21-5.助けられない
お待たせ致しましたー
*・*・*
まさか、以前に手を引いたはずの柘植奈央美にまで加えるとは。
裏と正体を明かした、あの女の目的がいまいちわからない。
菜幸が言うには、柘植を使ってバレンタインをめちゃくちゃにすると言って去って行ったらしいが。
何故、柘植を。しかも、バレンタインの前日に。何がしたいのか本当に意味がわからない。
「漣。とりあえず救出優先だ。お前が倒れない勢いで邪気を祓えるか?」
「やってみます!」
そして、息が整ってから次代、いいや、璐羽が寄り添って神力を分け与えているようだ。あれなら、無闇に漣本人が倒れることはないだろう。
歌い始めてから、晁斗は菜幸にもう少し詳しい事情を聞くことにした。
「菜幸。あいつ……いいや、あいつらは俺達の宿敵の『裏』だ。俺達に危害を加えるために、色々やらかす連中だ。柘植さんもおそらく、それに巻き込まれたんだと思う」
「ナオちゃんが、裏に!?」
「柘植さんとこがこうなったのは、お前が来るまで気づかれなかったのか?」
「うっす。ナオちゃん本人からも、LIMEで体調不良になったとだけしか。もっと……早く来てたら」
「そこは悔やんでも仕方ない。他に、あいつらから何か言われたか?」
「…………ナオちゃんが、御子柴さんを気にかけて。だから、バレンタインを台無しにしてやるって」
「は?」
柘植が御子柴を。
あの事件以来、特に接触がなかったはずなのに。どこかで接点を持ったのだろうか。たしかに、御子柴は菜幸への異常な崇拝心を除けば、クールで婦警の憧れの的であるらしいが。
だが、単純に憧れからの好意なのなら、そこをつけ込まれたとしても。人の好意を踏みにじろうとするなど言語道断。
絶対許してはいけないことだ。
「私もLIMEとかではよく聞いていないっす。けど、少し前から明るくなったなって感じはあったので、もしかしたら……と今ならわかるんすが」
「そっか。まだお前にも言いにくかっただけかもしれねー」
実は、御子柴が重度の菜幸信奉者とは本人だけ知らないせいもあるが。あまり話していないが、柘植も御子柴と接触したからわかったかもしれない。
だが、あえて言わないのがこの場合正しいのかもしれないが。
とにかく、今は柘植の救出だ。
「突破出来そうです!!」
漣が声を張り上げれば、見事に邪気は祓えていた。さすがは、万屋の最年少で癒し手としてのホープだ。
「よし、行くぞ!!」
「はい!!」
「ナオちゃん!!」
三人とその守護精達とマンションに突入したら、柘植宅らしいフロアに行くとまだまだ邪気に塗れたケサランパサランが集結していた。
「……酷い」
菜幸がそう呟くのも無理はない。
だが、晁斗や漣は璐羽と出会った事件で同じかそれ以上に遭遇したのだ。
ここも漣が、さらに気持ちを込めた歌の癒しですぐに突破出来たのだが。
開けっぱなしになっていた、柘植の自宅に入ると。
邪気に集結させられ、核となった柘植奈央美が部屋の中央に転がっていたのだった。母親の方は見当たらない。
「ナオちゃん!?」
駆け寄りたいだろうが、菜幸には手に負えないことも重々承知。
であれば、ここは漣もだが晁斗や菜幸も加わって浄化を試みるしかない。
「菜幸、やるぞ」
「うっす!」
「僕も頑張ります!!」
そうして、三人と守護精で浄化を始めたのだが。
外とは違って、まったくと言っていいほど。邪気が祓えなかったのだ。
次回は日曜日〜




