13-1.追跡①
本日二話目
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漣を抱えて狗神に飛び乗った晁斗は、空呀を少し巨大化させて、探索のために狗神の側に浮かせた。
【乗ったな? では、行くぞ!】
漣を落とさないように前に乗せて、しっかりと腰回りに腕を回した。予想以上の細さに、もっとしっかり食べさせなくてはな、と片隅に思うことにした。
「出来るだけ振り落とされないようにするが、臭いの元凶はわかるのか?」
【ああ。今追いかけねば、遠ざかっていく……】
次代の狗神を抱えているのに、そんな早く移動出来るものか。と、晁斗は思ったが、狗神はそうではないと告げてきた。
「は? 犯行は二人もしくはもっと……?」
【それすらも、眼と仔を失っていた我にはわからぬ。急ぐぞ】
「お」
「わひゃ!?」
晁斗らが振り落とされない位置に座ると、認識した狗神はすぐに動き出した。
一応晁斗達が乗っているのを気遣っているとは言え、結構な速さで空を駆けて、前へと突き進む。
晁斗は空呀を使うので慣れてはいるが、漣は初心者だから念のために落とさないように抱えると。何故だか、『ぴ!』と変な声が聞こえてきた。
「ああああ、ああ、晁斗さん!?」
「お前巨大化したのに乗るのは初めてだろ? だから落とさねーように、な?」
「ふぇ、はぁい!?」
とにかく、どこまで行くかはわからない。
晁斗も術で探索をすればいいかもしれなかったが、漣を片手で抱えているとどこまで出来るか。
だが、今は空呀もいるので、彼に頼むことにした。
「空呀! さっき感じた邪気とは違う気配、追えるか!?」
「やってっけど、狗神よりは劣るぜ!」
「! ってことは追えているのか!?」
「晁斗にも繋ぐ!」
繋ぐ、と言ったが抱えている漣にまで繋いでしまうのでは。と思ったが、漣はあれっきり動かない。顔を覗き込むと、目を閉じていた。
「……漣?」
「聞こえます。また……」
「また……!」
ショッピングモールでの事件の時に、漣が駆け付けてきたきっかけとなった声らしきもの。
それがまた頭に響いてきたのか、と思い、晁斗は空呀との繋がりを一時止めるように彼に告げた。
「どーした!?」
「漣がまた『声』を聞いたらしい。例の奴かもしんねーんだ!」
【ほう。ヒトの仔が】
「すまん、狗神。思うがままに進んでいてくれ!」
【承知】
優先すべきは狗神ではあるが、例の少女が関係するとなると。事は一大事だけですまないかもしれないのだ。
「漣、何が聴こえる?」
「……『おーにさんこちら、てのなるほうへー』」
「……童謡? ふざけてんのか、そいつ」
「『あの仔はもう遅いよ? 核を失った妖さん?』」
「遅い……って!」
最悪な事態になる瀬戸際まできているのか。
すると、狗神の速度が上がり、晁斗はもう一度漣を抱えた。
【仔が危ないのであれば、許せ!】
「治り立てなのに無茶すんなよ!?」
【しかし、白虎の化身。次代だけでなく、核を失えば……この土地一帯が滅びてしまうのだ!】
「マジかよ!?」
いきなりの暴風っぷりに、晁斗もだが漣も舌を噛みそうになり、狗神達の会話には加わることが出来なかった。
聖域の山を遠にすぎたのだが、今はいったいどの辺りを駆けているのだろうか。
狗神は見鬼の才がなけれなヒトの目には移りにくいが、守護精の空呀は違う。巨大化していてもヒトの目には映る。騒ぎにならないでほしいが、と思わずにはいれないがそれは無理だなと晁斗は漣を抱えたが。
「ひゃ!?」
「あ、どした?」
腰を抱えただけなのに、漣が可愛らしい声を上げたのだった。
「あ……さと、さん。む、むね!?」
「……悪りぃ」
もう片方がやけに柔らかい感触だなと思っていたら、彼女の胸を触ってしまったなと反省してから肩の方を抱えることにしたのだった。
次回は15時〜




