第三篇「デートの予定を立てるも肝心のデートのための休日が明日であった話」
一通り話を終えるとレイジは自分のスマホを開く。
「「今度」って言ってるが土曜は明日だぞ」
「え……?」
天愛も今気づいた顔で持っているスマホを開く。
「……」
こっそり中身を覗く。
(アプリゲーばっか……)
明らかに容量ギリギリまで入れてるだろうアプリゲーの山にレイジの顔がゾッとする。
(そういえばコイツ普通にズイッチ2持ってるから新しいのが嫌いなわけじゃないんだよな……)
少ししか触らせて貰えてないが俺も早く欲しいと思うレイジだった。
天愛の澄んでいる目がパチパチ開く。
「本当に明日土曜ですでね。な・ら……」
スマホを仕舞う。
「今日は私の家に泊まりましょう。先輩!」
「なぜ?」
「だって明日も学校だと思っていたら実は休みだった……なんかお得な気持ちしません?」
「それはお前の感覚だ。俺は普通に明日は休みだって気付いてたよ」
「実は先輩が寝るようのスペースを少し確保しておいたんです」
「話を聞け!」
「あ、お家には連絡してくださいね! 未成年誘拐なんてしたくないですから」
「結局泊まることは前提なのね……」
はぁとため息をつく。
「お前がサクトのチームに入ってる理由を改めて理解したよ」
「先輩……」
笑顔だった表情が恐ろしいまでに凍る。
「次それを言ったらサクト先輩の知ったら損する世間から見たら生き恥のようなエピソードを寝てる間ずっと言い続けますよ」
「泊まることは決まったうえで嫌がらせかよ……」
頭の後ろを掻く。
「しかも他人が聞いたら共感性羞恥で恥ずかくなるネタを使うって却って悪質だな……」
「二度と私をチーム千早のメンバーに相応しいなんて言わないでください! 私にとってチーム千早は人生の汚点……いえ、隠すべき過去なんです!」
「その発言自身が自分以外は見下してるサクトのチームに相応しい気が……」
「あっ……?」
「なんでもない……」
「よろしいです!」
なぜか誇らしげに大きな胸を張る天愛にレイジは改めて思い知る。
(全てが自分の思い通りにならないと気が済まない。その辺があの自己陶酔系のサクトといい勝負なんだよなぁ……)
まだ出会って少しだがサクトの考えと思考は理解してる。
ゆえに余計に天愛の態度が彼と似たり寄ったりなのだと思い知る。
「あ、そうそう……」
急にスカートのポケットに手を入れる。
「なにか目的があった方が先輩も私の家に来やすくなるでしょ。はいこれ貸してあげます」
「うん?」
手渡された先進性を感じさせるポケットゲームに首を傾げる。
「なんだこのゲーム?」
どこかPZを彷彿とさせるイカしたデザインだなと思う。
天愛はまた大きな胸を張りふふっと笑う。
「当時まだゾニーが遊び心があった時代に生まれた傑作! プレイゾーンポケットです!」
「プレイゾーン……ポケット?」
なにか嫌な予感がする。
しかしゲーム機を受け取ってしまった以上もう後戻りできない。
レイジはため息をついて覚悟を決めるのだった。
つづく




