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鬼切怪奇譚  作者: 藤崎要
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第三十三話 極楽教


草壁「此処ですか?奴らの本拠地は」


 遠藤が草壁の問いに無言で頷き、視線を送るその先は【極楽教】と書かれた怪しげな看板が掲げられている建物であった。


遠藤「前から目星はつけてたんだけどね、わかりやすいほど上からの妨害があってさ(笑)今は極楽教と名乗ってはいるが、ここのトップはかつて公開呪詛により多くの政府関係者を暗殺した人物だよ」


草壁「そんな相手に二人だけで大丈夫なんですか?セキュリティもあるでしょうし、それに」


遠藤「うん、多くの犠牲を払う必要まではないからね。って冗談だよ(笑)ほんとは皆に手伝ってもらうのが正解だと思うけど総代がいない今、俺達は自分で考え自分で動くしかないだろ?それに今、おそらくセキュリティは切られているか機能してないと思うよ?こうしてカメラにバッチリ映るような所に俺達がいるのにも関わらず誰も出て来ないし(笑)」


草壁「つまり我々はウェルカムってことですよね(笑)ま、遠藤さんに一応考えがあるなら安心しましたよ」


遠藤「どういう意味だよソレ(笑)」

 

 一方。


 教団施設内では、メディアでも知られてるような公の人物が複数人、信者として教祖の前に膝まずき、貢物と引き換えに【ご利益】と呼ばれている手かざしを受けていた。


教祖「カネを集めるという事はその呪いも一緒に授かるというものです。しかしまた、こうして私が貴方がたに能力チカラを授けられるのも、またその呪いのおかげでもあります」


信者「お力になれて光栄であります」


教祖「今日ここに皆様がたに集まっていただいたのは、これから呪いでぶくぶく肥え太った貴方がたをそろそろ生贄としてその身を捧げていただこうかと思いましてね?」


信者「それはいったいどういうことですか!?」


教祖「まだわかりませんか?主は今もこうして我々の元へ近づいて来てくれているというのに、お前たちはそれすら感じることもできないとは。いや残念です」


 教祖がその言葉を告げ終えると、信者らは身動きがとれぬままその場にバタバタと苦しみ倒れこんだのでした。


教祖「お前たちのような虫けらごときでもこうして呪いの糧となり死ねたにことに心より喜びたまえよ。日本、滅ぶべし!」


遠藤「滅ぶのはお前のほうだよ」


教祖「ほう、これは私としては計算違いをしてしまったようですね。まさか、お二人だけで来られるとは(笑)いや、これでは私がお叱りを受けることになってしまう」


草壁「こちらとしては、お仲間を先に片付けてもらえた事のほうが有り難い計算違いだったけどね」


 遠藤は教祖が草壁のほうに気を取られている間に手にした刀を躊躇なく振り抜いた。しかし教祖は太刀筋を見ることなくもソレをかわした。


教祖「それは鬼切丸!?なるほど、奪われるくらいなら切り札を自ら持ち出すということを選んだというわけですか。どおりでと言いたい所ですが、そのヤケクソのような自信とやらも、こう安々とかわされるようなら頼みの綱にもならなかったようですね。むしろ刀が手に入れば私の失態も許されるやもしれん」


 遠藤は二の太刀、三の太刀と矢継ぎ早に教祖に斬りかかるがそれらは難なくかわされ、教祖は振り抜かれた刃先を手で掴むと遠藤の手から力ずくで刀を奪いとった。


教祖「鬼切衆の殲滅という私の目論みは外れましたが、鬼切の者をここで始末し、こうして刀も手に入れたのなら或いは」


遠藤「さて、それはどうかな?」


教祖「!?」


 教祖の背後に回っていた草壁の手にはもう一振りの刀の姿が。しかし、その刃先は教祖が気づく間もなくその胴体中心部を既に貫いていたのでした。


草壁「鬼切丸は二振りで一つ、別名ではなくそれぞれが別の刀よ。冥土の土産に覚えておきな」


教祖「そうか!なるほど、それなら我が主が不覚をとったのも無理はないわ。よかろう、地獄でまた会おうぞ鬼切衆」


 教祖の身体は黒い塵灰となり消滅した。


遠藤「地獄へ落ちることさえ出来なかった出来損ないが、今度こそ主のもとへ行けて良かっただろ」


草壁「てか地獄を甘く見過ぎだよ、馬鹿野郎」


 そして。


遠藤「えぇ、後のことは不死根さんがたのほうで頼みます。それと総代にもお伝えください。【今回はうまくいきました】と」


 遠藤がスマホを切ると。


草壁「結局、総代にはお見通しということですか?」


遠藤「ってことで良いんじゃない?(笑)」


 そこへ新たに遠藤のスマホへと着信が入る。


森野「遠藤さん?電話に出られるってことは生きてるんだね(笑)てことは作戦のほうはうまくいったみたいですね♪」


遠藤「森野、、、どうして君がソレを?その電話は福島さんの奥さんに渡したものだよね?」


森野「ちょっと詰めが甘いんじゃないですか?遠藤さん、こちらも目的を果たしたのでそのご報告をしないとね」


 終三十三話(終)


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