21-4.助けたい
お待たせ致しましたー
*・*・*
菜幸は急いだ。
友人である、柘植奈央美のために。おそらく、彼女の母もいるだろうが、この大量発生させられたケサランパサランの中に彼女がいるはず。
あの黒ずくめの女の言い分によると、バレンタインをめちゃくちゃにするのに奈央美を利用したらしいが。
甲本の一件で、奈央美についてはターゲットから外れたというのに。何故この時期になって、再び狙ったのかがわからない。
けれど、事件の要として利用されたのなら黙っていられない。友のために、自分の守護精であるネージュとケサランパサランを弾いてはいるのだが。
今まで以上に数が多いので、一向に進めないでいる。
「……どうしたら」
【菜幸よ!】
「へ? 次代様!?」
何故、漣の守護についているはずの、次代狗神がここに。
声がした上を見れば、飛行しながらこちらにやってきた。身体も大きく、狗神本来の姿になってはいるのだが。
少し前に、顕現した時に紹介された時よりも身体が大きくなっている気がする。だが、今はそれを気にしている場合じゃない。
【万屋でも袈裟羅・婆娑羅がさらに増えてな? 漣の癒し手の力で落ち着いたのだが】
唯一残った個体により、陸螺市全域に広がってしまったケサランパサランには邪気を纏わされたらしい。
そこで、次代が提案して。漣と繋ぎがある次代本人が媒介となり、陸螺市の空を駆けて力を拡散することに成功したそうだ。
だが一点。このマンションの一角だけは通じないらしい。それと菜幸を見つけたので、わざわざやって来てくれたようだ。
「次代様! この中に私の友達がいるんす!」
【菜幸の友を?……あの男達め。袈裟羅・婆娑羅を利用するだけでなく、我が主の知己までも】
「漣ちゃんの力って、まだ残っていますか!?」
【やってみよう!】
少し距離を開けるように言われ、ネージュと後ろに下がるとすぐに次代は遠吠えをして身体を震わせた。
雑魚、と言い方が悪いが。うざいくらい建物を囲んでいたケサランパサラン達が瞬く間に消えていったが。同時に、菜幸の肌に言いようがない悪寒が走った。
ネージュも感じたのか、すぐに菜幸の腕に樹々の根を絡ませてくれたが、全く落ち着かない。
次代も前を見ながら、唸っているようだった。
「……なに、これ!?」
「禍々しい邪気ですね……?」
【この邪気……我を堕としかけてたあれと同じだ……】
「次代様を?」
【応。それと、菜幸にネージュよ。我は漣より名付けを受けた。今は、璐羽と呼んでくれ】
「承知」
「わ、わかったっす!」
何故今朝告げてくれなかったと、気にしている場合じゃない。
ねっとり絡みつくようなこの邪気を払う術は、西洋魔術をかじっている程度の菜幸だとあまり効果はないだろう。ネージュを介しても、蚊に噛まれた程度。
であれば、もうここは侵食を待ってでも晁斗に連絡しようとしたのだが。
「菜幸さん!! 璐羽!!」
「菜幸!!」
空呀に乗った、晁斗と漣がすごいタイミングでやってきてくれたのだった。
「先輩! 漣ちゃん!?」
「どうして、菜幸さんが?」
空呀から降りてきた漣が菜幸に駆け寄ってきた。
「……ナオちゃん。柘植奈央美ちゃんがこの邪気の中に」
「柘植さんが……?」
「漣ちゃん達が前に会ったらしい、黒ずくめの女と私も会ったの。ナオちゃんを利用して、バレンタインをめちゃくちゃにするって」
「……あの人が」
どうやら、ウィンタージュにも現れたらしいが、戦闘にはなっていないようだ。そうでなければ、今ここにいるはずがない。
「けど、この規模。璐羽の場合と似てるな?」
【我や母者と同じ術か、それ以上か。漣の力を纏った我でも、この程度しか】
「充分だよ、璐羽! 僕頑張るから!!」
「無茶しちゃダメだよ? 漣ちゃん」
「回復のお茶もたくさん飲んだので、出来ます!」
悔しいが、手伝える能力も術もない。
けど、多少の回復は出来るからネージュとフォローしよう。漣の説明をしてから、菜幸は漣の腕にもネージュの樹々の根を絡ませたのだった。
次回は木曜日〜




