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悩む4国

第27章

 スライム携帯で皇子の様子を見て、落ち着きを始めたコロネ国王は、国へ状況の把握と共に海岸線での捜査を命じ、国内でどの位S国の人間が活動しているのか徹底的に調べるように指示をだした。

 

 「コロネ国王、私が、思うのはかなり昔から、S国はグルガシ国で活動を始めていたと考えます」


 「---今回の事で、幼い皇子二人が、海で亡くなったことも少し・・・イヤ、多くの疑問が生まれた。後継者がいない国はどこかに食われてしまう・・・。例えそれが親しい国でも国民の中にはシコリが残るだろう・・・その中で不満分子が、そそのかされて分裂していく事はよくあることだ・・・」


 「二人の皇子が亡くなって、王妃も後を追うように弱り、亡くなった。その後、娶ったのは今の王妃で長く不妊に悩み、ハナ国からの助けでキュル皇子が生まれた。キュル皇子の後は続かなかった。唯一の皇子で、最後の皇子だ。それを・・・・S国め・・・・」


 「今回、S国がこんなに早く仕掛けてきたのは、きっと、こちらのS国排除の動きを察知してのことでしょう。ハナ国とサンシン国では、すでに何人かが捕まり始めています。今回の事でカタクリ国の国民も、S国に対しての警戒が強まり、国民一人一人がS国の人間を探し始めます」


 「まずは海岸線でS国からの侵入を止めることが第一になるでしょう・・・・」


 「国境に配置してある、警備部隊を海の方に移動した方がいいでしょう。我々には共通の敵が居て、どの国も互いを侵略して戦争を起こさないと決めて、文章で発表するのはどうでしょうか?」


 「しかし、ハナ国とサンシン国、グルガシ国は大陸側にも注意を払わなくてはならない・・・」


 「大陸側はどうでしょうか?大陸側には海のような大きな川が流れていて、今まで一度も侵略を許したことはありませんが・・今後の事を思うと少し厄介ですね」


 話し合いは難航して、簡単には今後の方針は決まらなった。


 その頃、湖畔の別荘では皇子はまだ高熱が続き、目を覚ましたことが無い。王妃は心配で皇子のそばを離れることが出来ないでいた。


 レノミンが王妃に

 「王妃、今晩また霧が来ます。王妃はどのようにお考えですか?」

 「国王に聞かないと・・・・男爵、電話できますか?」

 「はい、あちらは、どうなっているかわかりませんが、こちらからかけてみます」



 スライム携帯は、国王、マルクから電話だよ。電話だよ。と、鳴った。シン国王は急いで立ち上がり、廊下に出るが、もちろん、グルガシ王国もついて来るので、カタクリ国王がここで対応するように言う。


 「はい、」

 「国王、今、大丈夫でしょうか?」

 「うん、4国の国王もこちらにいらっしゃるけど・・・・どう?そっちは?」


 グルガシ国王は

 「キュル皇子はどうだ?病状は改善されたのか?元気になったか?」

 「いいえ、状態は膠着状態です。それで、今日の夜も、霧が出そうなのでもう一度、薬草湯に入りながら治療をしてはどうかと・・・レノミンさんと王妃に聞いたのですが、国王に聞いて欲しいと言われましたので・・・」


 「霧?」


 「はい、霧に生命を頂いているとレノミンさんは言っています」

 「----薬草湯が効果があると思っていた」

 「はい、そうするつもりでしたが、しかし、シン国王が国の大切な秘密を、今この大事な時に公表されて、私が話さないのは公平ではないと思いました」


 カタクリ国王が

 「その霧はあの別荘の湖畔にしか出ないのか?」


 「はい、特にレノミンさんの周りには纏わりつくように発生します。レノミンさんは母性だと信じているようで、今回、王妃の同行を強く希望しました」


 マルクが

 「もちろん、ダリアさんの薬草湯も素晴らしい物です。機会があればアルイム領に出向いてほしいくらいです。温泉と薬草でどんな効能が得られるか期待が持てます。しかし、霧はここでしか発生しません、そして、今夜です、今度、いつ発生するかわからない気まぐれな物に、私たちは頼っています」


