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3-1 結菜のバイト宣言。玉子焼き付き。

「あたし、バイト決めたよ」


 例によってふたり並んでの弁当ディナーのとき、結菜がいきなり宣言した。


「マジか……」


 思わず、弁当のシャケを落としちゃったわ。これ落とすと泣く。なんせシャケ弁だけに、これがおかずのメインだし。


「ほらほら洋介兄、赤ちゃんみたいだよ」


 大きなシャケを指で摘むと、大口開けてガバッと放り込む。


「ふん……ほいひい」

「お前なあ……。メインのおかず取られて、どうしろってんだよ」

「あたしの作った玉子焼きがあるでしょ。玉子焼き弁当と思えばいいじゃん」

「それしかないしな」


 やむなく結菜玉焼きをつっつく。砂糖を使わず醤油とみりんで味付けした玉子焼き。女子高生にしては渋い趣味だ。


「うん、うまい」

「でしょ。感謝してよね」


 鼻高々だな。


 結局結菜は、毎日なにか一品作って俺の帰宅を待つようになった。料理はしなくていいと命じてはいるが、一品くらいならと黙認している。


 主婦の真似事なんかより、高校生らしく勉強やらなんやらに集中してもらいたかったから禁止したわけだ。でもまあ、なにか自分でもやってる感、達成感が欲しいんだろう。その気持ちもわかるしな。


 学校も行かず部屋に閉じこもって毎日漫然とスマホ画面見るだけとか、少なくとも女子高生がやるべきことじゃない。それなら晩飯にプラスアルファする献立でも考えてもらったほうが、まだマシだ。


「とりあえず礼は言っとくわ」

「へへっ。あたしがいて良かったでしょ」


 部屋着にしろって言ってるのに、結菜は今日も学校の制服のままだ。


「それより、どんなバイトなんだ」


 気になるわー。


「コンビニ」

「へえ」

「ファミリーセブン」


 それだけ言うと、唐揚げを口に放り込む。


「ほれもほいひい」

「食べ終わってから話せよ」


 でもまあ安心か。結菜は、ちょっと変なところがある。なんか斜め上のバイトとか探してきたらどうしようかとは思ってた。コンビニなら、品出しとレジとかだ。問題はない。


「で、いつからなんだ」

「明後日」


 俺の弁当に箸を突っ込み、ぐいーっと飯を削り取って自分の弁当に「足し飯」する。


「お前なあ……。俺だって腹減ってるんだぞ」

「ごめん。我慢できない」


 これもう、明日の晩飯からは弁当三つにするしかないな。俺、育ち盛りの食欲、ナメてたわ。


「デブるぞ」

「ひどーい。太ってないでしょ。ほら」


 シャツのウエストを絞ってみせる。そうすると胸の形が強調された。


「まあ、それほどデブではないな」


 スリムってわけでもないが。普通に健康的な体型だ。胸は少し大きめだとは思うが、最近の女子高生事情には疎い。この程度が当たり前なのかもしれない。触り心地は良さそうだが、もちろんそっち方面は全封印の構えだ。


「夜は駄目だからな。結菜の門限は五時だ」


 同居の際、最初に決めた門限だ。小学生並みとかさんざんっぱら文句言われたが、なんとか押し通した。いろいろ心配するの嫌だし。


「安心して。昼だけのシフトにしてもらってるから」

「変な客が来たら、事務所に逃げて誰かにヘルプしてもらうんだぞ」

「なに。心配性のお父さんかな」


 思いっくそ、笑われたわ。


「結菜はもう大人だよ。だから大丈夫」


 大人ったってなあ……。俺から見ると、どえらく危なっかしいんだよ。


「まあ前向きなのはいいことだけど、バイトだけじゃなく、趣味とか資格とかもやっとけよ」

「う、うん」

「英語とかどうだ。絶対将来役立つぞ」

「なに。洋介兄、ママみたい」


 また笑われた。てか大口開けて笑うな。はしたない上に胸が揺れるぞ。

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