表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鬼切怪奇譚  作者: 藤崎要
23/36

【特別編】第二十参話 桃木島




 草壁と遠藤は釣り船の上に居た。


遠藤「釣れないね〜。俺も草壁くんみたいにアジ狙いにしとけば良かったなぁ」


草壁「遠藤さんの仕掛け、シーバス用でしょ?微妙に時期ズレてますよ(笑)」


遠藤「へーそうなの?知らなかった」


草壁「ところで今日、本当の用事ってなんですか?釣りが目的ってわけじゃなさそうですよね?」


遠藤「んー、あそこに島が見えるでしょ?」


草壁「桃木島のことですか?確か、島の関係者以外立ち入り禁止の島ですよね」


遠藤「そうそう。ある事件の容疑者がソコにいるみたいでさ」


草壁「あー、そういうことですか。通りで」


遠藤「ひとりで調査をするには心許ないから、草壁くんを誘ったの(笑)」


草壁「俺が誘われたのは釣りなんですけどね?」


遠藤「うん、でもね。先にいろいろ調べたりはしたんだけど、どうやら島に直接渡る便がないみたいでさ。役所でそういう許可を取れるのかも聞いてみたんだけど誰も対応してくれなかったよ(笑)」


草壁「でしょうね(笑)」


遠藤「近くに行けば何か方法が浮かぶかなと思って。草壁くんならどうする?」


草壁「なら、その心配はいらないみたいですよ。この船、今そちらに向かってるようですし」


 釣船はそのまま島の港へと辿り着いた。船着き場には島民がすでに出迎えていた。


船長「降りてくれ。島の連中が、おたくらに話があるみたいだ。おとなしく言われたとおりにしていれば良い」


 遠藤と草壁が船長に促されるように船から降りるとその周りをとり囲むようにして島民らに話しかけらた。


島民A「この島になんの用だ?」


遠藤「はい。えー私、刑事です。ある事件の容疑者がこちらにいるかもしれないという情報がありまして。こちらは友人の一般人です」


島民B「なら、そんな人物はここにはおらん。わかったら二度と()んでくれ」


遠藤「ええ、わかりました。用事が済んだらすぐに帰らせていただきます(笑)」


島民C「もう用は済んだろ。ここにはそんな者はおらんが、追い返しても今度はまた大勢引き連れて来るんじゃないのか?」


遠藤「いえ。今回の件は捜査じゃなくて、あくまで個人的な用事ですから」


島民A「信用ならんね。念の為、身柄を預からせてもらうよ。好き勝手にウロウロされても困るしな。問題が無ければ明日にでもかえしてやるから、今日はソコでおとなしくしてろ。わかったな?」


