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頭を抱える。

第19章

 「私は、今回、S国に侵略されない為に、4国のリーダーには、カタクリ王国のカスター国王が1番だと考えました。頭が良く、世継ぎにも恵まれています。グルガシ国の国王は普通の人間で、世継ぎは二人とも亡くなっていました。ハナ国の国王は、論外で世継ぎもいましたが並み程度でした」


 「そして、この国の国王も論外でした。しかし、あなたの国はナナ王女を中心に動いていました。女系に対して遺伝子的な欠点があるのは、明確でしたがそれを認めようとはしません」


 「そして、妄信していったのです。他の国にも、何度も医師の派遣を依頼し、占い、食べ物、薬、すべてナナ王女の為に動いていました。その素晴らしい指導力のすべてを、ご病気のナナ王女の為に、使いました」


 「だから・・・ナナ王女を誘拐して、殺したのか?」


 「---私は殺していません、ここの領土の領主に任せたのです。この領土とカタクリ国との間の川は一部狭くなっている場所があります。普段は川の水量が多くわかりませんが、秋の一瞬だけ、狭くなり、簡易的な橋を渡すことが出来ます。その橋を利用しました。私はゼロ家が王家を継ぐのに反対でした。ゼロ家はろくな人間がいません」


 「---君はなぜ?自分が国王の座に着かない?4国のリーダーにならない?」


 「この国の国民はゼロ家が絶対的な王家です。それ以外は受け入れません。特に私はフォース家です。


 ゼロ家で、まともだったのは現国王のお父様です。しかし、彼もバカの貴族に暗殺されました。彼の右腕だった男は、キース国王と共に消え、その時点で、わたしの希望は消えたのです」


 「ナナ王女を任せたのは、この領土の先代です。ファースト家はゼロ家に継ぐ由緒正しい家柄でしたが、彼は賭け事に狂い、お金が欲しかったのです。なんでも言うことを聞きました」


 「では、なぜ?ナナ王女はここの領主と結婚してレノミンを産んで亡くなったのか?」


 「それは謎です、前領主は優秀な男でした。私が、唯一国王になって欲しいと願うくらいに、彼が王女を救い、王女と結婚したと、わかったのはしばらくしてからです」


 「その時、なぜ?私に言わない!!」

 「言って、どうなりますか?あなたはすでに何年も前から王家にココ王女を娶るように強要してきました」


 「私は信じてもらえないかも知れませんが、この4国が滅んだ時に死にました。運命だったのでしょう。しかし、サンシン国の宰相として、後悔が残りました。後悔して、後悔して、死んだのでした。そして、今度また生まれかわったら最善の方法でこの国を救いたい。国民を幸せにしたいと思いました。ううううう・・・・・」


 「しかし、すべてが上手くいきません・・・私は自分の無能を実感しています」

 「もう一度、生きなおしても同じ結果しか得られないのなら、壊してしまおうと思いました」



 その言葉の後は沈黙が続き、休憩を入れる事になった。


 カタクリ国王とキース国王は互いに話さずに席を立つ、ドント宰相はその場で泣いていた。


 二人の国王には思い当たることが多かった。キース国王は転生を信じている。そして、霧の存在を知っている。


 カスター国王も前カタクリ国王は、ナナ王女の為にイヤ・・・女系の遺伝子的欠陥を認めたくないが為に、王室全体が見えない病と闘っていたのは事実だった。そして、自分もその為には、命を懸けても惜しくないとも思っていた。


 そして、宰相の妄信と言う言葉が事実だと受け止められる。


 「宰相・・どう思う?当時、ナナ王女が消え、国内のナナ王女に対して不満分子が起こしたと一番最初に疑った。ありとあらゆる不満分子の家を捜索して、国内を何年も探した。しかし、父上と母上が亡くなって、私は、正直ほっと、したのも事実。もう、国民を疑わなくて済む・・・呪縛から解かれると・・・」


 「ナナ王女はこの領土にいて、その橋を渡ればカタクリ国に、帰ることも出来たのに、帰る事をしなかったのは、ここの領主とレノミンの為でもあるが、カタクリ国の為でもあると、判断したのか?本当にいい子だった。ワーーーーーーーっ!!! ナナ! 」


「国王・・・・」


「それでも、国王は、国をまとめ、建て直し、最後には、王女がこの国に居たことを突き止めました。ご立派です。ナナ王女もこの地で結婚して、素晴らしいレノミン様、グレース様、エミリオ様に命を繋ぎました。王女は、女系遺伝子の病を克服したのです」


