表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウィンタージュに憩いの羽音を  作者: 櫛田こころ
バレンタイン練習
71/164

17-1.バレンタインチョコ作り前に

お待たせ致しましたー







 *・*・*








 本日は(れん)咲乃(さくの)菜幸(なゆき)のウィンタージュ休業日。


 少し、予定はずれ込んでしまったが。本日はバレンタインチョコ作り第一弾となったわけである。


 場所は、熊谷(くまがい)家ではなく、咲乃の実家である宮境(みやさか)家。晁斗(あさと)らと住むあの家も十分大きいが、咲乃の実家もかなり大きい。


 兄の篤嗣(あつし)も住んでいるらしいが、今日も仕事で家にはいない。彼女らの両親達も、咲乃に頼まれて出かけているそうだ。


 なので、実際今宮境家にいるのは、漣を含める女性三人である。



「さあ、作るっすよぉおおお!」

「おー!」

「は、はい……」



 まだバレンタインについてそこそこの知識しかない漣には、どれだけすごいイベントなのか理解は出来ていなかった。


 けれど、好意と自覚した自分の気持ちを、晁斗には伝えたい。昨日のケサランパサランに願った後で、少し気まずくはなってしまったが。



「材料はひととおり揃えてみたけど……。漣ちゃんはどんなチョコを晁君に作ってあげたい?」

「え、えっと……」



 気まずくはなってしまったが、晁斗を好きなことに変わりない。なら、残りわずか一週間らしいが、バレンタイン当日に仲直りをしようと思う。


 とは言え、想いを伝えれる勇気は、まだ漣にはないが。



「私は(あかり)先輩にこれっす!」

「! 菜幸さん、燈さんに?」

「あれ、言ってなかった?」

「菜幸ちゃんは、ウィンタージュに入るきっかけが燈さんだったもんねー?」

「っす! 燈先輩は恩人であり、尊敬する人っすよ!」

「それも、好き……ですか?」

「う」

「漣ちゃん、直球ね? そうね……漣ちゃんよりずっとずっと片思いらしいわ」

「……っす」




 けど、他に好かれ過ぎている人もいるけどね、とよくわからないことを言われたが、とりあえず好きにも色々あることがわかった。


 それと、時間も限られているので、チョコも選ばなくてはと、レシピ本やら雑誌やらを見せてもらうことにした。


 ちなみに、菜幸が選んだのはブラウニーと言う焼き菓子らしい。



「毎年、(ゆう)君の好きな生チョコもいいけど。今年は焼き菓子にしようかしら? パウンドケーキかガトーショコラか悩むわね?」

「えっと……ガトーショコラは覚えたんですが、パウンドケーキって?」

「作り方はガトーショコラと似てるけど。丸いケーキじゃなくて、長細いの。菜幸ちゃんはたまに担当してるけど」

「うぃっす!」

「……晁斗さんの、好きなの。って、聞いてもいいですか?」

「いいわよいいわよ? 従姉妹だし、ちっちゃい頃から一緒だもの。だいたいわかるわ」

「お願いします」



 まだ芽生えた気持ちは、くすぐったくて、けれど温かい。


 だから、大切にしたいと思い始めている。咲乃が晁斗について詳しいのは仕方がないが、妬んでも意味がない。むしろ、応援されているのだからしっかり学びたいと思っているのだ。



「基本的になんでも好きね? 燈さんやおじいちゃんおばあちゃんの料理が美味しすぎるすから、あんまり好き嫌いしないわ」

「けど、晁斗先輩。唯一嫌いな食べ物あるっすよね? 今回は関係ありませんが」

「な、何があるんですか!」

「……グリンピース」

「はい?」

「グリンピースって、わかる?」



 菜幸に聞かれると、漣は首を軽く縦に振った。



「は、はい。昨日いただいたハヤシライスにも」

「晁君、あれ使った料理だけが基本的に苦手なのよ。食べられないわけじゃないらしいけど」

「あの豆が?」



 柔らかくて食べ応えがある食材のイメージが、晁斗が苦手としているとは思わず。そう言えば、やっかいになってる熊谷家では一度も出たことがない。


 だいたいが、晁斗自ら調理場に立つので入れないからかもしれないが。



「だから、漣ちゃんみたいになんでも食べる人とほとんど同じかしら?」

「けど、グリンピースには……気をつけます」

「お菓子にはあんまり使わないよ? だから、気にせず早いとこ選んで選んで!」

「あ、はい!」



 菜幸に催促されたので、漣はレシピ本の方を手に取る。バレンタインチョコ作り用のためか、チョコ以外にも種類が多い。だが、あり過ぎて逆に何を選べばいいのか分からなくなってきた。



「んー、漣ちゃん。調理補助はまだだけど、晁君の家でお手伝いとかする?」

「その……まだ、野菜の皮をピーラーで剥くくらいです。包丁は……全然」

「過保護ねぇ? まあ、いっか。ちょっと大変でも、美味しいものを食べてもらいたい気持ちはあるもの。絶対うまくいくわ!」

「咲乃さん?」

「そうっすよ! 自分も燈先輩に今年こそは告白するっす!」

「その粋よ!」

「え、えーっと」



 なにか、二人のやる気スイッチを押してしまったのではないかと思ったが。とりあえず、手元のレシピ本を見て気になるものが出来た。


 まだ燃え上がっている二人の間に、ゆっくり割り込んでそのページを向けるのだった。



「あら、その選択肢はいいわね? 晁君こういうのはしょっちゅう食べるし。コンビニでもわざわざ買うくらいだもの」

「そうっすね?」

「えと……僕もいただいたことがあって。美味しかったんで、作って……みたいです」

「よしよし! 咲乃先輩、この型ってあるんすか?」

「たしか、お母さんが使ってたのが。なきゃ、パウンド型にしましょ? とりあえず今日は練習だもの」

「はい!」

「うっす!」



 何はともあれ、バレンタインチョコ作りの開始だ。

次回は火曜日〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