 遠藤と草壁は、案内された公民館とおぼしき宿舎で様子をみることにした。というより、ソコに案内されてから窓も扉も外側から鍵をかけられていて出ることができなかった。


草壁「遠藤さん、このままおとなしく明日になるのを待ちますか?それとも、この扉をぶち破りますか?(笑)」


遠藤「うん、まぁ少し考えてからにしよう。船がないから泳いで帰るわけにもいかないしね(笑)」


 草壁はヤレヤレといった感じで椅子に腰をかけ腕を組んだ。


草壁「遠藤さん、知ってますか?」


遠藤「ん、なに?」


草壁「この島、桃木島はかつて百榊島って呼ばれてたらしいんですよ」


遠藤「そうみたいだね」


草壁「なんで名前を変えたんでしょうね?知ってますか?」


遠藤「さぁ、わかんない(笑)」


草壁「全然調べてきてないじゃないですか(笑)」


 そうこうしてるうちに日も暮れ。


遠藤「じゃ、俺もう寝るから」


草壁「遠藤さん、電気つけたままにしときますよ」


遠藤「ん、なんで?」


草壁「ムカデとか暗くなると活動しだすんで。こんな状態で噛まれたらどうにもならないですよ、まぁ気休めですけどね」


遠藤「草壁くんが頼りになる彼氏みたいで良かった♪」


草壁「気持ち悪い事言わないでくださいよ(笑)」


 そして、夜もふけ二人が眠りについた頃。


ゴト。という音がしたと思うも束の間、一人の男が扉を開けて中に入ってきた。遠藤と草壁はすぐにその気配に気づき、薄目で様子を伺った。


男「なぁ、私を探しているんだろ?」


遠藤は目を開けると


遠藤「やっぱり此処にいたんですか?◯◯さん」と男に声をかけた。


男「そうだが、どこでソレを知った?」


遠藤「ある情報筋です。捕まえに来たというよりも、そちらから貴方に伝言を頼まれましてね?」


男「何を?」


遠藤「あなたが◯◯事件の犯人ですよね?と。ただ、先に言ったように我々はあなたを捕まえに来たのではないんで。このまま、ご自身で出頭されるかどうかは、あなたが決めてもらって構いません」


男「、、、。なら、そうだと伝えておいてくれ。それに出頭はできないと。私はこの島から出ることができない、というよりも出られないといったほうが正しいかもしれない。と言っても私もそう長くはないだろうしな」


遠藤「、、、そうですか。わかりました、ここを無事に出られたらそう伝えておきますよ」


 男は頷くと扉を開け出ていった。


草壁「遠藤さん、さっきから誰と話をしてたんですか?」


遠藤「草壁くんには見えなかったんだ?そうだね、俺が生まれる何十年も前に罪を犯した人だよ(笑)」


草壁「気配は感じましたけど、姿までは」


遠藤「良かったね、もし見えてたら君が今度はココに閉じ込められてたかもしれないよ?(笑)」


 日が明けると、扉の鍵は開いており二人は外に出たのでした。というよりも、朽ちはてており半開きの状態で扉が外れていたのでした。


島に島民の気配はなく、昨日降ろされた船着き場には釣具や荷物がそのままに置かれており、沖のほうには船が数隻漂っていた。遠藤が手をふっているとそのうちの一隻がこちらの方に向かってきた。


 そして。


船長「全く、驚かせないでくれ。二人とも船から急にいなくなったから海に落ちたのかと思ったよ。捜索してたら、呑気に手をふってるアンタらが見えたから良かったものの。まさかここまで泳いで来たのか?」


 昨日とはうってかわって別人のような船長の会話を聞いて草壁は怪訝な表情を浮かべた。


遠藤「まぁ色々ありまして(笑)ご心配をおかけしまして申し訳ございませんでした」と遠藤は深々と謝ったのでした。


船長「まぁ無事だったからいいけど。海上保安庁には、あんたからも謝っといてくれよな」


遠藤「はい」


草壁「あの、一つお聞きしたいことがあるんですが?あの島には何があるんですか?」


船長「なにもないよ。数年前は住んでた人もいたけど今は無人島だ。ひとっこひとりいなかったろ?」


草壁「、、、。なぜ立ち入り禁止になってるんですか?」


船長「立ち入り禁止?桃木島のこと?それはあの島じゃなくて、そっちのブロッコリーみたいな形の小島のほうだよ。立ち入り禁止というより小さすぎて入れないだけ。島の周りが浅い岩場になってて漁船がとまれるような場所もないからね。昔は、おたくらがさっきいた島から小舟で行ってたらしいけど祠が一つあるだけだって話だよ」


遠藤「だって(笑)俺達、何処にいってたんだろうね?」


草壁「遠藤さん、昨夜のことなんですけど」


遠藤「ん、なに?」


草壁「もし姿が見えてたらって話なんですけど」


遠藤「あー、そんなこと言ったっけ?(笑)」


草壁「桃木、、、百榊。桃はおそらく当て字だとして、本来の意味を隠すためとか。例えば、百から一を」


遠藤「だから、彼は出られなくなったんだろうね。外に出るには身代わりが必要だから」


草壁「遠藤さん、まさかそのために俺を連れてきたんなら怒りますよ(笑)」


遠藤「まさか(笑)いや、ちょっと怖がらせようと思っただけだから。もう〜そんな顔しないでよ」


 第二十参話(終)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