 カスター国王は窓の外を眺める、レノミンとグレースが笑っているのが見えた。二人で湖畔で漁を見ている。笑って、話して、グレースは時々走って、健康そのものだ。


 「ナナ・・・何十年も探したんだぞ、僕だけにでも、居場所を教えてくれれば良かったのに、どうやって健康を取り戻したのかはわからないが、君が残した宝を守りたい。あのバカな宰相の話をもう少し聞いてみるよ」


 「国王・・・」

 「もう、大丈夫、すまなかった。奴の話が嘘だったら殴ってやる」


 「ええ・・・気が済むまで殴りましょう」 国王は宰相の肩をポンと叩いた。



 一方、キース国王はハナ国のシン国王に電話でそれとなく聞いてみる。


 リモートで電話会談が成立していたら、グルガシ国王とも一緒にドント宰相の話を聞いてもらえるのに・・不便だ。と思っている。一応、全貌ではなくソフトに内容を説明した。


 「------、・・・ので・・・また・・・・連絡します」と少し様子が変だった。

 「えっ!!もしもし・・・えええええ!!!」


 本当に宰相の話は真実なのか?確か、前国王が亡くなって、継承の争いの時、グルガシ国は2皇子についたはずだ。しかし、その後の関係は良好なようで、二国間で争いはない・・・。


 もしも、転生されたのであれば、必ず、自分の為にフラグを折り始めるに違いない。


 ドント宰相はフラグを折るのを間違っているが・・・。


 折るフラグを間違っているから悪い方向にしか進んでいない、彼が、これから起こる最悪な状態を把握していても、間違ったフラグを折って、未来の予想が困難になってしまったのではないだろうか??


 「う~~~~~、わからない・・・シン国王の返事もおかしい・・霧の問題もある・・・今日はこれでお開きにして欲しい・・・・!!! 」


 そう思っていると、カタクリ国の方から会議の中断の要請があった。


「流石です、流石、ドント宰相が4国のリーダーに使命しただけはある。----イヤ、イヤ、イヤ・・あ~~~~~!! 」


そしてまた、キース国王は頭を抱えた。


 お茶の時間を挟んで、カタクリ国王はお土産を持ってエミリオの部屋を訪れる。


 レノミンとグレースは、彫の深い顔立ちでカタクリ国の人間と言っても過言ではない顔立ちをしているが、エミリオはキース国王によく似ている。


 「初めまして、カタクリ国王、ベットの中で失礼します。もう起きられるようになるのですが、みんなが無理をしてはいけないと言いまして、申し訳ありません」


 「うん、エミリオはキチンと挨拶できて、立派だ。どうだい?具合は?」

 「はい、初めてグレースに会った時は、もうすでに死んでいるから、グレースに会えたと思いました」

 「でも、もう大丈夫です。カタクリ国王にお会いできて、本当に嬉しいです」


 「エミリオ、カタクリ国王は私たちのおばあ様のお兄様で・・・・うんと・・でも、私たちにはおじい様が、いらっしゃらないから、おじい様って呼んでいいって、おっしゃって下さいました」


 「うん、本当は大叔父様ですね」

 「そうだよ、よろしく、元気になったらカタクリ国にも遊びにお出で」

 「はい、ありがとうございます」


 「ダリアがいつも旦那様、旦那様って、天に向かって話している人はお母様のお父様でダリアの旦那様だよね」

 「でも、ダリアの旦那様はおじい様なのよ」


 「??????」

 「わからなくなった・・・・」


 二人の会話を楽しそうに聞いているカタクリ国王は、自分たち二人もこんな風にナナ王女のベットの上で、沢山はなしをしたことを、とても懐かしく思えるほどに心が落ち着いていた。


 「ダリアさんがふたりの侍女なの?」


 「はい、ダリアは人参教祖です。なんでも人参で治ると思っている。だから、僕に沢山人参を食べるように言うんだ」

 「そうそう、病気になると皆に食べる様に言うのよ。この前、シルキーにも進めていた」


 「レノミン?ここの人参は特別体にいいのか?」


 「はい、この人参はダリアが森に入って取って来る特別な人参です。滋養強壮にとても良く、病気の時は私もいつも食べていました。ダリアがクマのような恰好で森に取りに行くのですよ」

 「そうそう、ダリア、クマに勝つにはこの格好しかないって、話していた。おかしいの、でも、エミリオも人参嫌いだったけど、元気になったのは人参をたべたおかげだね。エライ!エミリオ! 」


 「グレースも食べた方がいいよ・・・でもそれ以上元気になると皆が困るか??」

 「なによ、それ!! おじい様の前で・・・・エミリオ!! 」

 「ハッハハハハ・・・・・」


 カタクリ国王・・・・「やはり、人参ではないか・・・・キース国王・・・・」


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