悩む4国③
第29章
今回の視察の旅は結局5人、カタクリ国王は、側近から情報が洩れているのを実感していたし、ハナ国のシン国王はすでにマルク医師を派遣しているので、彼を連れて帰る為に空席を作った。グルガシ国王は国に帰るまでの一行を心配し、自分の事よりも、そちらの方に武力を残した決断だった。出発の時に3国王が落ち合って、互いに考える事は同じだと、笑い合った。
「5人での移動はギリギリ1台で出来ます。武器は、それなりに積んであるので、何かあった時は応戦できます。今、出発しますか?」
「考えても仕方がない。行くか・・・」
「ええ、行きましょう。4国すべてに後継者はいます。事態の把握もしています。大丈夫でしょう」
最初に立ち寄った場所は、カタクリ国とサンシン国が塩を作っている海岸線、そこからの侵入は、本当に大変で、S国も命がけでないと無理だと結論になった。しかしながら、平らな場所が見えたので、サンドロは爆破した。
その時に・・・シン国王が、
「海岸線で漁をしている漁師たちに爆弾の捜査を教えて、海底に投げ込んでもらいましょう。と提案した。そうすれば谷と山のどちらかが出来て、船が座礁しやすくなるのではないでしょうか?」
「それは必ず、漁師が行い、危ない場所を覚えてもらう事も大切です。なるべく沖まで出てもらって、それからになります」
「しかし・・・水中で爆破するのでしょうか?」
「---そうですね」
その後、車で海岸線を見て回り、サンドロは上陸できそうな場所を破壊していった。
「君は、どうやって爆破を覚えたなかね」
「はい、陛下、色々な薬品で遊んでいる時に、不可抗力で爆破が起こり、この力をコントロールしていきたいと思いました。それから薬品の原材料が、サンシン国では豊富に採掘できたので自分の商売にしました。花火とかですがね・・・」
「一番の顧客は、グレース様で花火が大好きでしたので、誕生日とかは沢山あげる事が有名になりました」
「サンシン国も探せば金山銀山が見つかるかも知れないな・・・・」
グルガシ国王は近くの漁師に船を借りて、とりあえず沖までサンドロを連れて行ってもらい、爆破できるか試してもらった。そこは漁船が侵入しない場所で大きな岩があった。
「バーーーン!! 」と音がしたのが聞こえて来た。
サンドロは調子に乗りやすいタイプで、バンバン投げ込んでいった。
周りの人達はビックリして、沖を見ていたが、その時に黒いものが噴出しているのが見えた。
「油田?石油?なんだ??」
サンドロが帰って来て、漁船も人も真っ黒だった。
キース国王は匂いを嗅いで、石油だとわかった。(ここにも金山が・・・・・)
それを少し取って、海の上で火をつける。
「燃えた・・・・・・」
「水の上で燃えている・・・・」
「金山以上のものを見つけた、かも知れません・・・・これを利用して対策を練る事が出来たら最高でしょう」
「国王はとりあえずこの場所の確保を急いで行って、ここの住民にこの黒いものを鉄の缶に入れて保存を指示して下さい。いい加減に扱うと、さっきの何倍もの爆発が起こると告げて、ハナ国のサントラ商会の人に新しいエネルギーが見つかったと教えて下さい。きっと、何かスゴイものが出来ます。そして、知恵を出し合い、S国の侵略を止めましょう」
もうすぐ夜になり、その領土の屋敷に泊まる事にして、そこの領主がびっくりして震えた。
流石にそうだろう・・4国の国王が自分の家に泊まるとは一度も考えていない。
それぞれの国王は電話で自国との連絡を取る。
カタクリ国の国王の落胆はかなりの物だった。
「うん、わかった。場所は言えないが5人とも元気だ。そちらを頼む」
報告を聞き終わったカタクリ国は目を瞑る。
(やはり、そうであったか・・・信じたくなかった。)
カタクリ国、最大の裏切り者はやはりいつも一緒の宰相だった。
ハナ国の持ち込んだ車は、見かけはすべて一緒、カーキ色で統一してある。
サントラ商会はカタクリ国の貴族に売り込む為、その屋敷を訪問して性能を披露する。
カタクリ国の王都で、夜でも車が走っていることに、誰も疑問を抱かない。しかし、前夜の会話の中で2台での出発と話し、その時、すでに3皇子を同行すると宰相には話してあった。
「そして、宰相もバカではない・・・・2、3日後に出発するとは思っていないだろう・・・そこで、ハナ国と3皇子にダミーを頼み2台で出発する。もちろん、この2台は危険が伴う、しかし、餌を撒く必要がどうしてもあった」
「---やはり、そうでしたか?」
「誰でも思うだろう・・・?あの橋には、数千のS国の人間がいたのだから・・・我が国で、誰かが手を引かないければ、入国は困難だ。そして、その後、何喰わない顔で我が国で生活できるには、それ相応の身分の人間でなければできない。いつも、後継者の人数が多いことが我が国の自慢であった。他の3国は悲惨な状態を知っていたので・・・しかし、自分の子供に裏切られるとは・・・残念だ」
「王都を出て、しばらくした所で襲われたらしい・・・」
「3皇子は・・・?」
「勿論、戦いに敗れて名誉の死を遂げたことにしたよ。王妃の願いだ。子供たちや孫に良くない影響を懸念してでのことだが、皇太子はもちろん知っている。しかし、今、自分がどこで何をしているかは、流石に告げられない。信用できない・・・・君たちは、確か、皇子はただ一人、本当は、それが一番いいのかも知れない。この後、カタクリ国は私が死んだ後は後継者争いに進むのだろう・・・」
ハナ国の国王が
「私は皇太子が使えない場合は、他の領土の領主に国王になるように、3教たちと話し合い決めてあります。自分の子供だと言っても、いつ間違いの道に進むかわかりません」
「彼が言っている領主は天才で、確かな人間だから任せられるのです。我が国や、サンシン国は、そうはいきません。血統をなによりも国民が気にしています」
「そこが難しいところだよ・・・・」
そんな時、外で大きな爆発があった。
3人の国王は外に出ると、キース国王がその領主に火炎瓶の作り方を伝授していた。
ガラスの瓶に石油を入れて、紙をこうやって、火をつけて、投げる。バーーーン!!
「どう?すごいでしょ。しかし、危険が一杯だとわかる?」
「だから、揺らしてはダメ、火気厳禁だね」
「もしも、敵が攻めてきたら、武器にもなるから、瓶とか生産した方がいいね。ここで出来るのでしょ」
「キース国王、僕も海の石油を持ち帰りたいです」
「そうなると、4国の国王が乗った車が大爆発を可能性が高くなるけど、いいの?火気厳禁だけど・・・・」
「------」
「--なぁ、シン国王、彼はバカなのか、優秀なのか、教えてくれないか?」
そこにいたグルガシ国王とシン国王は、首をかしげて答えていなかった。
(永遠の謎・・・)
夕食は5人だけで捕る。もちろん、領主は近寄ることもできない。それに今は石油の事で頭が一杯だ。
夕食の時には、スライム携帯が4人の楽しみだ。キュル皇子が食事を始めた事を聞き、コロネ国王はグレースに何が欲しいものはないかと、尋ねた。
グレースはじっと国王たちの食事を見ている。
「おじい様たちの食べている蟹はどうしてそんなに大きいの??美味しいの?エビもとっても大きいわ・・・美味しいの?後・・それ・・・美味しいの?」と食べ物の質問ばからする。
「そう言えば、コチャ領の蟹やエビよりも大きくて、素晴らしい物だ。うん、美味しい・・・」
「お父様、蟹とエビをお土産にお願いします。私・・たくさん、食べます」
とグレースが話す。
「ハナ国でも、蟹やエビを送ってもらった時に、鉄板で焼いてみんなで食べたんですが、それはもう、大好評でした。余りのおいしさに泣き出した者もいて、楽しい時間でした」
それを聞いてグレースは、「ちょっと、席を外します。----よだれが・・・・」
「---ハハハハ・・・」
「早く、グレースに、会って沢山の蟹やエビを渡したい」
すべての人はきっとそう思っている。----ついでに、グルガシ国王が尋ねる、
「しかし、レノミンさんは、いつも電話の向こうに見かけないが、君たちは連絡し合っているのか?」
「レノミンさんにもお礼をしたいと考えるが何がいいのか・・・キース国王はレノミンさんは何が好きなのか知っているかね?」
「---蟹ではないでしょうか?」
「------」
周りは黙り、カスター国王は微笑む。
ーー知識はありません、架空です。ーー




