1-1. 新学期と仮面の来訪者
わたしは2年生になった。
2年生から雷型の適性別授業が始まるらしい。
適性別授業は、学年全体で集まるから、素敵な出会いがあるかも!と、内心ワクワクしていた。
今学期、バレンシャン王国から留学生が来る。
新年度の全校集会で集まった生徒たちは、留学生の話を聞きつけて、興味津々だった。
全校集会の会場が、いつも以上にざわついている気がする。
「ううん。」
と先生が咳をしてマイクの音を確認する。
会場が一気に静まり返る。
校長先生が話を始めた。
「生徒諸君。おはようございます。
いよいよ、今学期がスタートする。
新入生のみんな、入学おめでとう。
進級した生徒のみんな、進級おめでとう。
今日から稔ある新しい一年を創造していこう。」
生徒が拍手をして校長の話に応える。
「さあ、もう聞いておる生徒諸君もいるようだが、今学期は珍しい留学生がくる。
バレンシャン王国から、10名の使節団の生徒たちだ。」
校長先生の発言で、留学生のことを知らなかった人、バレンシャン王国に対して良いイメージを持っていない人たちがざわめいている。
バレンシャンは軍事国家で、周辺諸国と揉めている国だ。
サーラーン王国の隣のラングリンド王国はバレンシャン王国と接している。
二国間では均衡が保たれているものの、牽制しあっているそうだ。
そんなバレンシャン王国からの留学生だから、色んな意味で興味がわくのもわかる。
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これから俺の命をかけた任務が始まる。
もう後戻りはできない、失敗も許されない。
誰にもバレずに、俺はやるしかない。
この壇上への一歩は、俺にとって何よりも大きな一歩だ。
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「留学生の10名には、これから挨拶をしてもらう。」
壇上に10名の生徒が歩いてきた。
なんと、彼らは全身黒い服を着て、顔には動物の骨の仮面をつけている。
怖いと思ったのは、きっとわたしだけじゃない。
この独特の空気感を放っている男子生徒たちから、ただならぬオーラを感じた。
「わたしはレオハルド・バレンシャン。
バレンシャン王国第一王子として、この地に学び、務めを果たす。よろしく頼む。」
フードは脱いだが、仮面はつけたままだった。
王子とわかって、またもや会場が騒がしくなっている。
まさか、王子が留学に来るなんて…
わたしもビックリだった。
彼らはとても遠くの壇上にいるが、魔法のスクリーンで映像が映し出されている。
よく見るとみんな黒髪、長身で、ガタイがしっかりしていると思った。
バレンシャン王国は軍事国家で、兵役の義務がある。
そういう点も関係しているのかもしれない。
サーラーン王国は髪の毛の色はさまざまだが、黒髪は珍しい。
わたしはこれまで、黒髪で見たことがあるのはお母様だけ。
「わたしはハオ・シオルン。王子の従者にして、護衛の任を負う者だ。」
最初、使節団が全身黒で動物の骸骨の仮面をつけて登場した時は、怖いと思ったのに、わたしはこのハオ・シオルンに不覚にもときめいてしまった。
ちょっと待って、今の人——なんか、雰囲気が違う。
仮面をつけているのに、目が離せない。
黒髪に、口元のほくろ。……セクシーすぎない?
さっきまで、怖いと思ってたのに——
何あの仮面、かっこよすぎ。
胸の奥が一気に熱くなる。
仮面が“恐怖の象徴”から“王子様の舞踏会”に変わる。
少し中二っぽい?でも、嫌いじゃない。むしろ、好き。
軍事国家の使節団なんて怖いと思ってたのに、
今はただ、あの人の素顔が見たい。
……わたしだけが見れたら、最高じゃない?
話しかけたい。
いや、絶対に話しかける!
この集会が終わったら、速攻で行くんだから!
シーズン2のヒロイン、ネネルーナはシーズン1のヒロインのマミーナとは違う性格にしてみました!
シーズン1は鈍感女子でしたが、こちらは肉食女子ですね(笑)
今後も、楽しんでいただけましたら幸いです。




