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2-1.市役所からの依頼①

お待たせ致しましたー






 *・*・*






(……本当に来るだろうか)



 急ぎで手配はしたが、今日中に来る保証はない。


 他の職員もそれは思ってるだろうが、目の前に広がる荒野をこれ以上放置しておく訳にもいかないのだ。

 つい先ほどまで別の職員もいたが、それぞれの仕事もあるだろうからと責任者である自分が一人残ることになった。


 ただ、それでも他に仕事はあるからあと一時間程しかいる予定ではないが。


 と、その時。



「うっわ! 風が!?」



 竜巻とまでいかないが、いきなり強風が襲ってきた。咄嗟のことで目を瞑ってしまうが、ドシンと何かが降りてきた音に僅かな期待を抱いて目を開けてみた。



「依頼をされたのはあなたでしょうか? 万屋の者です」

「お待ちしておりました!」



 三メートルを優に越える白い虎に跨っていたのは、自分よりも幾分か年若い青年だった。


 ただ、虎から降りれば彼は自分以上に背が高くて、顔立ちを見なければ逆にこちらが年下に見えなくもない。


 それよりも、用意して置いた名刺を彼に差し出した。



「土木産業課の井上です」

「万屋の熊谷(くまがい)です。早速ですが、依頼内容を確認させていただいても?」

「はい。ご覧の通り、手を尽くしてみましたが一向に良くならなくて」



 土は干上がり過ぎて荒れ放題。草木も生えず時間を置けば砂漠化するであろう地形でしかない。


 熊谷と言う青年は、ざっと周囲を見渡してから自身の守護精(しゅごせい)の腹を撫でた。



空呀(くうが)、根源を探索出来ねぇか?」

「やってみるぜ」



 空呀は空を蹴り上げて飛び、瞬く間のうちに上空へと駆けていった。


 その巨躯が離れていったことに少しばかりほっとしてしまうが、見られていたので熊谷には苦笑された。



「すみません。依頼しておきながら慌ただしくて」

「まあ、うちの守護精達は結構でかいですからね。普段はサイズ小さくしてますけど。けど、今回の依頼はうちの前所長に指名した方が確実だと思うんですが」

「ああ……熊谷氏には別口で一度来ていただいてはいたんです。けど、その時に『うちの若い風使いならなんとかなるかもな』と言って」

克爺(かつじい)……知らんぷりして俺に押し付けたってか?」



 この青年、名字が同じだと思ったら孫だったのか。受け取った名刺には『所長』とあり、まだ年若いのに凄いなと井上は関心した。


 晁斗(あさと)はその長身を活かして周囲を改めて見渡してはいたが、地面からでは特にわかりにくいようだ。


「難しいでしょうか?」

「下からは異常がわかりにくいですね。上からは」

「晁斗、見つけたぞ!」



 白虎の吠え声に井上は堪らず体が震え上がる。

 晁斗は一旦降りて来るように呼びかけ、空呀が地面に降りたら駆け寄っていった。



「どこだ?」

「ちょうどここから二十メートル離れたとこだ。なんか変なんが居座ってるぞ?」

「なんか?」

「ああ、風に含まれる水の気を徐々に辿ってったら吸い上げてるのがいてな」

「水を吸い上げてる、ですか?」



 井上もそんな存在がいたとは思いもよらず、首を傾げるしかない。距離があるのは仕方ないが、ここいら一帯の調査はひと通りしていたはずが見落としていたのか。



「だが、完全に土が壊されてないのは風のお陰でもあるな。微量な水の気を吸って風を受けてるからかまだこの程度で済んでる」

「とりあえずは、その原因らしい輩のとこに行くか?」



 ひょいっと晁斗は空呀に飛び乗り、背に乗ったことを確認した空呀はその場所へと駆け出した。

次回は10時頃に〜

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