3-1.宵闇に追う
お待たせ致しましたー
*・*・*
宵闇の陰に一人。
「はぁ……はぁ、もうここまで来れば」
逃げ回る陰が一人。
冷たいアスファルトの壁に手を置いても、息切れと体温上昇で中々落ち着かない。
後方と前方を交互に見たが、追っ手は来ないようだ。
「だけど……このままじゃ、何も変わらない」
何か手立てはないか。
抜け出しては来たものの、今の自分の身体は万全ではないのは充分自覚している。
不意に思いついたことが一つあった。
それは賭けにも等しいが、この場を切り抜けるためには躊躇ってる場合ではないだろう。
(元より、今は正常じゃないんだ。やるしかない!)
身体を壁に預け、祈りを捧げるように手を組んだ。
そして、出来るだけ声量を落として、言祝ぎを紡いでいく。やがて、一定のリズムで唱えていくそれが、術者の声に合わせて体に蒼白い炎をまとわせる。
それは一瞬光ったが、術者は力尽きたのか、腕をだらんとさせてからアスファルトの壁に背を預けた。
すると、
ぬらー……。
術者の体から蒼白いもやが生じて、術者と同じ背丈、フード付きパーカー、ジーンズにスニーカーと変化していく。
形が定まると、それはまた走り出して行き、体の方は残ってたもやに囲まれてアスファルトに溶け込んでいく。
「いたぞ!」
「あっちか、手こづらせやがって!」
やがて、追手はもやの方を追って行ったが、本体である体の方には気づかずに通り過ぎていく。奴らが通り過ぎてから、アスファルトは元の状態になり、術者の体も地面にゆっくりとずり落ちてフードを深くかぶっていたのだった。
次回は15時〜