 グルガシ国王は決心して、

 「レノミンさんにどんなに感謝してもしきれない・・・・頼みます」とスライム電話に頭を下げた。レノミンは電話の向こうで頷いて、頭を下げた。


 カタクリ国王が

 「もっと早くわかっていたら・・・ココ王女も助かっていたのか・・・・」

 「大体、君は国王なのにその存在を知らなったのか!!!」

 「はい・・・・レノミンさんしか知らなかったと、周りの6人は言っていました。前領主があの場所で暮らしていたのはきっと霧の為だったのです。霧がナナ王女に生命を下さったと思います」

 「そうか・・・・霧か・・・・」


 グルガシ国の国王が

 「レノミンさんはサンシン国の王妃にあたるのかね?そして、カタクリ国王の姪でいらして、グレースさんは2国の血を受けついでいて、素晴らしく美しい女の子だ。君が羨ましいよ」


 「私の娘は40歳半ばで子供はなく、小さい頃は皇子達に目がいって、王女を蔑ろにしていたのかもしれないが、まったく、王宮に訪ねて来ない。自分のせいでもあるが寂しいものだよ」


 「そうですね。寂しいですね」(シン国王・・・)


 「君は確か、娘はいないだろう・・・・」


 「確かにレノミンは私の姪ですが、王妃ではありません。コチャ領の領主です。こちらのキース国王はコチャ領に居候している状態で・・・グレースとエミリオの父親ではあります」

と、苦々しくカタクリ国王が話す。


 (この間抜けな国王が、霧の存在を知っていれば、ココ王女も助かって、今、グレースとエミリオが自分の孫かも知れないと思うと苦々しく思う。)


 「大体、君はレノミンとはうまくいっているのか?」


 「---、はい・・橋を渡ってカタクリ国に向かう朝は・・『お気をつけて!』と言ってくれました」


 3人の国王は・・・・黙ったままだったが、何故か?カスター国王は嬉しそうに見えた。


 「とにかく、自国に帰れば、自分の子供や孫がいる。その子供たちの未来の為にも、S国の野望を止めなくてならない、それにはグルガシ国、サンシン国、カタクリ国の海岸線でどうにかしなくては・・」


 キース国王が

 「昔、聞いた話ですが、手元に矢が無くて、圧倒的に不利だった戦いが目の前に迫っていて、急いで矢を調達する為に草の船を対岸に武装船と見せかけて送り出しました。その草船に敵国より、無数の矢が飛んで来て、草船に刺さりました。草船はそのまま戻り、矢の調達が出来、戦にも勝ったのでした」


 「だから・・・・?」

 「こんな風に上手くいく方法がないかと考えています。グルガシ国とS国は漁場での争いはありますか?」


 「いや、そうゆう取り決めは行っていない、皇子達が亡くなって、S国との交流も途絶えていたので、取り決めもなにも・・・今の国王さえ知らない状態だ」


 「そうなると、グルガシ国の漁師の皆さんに、自分が最大に出向く沖に、何か仕掛けをしてもらって、S国側から侵入する船が、その場所から動かなくなるような仕掛けがあれば、いいと思います。その場から動かなければ、そこには敵国の船があって、こちら側からしてみれば壁になるので、侵入しようとする船で壁を作る。どうでしょうか?陸まで上がって来られたら、それこそ、大きな戦いになると思います」


 他の3人の国王は、余りにも突飛な考えだったので、何も言っていない、この国王は優秀なのか?バカなのか?本当に判断ができないと思っている。


 今日の所は部屋に持ち帰り、各々、協議することとして解散になる。


 そして、2日目の霧の夜が始まった。


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