マルーク嬢
第55章
一方、女性サロンでは、レノミンの衣装が一番の話題になっている。
「このドレス本当に素敵です。お腹の部分が、ドレスに溶け込んでいて、この素敵な刺繍の模様は古典ですか?」
「はい、カタクリ国の方々が、ドレスに組み込んでくれました。私のおばあ様の物で、とっても気に入っています」
「グレースもとっても可愛いです」
「ええ、その美しさは罪になります」
「グレースとエミリオはあまり似ていないけど、グレースはカタクリ国のお顔立ちですか?」
「ええ、レノミンさんとグレースはカタクリ国の顔立ちです。しかも王室の特別クラスでしょう」
グルガシ国の皇后は
「ええ、本当に久しぶりに会ったグレースには驚きました」
「若い時の美しさは宝石の様で、羨ましいです」
「いやだ、私たちもまだまだ若いですよ。きっと・・・・」
「はははははは・・・・」
「レノミンさんはこれから出産ですね」
「ええ、ちょっと年齢的に心配はありますが、周りの人々に支えられ無事に出産出来たらいいと思っています」
「ええ、私たちも祈っています。今年は4カ国で新しい子孫が増える年で記念の年になります」
「新居はまだ完成ではないのですか?」
「はい、キース先王が自分で作りたい物が沢山あって、全然進んでいません・・・」
周りの王妃たちは「???????」状態・・??
「え・・・、キース国王は国王になる前は木工職人をしていまして、家具とかを自分で制作したいらしく・・隠居の身ですから、のんびりと制作したいみたいで、今は一番の難関に取り掛かっています」
「それにはハナ国のマルク医師に相談にのってもらっていて、本当に申し訳ないです」
「素晴らしいではないですか、手作りって、そのような国王は、今までいませんでしたよ」
「はい、国王も私も、王室とか伝統とかに疎くて、しかし、今回の即位式から、本来の王室に戻して行きたいとエミリオは思っているらしく、今日の儀式は後世にも伝承出来たらと思っています」
「エミリオ国王は本当に利発です」
「グルガシ国のご夫妻でコチャ領の近くに別荘を建てる予定ですか?」
「ええ、今回はコチャ領の近くと、カタクリ国と両国の国境を開通して欲しいとお願いに上がりました。国王は、一番年齢が高いですし、キュル国王は成人ですが、まだまだ若い国王です。長生きしたいと申しまして・・」
「はい、きっと、大丈夫ですよ。ハナ国は少し遠いですが、王都からはそんなに距離が無いので王都を経由して、いつでもコチャ領にお越し下さい」
「ありがとうございます」
それから王妃たちは女性の話題、ドレス、化粧品、こらから生まれる4人の命について長く語りあった。
次の日、まだ、王室行事が行われる前に、グレースに連れられてマルークがやって来た。
「お母様、おはようございます。エミリオに言われてマルークさんをお連れしました」
マルークは本当に緊張して、少しもじもじしている。
「いらっしゃい、さあ、座って・・・お菓子でもいかがですか?」
レノミンはマルークに近くに来るように言って、手招きする。
「マルークさん、今回は即位式の為に、たくさんの文献の調査をして下さり、ありがとうございます」
「初めまして、Ⅼ・・・レノミン様、本日は無理を言ってすいません。どうしても・・Ⅼ葉様とお会いして、お話がしてみたくて・・・」
「はじめまして、私の本を沢山読んでくださってありがとう。今度は別荘にも遊びに来てくださいね。今は、赤ちゃんを産むことが、一番の仕事になっていますが、生まれて落ち着いたらまたロマンス小説を書きたいと思っています。その時は感想を教えて下さい。エミリオとはお友達なの?」
「いいえ、違います」一瞬、間があく・・
「そ、そう・・・キース国王はあなたにとっても感謝していたのよ。とっても優秀で、とっても、助かりますって、ちょっと待っていてね」
レノミンはミンクを呼んで、黄色いネズミの特大版のぬいぐるみをマルークに渡した。
「久しぶりに作ってみました。もしよかったら貰って下さい」
「こ、こ、これ、触ってもいいのですか?」
「もちろんよ。絵本はもう読まない年ごろだと思うけど・・・エミリオがぬいぐるみが喜ぶだろうって、言っていたので、黄色いネズミにしました」
マルークは気に入って手が離せない様子・・しばらく、大切そうに黄色いネズミを見て、目が笑っている。そして、ゆっくりと話しだす。
「---私、いつも、本を読んでいて、子供と言う身分で、父は国営の図書館の館長だから、目が覚めてから寝るまで図書館に居ても誰にも咎められなくて・・・でも、キース国王は私に色々聞いてくださって、私が調べた事を取り入れて下さいました。もしかしたら、私が少しでもお役に立つと思って頂けたのであれば・・本当に嬉しくて・・・それだけで嬉しくて・・」
「でも、レノミン様がⅬ葉様だとわかって・・つい、国王にⅬ葉様にお会いしたいと言ってしまいました。それなのに・・私の為にぬいぐるみまで下さって・・・・え~~~~ん」
急に泣き出したマルークに周りはビックリしていたが、レノミンは彼女の気持ちが痛いほどわかっていた。彼女はこの世界のきっとオタクだ。
そして、本当に目立たないモブ・・・自分と一緒。
レノミンは彼女に近寄って、抱きしめる。マルークの体がビクっと、硬くなったのがわかった。
「マルーク、私は小さい時から体が弱かったし、母親もいませんでした。ベットで出来る事は本を読むことでした。そして、国王と出会った時、国王は王宮の図書館にベットを運んでくださいました。あなたと一緒ですね。起きてから寝るまでずっと図書館でした。そこが一番落ち着いていられる場所で、あなたの気持ちがすごくよくわかります。でも、あなたは凄いのね」
マルークは驚いた顔で
「え???」
「剣の練習を始めたのでしょう?」
「それは・・・エミリオ国王が・・・」
「ふふふ・・でも、一歩、外に出たのです。立派ね。即位式が終わって、キース国王と私とグレースはコチャ領に戻ります。そして、エミリオは国王になったばかりで、大変忙しいと思います。もしも、出来たら、少しだけ、エミリオ国王を、助けてあげてくれないかしら?友達として・・」
「グレースもこれから領主としての仕事をするでしょうけど、グレースには沢山の助けてくれる人がそばに居てくれます。でも、エミリオには沢山はいない・・孤独な生活です。もしも、少しだけでも、その孤独の辛さがわかった時に、エミリオに声をかけてあげてくれないかしら?」
マルークは立ち上がり、
「はい、レノミン様、きっと、できます。エミリオ国王が、私がぬいぐるみを欲しと思っているのが、わかったように、私もその時は声を掛けてお役に立ちたいとおもいます」
マルークは何かを吹っ切れたように、笑顔になって、お辞儀をして立ち去っていった。
その場にいたグレースはマルークの立ち去った後に、
「お母様、彼女はお母様の所で、警護の仕事がしたいのよ。頭がものすごくいいのに・・でも、エミリオの近くにいて欲しいと言われてショックを受けると思ったけど・・違うの??」
「そうね。護衛の仕事は彼女が望めば、何年先でも出来るでしょ、でも、今、彼女にしかできない事もあるって、きっと、わかったのではないでしょうか?グレースは孤独とは無縁だから・・」
「えーーー、私だって、寝る時は、今は一人です。シルキーはもういません!! 」
「お母様!! わたしだって、孤独だ!!! 」




