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鬼切怪奇譚  作者: 藤崎要
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第十九話 遠藤憲明



 仏壇の前で手を合わせる遠藤と家主の男性。


家主「遠藤さんがウチに来てくれるようになってから、もう10年の月日がたつんだよ。早いものだね」


遠藤「其の節は、お力になれずにすみませんでした」


家主「いやいや、いつもそう言ってくれるけどね。家内も言ってたよ、遠藤さんが出世できないのはウチの件で何度も検察にかけ寄ってくれたからだって」


遠藤「いえ、それは不徳の致すところなんで(笑)」


家主「正直、今でも判決の内容には納得してないけどね。アイツはとっくの昔に出てきてるというのに結局一度も挨拶には来なかったよ。弁護士が書類を送ってくるだけでね。世の中そういうものなんだろうけども、遠藤さんのような人もいれば、もう終わったことだと済ませられる人もいるんだってね。でも、あそこまで持っていけたのも、あなたのおかげだと思ってるし私達は感謝してるよ」


遠藤「そう言っていただけると報われます」


家主「それで、これは別に迷惑とかそういうのじゃなくてね。わかってくれると思うけど、あなたにもそろそろ楽になって欲しいんだよ。私らも歳だしね、この家を近々処分しようと思ってるんだ」


遠藤「そうなんですか」


家主「うん。思い出を残しておきたいというのはもちろんあるんだけど、このまま此処に居て帰らぬ者を待ちながら暮らすよりも少しでも前を向いて進んだほうが喜んでくれるんじゃないかって思うようになってね」


遠藤「お気持ちわかりますよ」


家主「そう言ってくれると助かるよ。遠藤さんに会えて本当に良かった」


 遠藤が外に出ると家主は深々とお辞儀をし、遠藤もそれに応えてから車に乗りました。


遠藤「烏もいれば、烏にならずに済む人もいるか、、、」


 車の助手席に置いてあった新聞の記事には【勾留中の被疑者の死亡相次ぐ 管理体制の見直しと強化をはかると警察側の釈明】と書かれていた。


 第十九話(終)

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