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鬼切怪奇譚  作者: 藤崎要
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第三十五話 平穏な日


 遠藤はクロが快方に向かったという知らせを聞いて、草壁と共に森野の元へと訪れていた。


森野「お家に帰れて良かったね♪」


クロ「どうも、おかげさまで」


草壁「この犬、喋るんだ?」


クロ「言葉づかいには気をつけろよな?」


遠藤「草壁くんのほうが犬の言葉わかるんじゃなくて?(笑)」


森野「僕は寂しくなるけどね、不死根さんが飼い主の元へ返してあげるのが良いって言うから」


 クロは森野に頭を下げると、遠藤の足元へ寄り添うように隠れた。普段は絶対やらない行動である。


遠藤「福島さんの家族のこともありがとうございました。とりあえずクロもまだ万全ではないようなので大人しく連れて帰ります(笑)また改めてお礼を兼ねてお伺い致しますから」


森野「お礼とかそこまで気にしなくても良いですよ(笑)でもまた是非来てくださいね、良ければ犬語が理解できる彼もご一緒に♪」


 そして、帰りの車内。後部座席で眠るクロと助手席で考え事をしている草壁の様子。


草壁「あ、思い出した。あの森野って人、何処かで見たような気がしたと思ったら」


遠藤「そう、あの法廷で裁判官相手に【おたくの人権、有効期限がきれてるみたいだけど大丈夫?】って尋ねた例の彼だよ。後で弁護士から聞いた話だけどね、裁判官の不遜な態度にキレてたらしい。でも森野の頭の中には裁判官の過去の判決記録や発言なんかも全て入った上での発言だったみたいだよ」


草壁「事件の状況証拠的にもでしたけど、まさかあの心象最悪の状況下で彼が無罪になるとは当時世間の誰も思わなかったはずですよ」


遠藤「さしもの裁判官でも、心象が最悪だからといって真犯人が現れた上、証拠が完全に覆った相手を有罪にするというわけにもいかないからね(笑)判決が出たあともテレビは言わずもがな時の人扱いだったし、ネットやなんやで様々な憶測が飛び交ってたから当時で知らない人は日本にはおそらくいなかったと思う。真犯人は森野の信者で彼の身代わりになったとかもあったよね(笑)」


草壁「ところで、その彼は我々の味方なんでしょうか?」


遠藤「草壁くんはそう思う?さぁ、俺にも実のところよくわかんない。でもまたなんでそんなことを思うの?」


草壁「なんというか、推し量れないって意味で(笑)」


遠藤「確かにね。でも俺たち鬼切もけして善と悪ってわけでも無いでしょ?」


草壁「少なくとも自分の中では正義のつもりですけどね(笑)」


遠藤「弱きを助け強きを挫くか。確かに善悪とはまた別にある正義という理屈が俺達のプライドかもしれないけどね。というか、草壁くんの勘はおそらく当たってると思うよ。今回は相手がルールを守らなかったから森野は俺達に味方してくれたんじゃないかと俺も思ってる。基本的に彼はどちら側の味方ってわけではないと思ったほうが良いかもね」


 第三十五話(終)

 



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