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鬼切怪奇譚  作者: 藤崎要
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第二十話 ホンモノ



草壁と野沢は、とある古民家の調査を行っていた。


草壁「床下も確認しましたけど、屋根裏のほうも特に異常は無さそうですね」


 と屋根裏を懐中電灯で照らしながら説明する草壁。


野沢「だそうです」


 と脚立を支えながら家主に答える野沢。


家主「そうですか、いや何もないならそれで良いんですけどね。ただ原因がわからないことには、また騒ぎになってもいけないしどうしたら良いものか」


 と途方に暮れる家主の50代後半と思われる女性。


草壁「そうですねぇ。せっかく民泊を始められたというのに、変な評判がたつと困りますよね。今、そういうのすぐに広まるし」


家主「今までこんなこと初めてなんですよ。心理的瑕疵があるような事も起きてないし、前の借家人からもそんなこと言われたことは無かったし」


草壁「で、この部屋で【目のお化け】を見たと?」


家主「ええ、宿泊にきた家族連れがこういうのを見たと。蛾かなにかでも見間違えたんじゃないかと思ったんだけど。そんなんじゃなくて、もっと小さくて黒い目がたくさん瞬きしてたって、そこのお子さんが」


 家主が見せてくれた子どもが描いたという絵には目が無数に並んでいたのでした。


草壁「ふむ。蛾に限らず虫は紫外線で方向を感知する生き物だから、部屋の明かりに集まって窓に貼り付いていたのが消灯したとき障子に影が浮かび上がったという可能性も確かにあるんだけど。瞬きしていたというのと絵のような列をつくって並んでるのが気になりますね。なら妖怪【目目連】のほうかも?」


野沢「妖怪!?」


草壁「うん。というか妖怪だったというほうが正しいかもね」


家主「あの、ソレはどういうモノなんですか?」


草壁「人間の目は格子の線が交差した部分が点に見えることがあるんですよ。格子錯視といって、ハーマン錯視やバーゲン錯視っていうんですけど。こういう障子の格子が部屋の明かりの点灯や月明かりの有無などで影になったとき、家鳴りみたいな心理的作用も影響すると目に見えたりすることがあるんですよ。目目連の正体と言われてます」


家主「なるほど、いまいちよくわからないけど目の錯覚ってことですか?」


草壁「ええ、実際試してみないことにはわからないですけどね(笑)あ、そうだ!タマちゃん、今日ここに泊まらせもらったらどう?」


 野沢は家主の手前、首を横にふることはなかったが目を猫のように見開き、断固拒否するという姿勢を示した。


野沢「という事で、ウチの草壁が一人で泊まるみたいですけど良いですか?(ニッコリ)」


家主「ええ、全然かまいませんよ。なんなら、お食事付きで。しばらくの間、ババ活で話し相手にでもなってもらおうかしら(笑)」


 と家主は草壁に「お金なら持ってるよ♪」と耳打ちをした。


草壁「え、うそ。冗談ですよね?(笑)なんで、腕を掴まれてるのかな?ちょっとタマちゃん、野沢さん?置いてかないでよ。おーい!」


 一方その頃、出先からの帰りで駅の構内を歩いている遠藤。ほかの客たちとのすれ違い様に何処かで見た覚えのある人物が遠藤の横を通り過ぎた。


とっさに振り返る遠藤。


?「誰かお探しですか?遠藤さん(笑)」


 遠藤の目が猛禽類のように見開き


遠藤 (なんで【ホンモノ】が此処にいるんだ!?)


 と、その相手の存在を否定するかのような姿勢を示したのでした。


第二十話(終)





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