露する場だ。

パフォーマンスをしたい学生がエントリーする。

わたしは今年の青春祭も気合が入ってる。

本当は今日の放課後から練習が始まるのだけど、ハオ様を探してしまった。

今から練習に合流しないと。


「ネネは今年もアイドルグループで参加するのか?」


「はい、もちろんです。みなさまを魅了しますわ」


ふふふと冗談っぽくいったが、お兄様はすかさず反応した。


「これ以上魅了する必要はない。

ネネは十分魅力的なんだからな。

ところで、バレンシャンの10名も参加するらしいぞ」


わたしの耳がドンと大きくなったかのように感じた。

バレンシャンの方々も出る!

ということは、ハオ様も!

どんなステージパフォーマンスなのかしら…気になる。


「どんな演出をするか、おっしゃっていましたか?」


「バレンシャン王国の伝統のダンスを披露すると言っていたぞ。

演出の内容はすぐに決まったみたいだから、虹色ベールでみんなで練習すると言っていた。」


「では、みなさまは今、中庭の虹色ベールの中で練習をしているのかしら。」


「そうだと思うよ」


うーん…いつ虹色ベールの中から留学生たちが出てくるかわからない。

アイドルの練習もあるから待つこともできないし…


本当は偶然会った風にしたかったけれど、そんなことしてたら次いつ会えるかわからない。

だったら、中庭にいることがわかってる今は、むしろチャンスなのでは?


わたしは心に決めた。今からハオ様に会うと。


「お兄様、わたしもアイドルグループの練習へ行ってきますね」


「頑張ってこいよ」


わたしの頭をポンポンしたお兄様は去っていく。

それを少し見届けてからわたしは中庭へ急いだ。


さっき、留学生たちがいた場所までやってきた。

おそらくこの辺で練習しているはず。

虹色ベールに入ると姿が見えなくなる。

きっと、同時に防音魔法や空間拡大魔法も使っているはずだ。

でも、私のことはきっと見えている。


ならば、これしかない。

魔法学校一年生の学期末で習ったSOSなどメッセージを打ち上げる魔法だ。

習ったばっかりの魔法だからきっとできるはず。


メッセージは『ハオ様』にしよう。


伝言魔法、うまくあげられるかな…

あれ?

『ハオざま』になっちゃった…!


一分は経ってると思うけど、音沙汰なし。

もう練習終わっちゃったのかな…

いや、そもそもここで練習してないのかな…

わたしも自分の練習に合流してしないとだし、諦めるしかないか…

と伝言魔法を止めようとした瞬間、バシっと魔法が解ける音がして使節団のメンバーが姿を現した。


ハオ様だけだと予想してたから、みんなが出てきて驚いた。

わたしのビクっとなった姿を見て、ハオ様も驚いてるみたい。


「王女殿下どうかされましたか?

『ハオざま』とは、わたしのことですよね?」


やっと会えた。

ハオ様がわたしの伝言魔法に気づいて、姿を現して、話しかけてくれた。

そのことがとても嬉しかった。

わたしに応えてくれたみたいで。


「はい、ハオ様を探していたんです。

わたくし、ハオ様の魔法型を知りたくて…」


「王女様、わたしはただの騎士です。

様は付けずに、ハオとお呼びください。

敬語も不要です。」


様もいらないし、タメ口で話せと言うけれど、距離を感じる言い方に感じた。

本来なら、距離が縮まるはずなのに…

おかしいな…


「わかった。じゃあ、これからは普通に話させてもらうね。

でも、ハオにもわたしにも普通に接してほしい。」 


わたしの返答は予想してなかったのだろう。

ハオが少し黙り込んでいる。

受け入れ難いってことかな。


「王女の命令と言ったら、聞いてくれる?」


わたしの必殺技、うるうるお目目でお願いしてみた。

どう?効く?


「努力します」


不服そうな?感じがしたけど、とりあえず聞き入れてもらえてよかった!


「あのね、ハオの魔法型が知りたいの。」


「わたしは雷型。王女様は?」


やった!ハオも雷型なんだ!

魔法別授業を一緒に受けられる!


「わたしも雷型なの!

ねぇ、王女様呼びもこの際止めちゃお。

わたし、名前で呼ばれるのが好きなの。

わたしの名前覚えてる?」


「ネネルーナ。」


「良かった!覚えててくれたんだ。嬉しい。」


私たちのやりとりをニヤニヤしながら見ている留学生たち。

ハオも居心地が悪そう。


「わたし、もしかして練習の邪魔しちゃったかな…?」


首を傾げて上目遣いでハオを見つめる。

でも、仮面をつけてるから、あまり表情がわからないのが残念。


「今は休憩だから大丈夫だよ。

ところで……ネネルーナが俺を呼んだのは魔法型が知りたかったからってだけ?」


あ!「わたし」から「俺」になってる。

自分のことを俺って呼ぶ人なんだ…。

キュン。

ハオのことが少し知れたみたいで嬉しく感じてしまう。

はぁ、恋って楽しい!

あ、でも魔法型を知るためだけって、変に思われるかな…


「そう、魔法型が知りたかったの。

あと、青春祭のパフォーマンスってどんなことするの?」


「俺たちはバレンシャン王国の伝統舞踊をする。」


「ダンスじゃなくて、舞踊なのね。」


「そうなんだ。

剣ではなくて、刀を使って舞うんだ」


へぇ〜と思った。

サーラーン王国は剣の文化だから、正直刀との違いがよく分からない。


「ハオたちの発表を見るの、楽しみにしてるね。

あ!そうだ!わたしも練習あるんだった!」


ハオとの会話に夢中になってた…早く行かないと。


「急いでるなら、送って行こうか?

俺のわかる場所なら送ってやれる」


「ほんとー?嬉しい。ありがとう。

転移魔法できるのすごいね。

わたしはまだ練習が必要で…」


「ネネルーナなら、練習したら直ぐできるようになるよ。

さぁ、場所を教えて。」


「体育館横の練習室なの。

体育館の場所わかる?」


「わかるよ。

じゃあ、俺につかまって」


ハオの手を組んだ瞬間、体がぐにゃっと回り引っ張られた。

到着したのは体育館だった。

着地した時にバランスを崩してしまう。

とっさに支えてくれるハオに、わたしはドキっとしてしまう。

ハオの手、とてもガッチリしてる…

わたしを送り届けくれて、支えてくれて…

もう、好きになっちゃうじゃん!

恋愛モードのわたしを感じる。


「ありがとう」


わたしはとびっきりの笑顔でお礼を言う。

初めての会話でたくさん話せて嬉しい!

わたしはルンルンの気分で練習へ向かったのだった。


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