4-5. 顔面偏差値高すぎ学園、爆誕
「ハオ、おはよ〜」
朝から御尊顔…神様ありがとうございます。と言いたいところだけど…
ハオの顔が眩しすぎる!
寝起きからこの完成度って、どう言うことなの。
そう、今日から使節団の人たちは仮面をとることになったのだ。
わたしは正直、仮面をつけ続けて欲しかった。
ハオの美しい顔は、わたしだけ知っていれば十分だと思っていたから。
仮面を取るという考えを出したのは、お兄様だった。
一年はバレンシャン王国の文化を尊重したのだから、次はサーラーン王国の文化を尊重しては?と、提案したらしい。
お兄様は正直、何を思ってその提案をしたのか、わたしにはわからない…
裏があるのでは?と思ってしまう。
でも、お兄様は頭もいいし、立ち回りも上手いから、何か考えがあるのかもしれないけれど…
お兄様は何か知っているのかしら?
それとも、使節団の誰かを試している?そんな気もしてくる…
わたしは、実際、そんなことどうでも良くて…!
ハオを守ることに必死なんだから!
ハオはわたしの挨拶に気づくと、いつものように
「おはよ」
と気だるそうな、めんどくさそうな感じで返事をしてくる。
ハオの横顔をチラッと盗み見ると、ハオのまつ毛の影が朝日に照らされて見えた。
あまりの美しさに、じーっと見続けないように、目を逸らすのが難しかった。
これまで仮面をつけていてわからなかったけれど、仮面なしだと表情が見えていい!と朝から萌えるわたし。
「これからは仮面なしでの生活が始まるね。ハオはどう思ってるの?」
「どうって…俺はいつも通り過ごすだけだけど」
いつもの塩対応に、逆に安心してしまった。
仮面を外しても、これならきっと女子生徒は近寄り難いはず。
このハオの鉄の壁を越えるのはわたしだけなんだから。と、謎の優越感を感じ始めた。
冷たくされて安心するって、わたし、かなり重症だわ…
「ネネルーナ、おはよう」
レオハルド王子もやってきた。
王子も美形の部類だ。
仮面なしの威力が強い…
王子まで顔面解禁…
この学校は地獄か…いや、天国か?
「おはようございます。」
ニコッと挨拶をすると、
「ネネルーナは、今日もかわいいね」
「あ、ありがとうございます」
朝からの可愛いねは、予想してなかったから少し驚いた。
「おはよう」
後ろから爽やかに登場したのはお兄様だった。
「今日からだな、仮面なしでの学校生活は。
もし何か困ったことがあれば、わたしに言ってくれ。」
そう言って、お兄様はなぜかわたしも引っ張って連れていく。
わたしはハオと話してたのに…!
急に立ち止まったお兄様がわたしの耳元に顔を近づけて
「ネネ、使節団の人たちが仮面を外したからといって、ミーハーなところを爆発させないようにな」
と言った。
学食でそんなことをするもんだから、一部の生徒たちから
「朝からこの光景が見られるなんて、尊いわ」
と言う声が聞こえる。
お兄様、完全に狙ってやってるでしょ…
兄と妹の禁断の恋の演出、喜んでやってるんじゃないでしょうね!
わたしはお兄様に向かって、きっぱりと言い返す。
「わかっております。」
と腕を組んで伝えると、ルームメイトのルカヨがいる席に戻るのであった。




