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結婚準備

第50章

 別荘に戻り、グレースとエミリオに結婚することを報告した。


 グレースは抱き着き喜んで、領主の仕事は任せてと、胸を叩いた。


 エミリオは、夜にレノミンと電話で話をした。

 「エミリオ、無理していない?国王の仕事は本当に大変だと思いますよ」


 「ええ、もちろん、大変です。しかし、お父様が、この国の政務に取り入れた委託と言う制度を、活用していけば何とかなります。もしも、今、口うるさい上層部がこの城に残っていて、あれや、これや口出される方がやりにくいと思います。私は幼く、王都では上手くやって行く自信はありますが、王都以外はまだ未知の世界です。お父様と話をして、王都以外はお父様が大人になるまでは調整して下さる事になりました」


 「この国の国民は、意外と真面目に仕事を行います。私が信じて、色々な事を、国民に振って行く事が、今は一番いいと、ニース学者とも話しています。今は、色んなことを把握することに努めている途中ですが・・・もちろん、お母様やお父様にも、これから沢山助けて欲しいと思います。後、コチャ領の領主様にもお願いすることはたくさんあるでしょう。国は一人では動かせません」


 「もちろんです。ありがとう。エミリオ・・本当にありがとう」

 「お母様、僕たちを産んでくださり、ありがとうございます。お父様とお幸せになって下さい」


 キース国王は、宰相と相談して、エミリオの即位式を行い、それから、出産、そして、結婚式と言う順番にした。エミリオ新国王にはニース学者が補佐官となり、ギシが宰相の座につく、ドント宰相はキース国王と共に宮殿を去り、今後はキース先王の政務官となりいつまでもお仕えする。


 「ドント宰相、本当にいいのですか?別にエミリオについても良かったのに・・・」

 「はい、私も国王を見習い、愛しい奥方とのんびりスローライフを実現します。それに、エミリオ皇子は今回、息子たち3人を軍部に残して下さいました。それだけで十分です」


 「奥さんは前世では軍師のお嬢さんだったのでしょ。今は庶民で生まれていて、良く見つけたね」


 「はい、若い頃、偶然、見かけました。それから何度も陰から見て来ました。貧しい暮らしぶりでしたが、容姿と気品は変わっていませんでした。何十年も私を待っていてくれた事に感謝しかありません。残りの数年は昔の様な生活をさせるつもりでしたが、彼女の希望は・・・・」


 「彼女の希望は・・?」

 ドント宰相は膝をついて、国王にお願いする。


 「彼女は根っからの軍人です。腕は腿と同じくらい太く、剣を抜けば私よりも強いです。昔から・・・ジャルさんの様に空は飛べませんが、必ず、命に代えても、レノミン様をお守りできます」

 「??????」


 「・・・・・・誤解があると困るので訂正しますが、とっても美人でもあります。そして・・・(汗)・・・Ⅼ葉様の熱狂的なファンです。彼女が読んでいるロマンス小説が目について、これはレノミン様が書かれた小説だと話した所、大変興奮いたしまして・・・今回、是非ともレノミン様の護衛につきたいと、言いだして、---彼女の願いをどうか聞き入れてもらう事はできますか?」


 「君さぁ、僕たちや、国に結構、悪い事してきて一度も頭を下げた事ないよね。今、この時・・私用で頭をさげるって・・・・今後の警備体制については家令やバルト達の範疇になるから、そっちには話してみるけど、一度、奥様に別荘を訪ねてもらって下さい」

ぱっと、嬉しそうに顔をあげて、「ありがとうございます」と言い、宰相は出て行った。


 「---まだ、相談すること沢山あるのに・・・・お~~~~い! 僕の事は誰が守ってくれますか・・・・?立候補者はいないのかな・・・?」


 書類を机に投げて、「まさか?本当にいないのか???」


 その後、バルト達と宰相の奥様の面接は、順調に進み採用が決まった。決め手はレノミンのロマンス小説への愛と剣の素晴らしさだった。


 それからは毎日が本当に忙しく、プロポーズから1ケ月後に3国にキース国王の退位とエミリオの即位の式典の招待状を送った。


 各国の反応はそれぞれで、グルガシ国はエミリオの即位式の1か月前にやはり、コロネ国王の退位とキュル皇子の即位式を行うことが急遽決まり、招待状が届いた。


 カタクリ国のカスター先王からは、

 「英断だ」

 「それで、君たちはどこに住まいを移すのか?宮殿はエミリオ、コチャ領はグレースに明け渡すのであろう?」


 「---はい、まだ、考えていませんが、どこかの地方でレノミンさんと生まれてくる子供と3人でのんびり暮らすのもいいかと思っています」

 (里でのスローライフ)


 「それでは、エミリオやグレースが可哀そうだ。一国の主とは言え、まだ、子供・・・、そこで、考えたのだが、私も今、橋の近くに庭園を立てている。住まいは隠居の身だから普通だが、庭は広いぞ、子供を育てるにはいい所だ。橋を渡ればすぐコチャ領、だから、橋の向こうに君たちも屋敷を作ったらどうかね」


 「---それはレノミンさんに、相談しないとなんとも言えません。しかし、住まいの事は、頭になかったのでありがとうございます。すぐに、レノミンさんに聞いてみます」


 「それから・・・グルガシ国王も最近では体調が優れないらしく、コチャ領に一番、近い場所に隠居の住まいを建てるらしいと、噂で聞いている。年を取ると健康が一番ありがたい。レノミンに聞いて、なんなら、私が結婚祝いに屋敷をプレゼントすると言ってくれ! あっ! レノミンの体調のいい時にな。これから、寒くなって、忙しくなる。とにかく、大事にして、頼む」


 キース国王は、カタクリ国とグルガシ国の反応は意外だと思っていた。


 もっと、わいわい文句や嫌味を言われるのかと覚悟していたのだが、


 レノミンは、

 「お二人とも退位して、肩の荷がおりて、健康に気をつけるようになったのではないでしょうか?まだまだ、きっと、長生きして、国の未来を覗いてみたいのでは?それに、同じ立場の人間は、そうはいません、国王を退いてゆっくり遊べる人間はこの世に3人だけです」


 「そうか・・・これからの事を考えて、レノミンさんの近くに居たいんだ」

 「ええ、そして、かわいい赤ちゃんも生まれます。きっと、お二人には孫のような・・・」

 「そうだ、女の子だったら、きっと、僕たちの屋敷にずっといるぞ!! それは困った! 平和でいいような、悪いような・・・」


 「ふふふふっふふ・・・」

 「それより、エミリオとグレースの提案はどうしますか?」


 「生まれてくる子をファースト家の子にする事?」


 「エミリオはグレースの事を考えての提案で、グレースは、エミリオに気を使っての事だと思います」


 「生まれる前に決めて置けば、後の争いは起きない。エミリオはグレースに道を残したいと思い、グレースはエミリオの為と妹の為・・・王女になるとエミリオが守る者が多くなって、負担も増える。それに危険も伴って、気が気ではない」


 「やはり、コチャ領の方が安全だよね」

 「ええ・・・でもそれでは国王が婿入りすることになってしまって・・申し訳ないと考えます」


 「この件はもう少し考えさせて・・・結婚って、こんなに大変だったのか?・・記憶が本当にないな・・?」


 「ごめん、気に障ったらいってね。僕の駄目な所だから・・・」


 レノミンは微笑み頷いた。


 前世の沖(0)の結婚はきっと不思議な結婚生活だと最近は思っている。しかし、何も告げてはいない、自分の胸にだけに留めておこうと思う。


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