最終話 従姉妹とでも「純愛彼女成立する」説
裸の結菜を抱いたまま、朝になった。カーテンを通して朝の光が部屋におずおずと入ってくる。俺の肩に頭を乗せ、結菜はすやすや眠っている。いつものように、俺の胸に腕を回し、下半身に腿を乗せて。
子供のように無警戒な寝顔には、涙の流れた跡がある。抱き合ったとき汗まみれになった体はもうすっかり乾き、肌は滑らかだ。ゆっくりした呼吸に合わせ、柔らかな胸の先が俺の胸を押してくる。
結菜……。
とてつもない満足感が、俺の心に広がっていた。好きな人と夜を過ごすのって、こんなにもいいものなんだな。ひとりで処理するのに比べると、最後も一回一回、しっかり受け止められてる実感があって。
「……お兄」
うっすら、瞳が開いた。
「起きたか」
「うん……。何時」
「まだ七時前。多分、日の出くらいかな。明るくなったから」
「ふふっ……」
なにを思い出したのか、微笑んだ。
「お兄のエッチ」
「男だからな」
「あたし、恥ずかしかったよ」
俺の胸に顔を埋めてきた。
「今だって恥ずかしい。裸で抱き合ってるなんて、嘘みたい」
「かわいかったぞ」
「お兄の意地悪……」
ますます顔を押し付けてきた。
「痛かったか」
「すっごく。……えいっ」
俺の腕をつねった。
「痛いだろ」
「この百倍くらい」
「マジか。……頑張ったな」
「でも幸せだった。お兄が……」
ふうと息を吐く。
「あたしのこと好きだってわかったから。だからお兄は、あたしのこと自由にしてもいいの。どんなに恥ずかしくても、結菜は我慢するから」
「いい子だな」
頭を撫でてやった。
「もう……また子供扱いするっ」
「なんだ。大人扱いしてほしいのか」
胸に手を置いて、ゆっくり揉んでやる。ふざけるように、指で胸の先を撫でたりして。
「やだよお兄。……またヘンな気分になっちゃう」
「なってもいいぞ。今日は土曜、休日だ。ふたりでのんびりしようや」
「のんびり……じゃないよね、多分」
くすくす笑っている。
「いずれにしろこれでもう、結菜はお兄のセフレになれたね。本当の意味で。……やっとだよ。四月に押しかけてから、八か月も掛かって。セフレになるのも大変だよ、全く」
「いや違うぞ、それは」
「えっ……。でもエッチなこと、したよね」
不思議そうに頭を起こした。
「違う。結菜はセフレなんかじゃない。俺の彼女だ」
「お兄……」
俺をじっと見つめる瞳が潤んできた。
「あたし、幸せだよ」
顔を近づけてくると、結菜は目を閉じた。
「ん……おに……い」
「……」
「ん……んっ」
何度もキスを与え胸を触っていると、息がまた荒くなってきた。脚を掴むと、へなへなっと力が抜ける。脚を開いて、結菜は俺を受け入れた。
結菜の体と心に溺れながら、俺は思った。
保護者として結菜を預かったというのは、事実だ。……しかし今となっては、従姉妹の女子高生をたぶらかして関係を持ったという主張も、外形的には整ってしまった。
会社とか親戚とかどうしよ、これ……。
でも、優しく俺を包んでくれる結菜と愛し合っているうちに、どうでも良くなった。結菜とふたりなら、きっとどんな困難な道だって切り拓いていける。あの厳しい新製品コンペを勝ち抜けたときのように。
もうすっかり太陽が上り、カーテンの隙間から漏れた朝日が、暗い世界から結菜の顔と胸だけを明るく照らし出していた。未来を祝福するかのように。




