27-5.呪いの唄
お待たせ致しましたー
*・*・*
唄が。
唄が、聞こえた気がした。
それも、嫌な唄が。
「……なにー?」
甲本であるケサランパサランを握りながら、女は耳をすませた。
あの憎い妹の声のようで、違う。
もっともっと、小さくて幼い声だ。
かつて、女が闇。
あの妹が光と、祖父である『裏』の長が告げたように。
幽閉されることになった妹が、ただただ唄っていたあの頃の声。
それに似た声が、微かだが聞こえてきたのだった。
「取り戻した?……いいや、僕に反動も来ていない」
声は違うが、同じ顔、同じ造り。
姉と妹と別れただけの、肉親。
なのに、あの妹の方が優遇されていたのだ。稀代の癒し手が手に入ったからと。幽閉されてはいても、あれが願うことはなんでも叶えてやっていた。
対する姉の自分は、裏の人間として訓練を課せられていたのだった。
何故、何故、と。
あの頃は辛くて仕方がなかった。
痛い痛い、辛い辛い、と。
泣いても泣いても、叫んでも叫んでも。
祖父も誰も聞き届けてくれなかった。
だから、思った。
あの妹が憎い、と。
「く……ふふふ。逃げた自分が悪いんだー? 僕から逃げた君が」
あの日。
どう言うわけか、妹が離脱したのだ。
たしかに、優遇はされていたが決まったところにしか移動も出来ないし、女ともほぼほぼ接触はなかった。
だから、自分が今いるところが裏組織だと言うのも知らず。
だと思っていたのに。
あの妹は、すべてを知っていた。
幼い時以来、接触していなかった、姉の自分が捕まえに行こうとしてた時。
『辛いよね、姉さん』
そう言って、歌で自分を眠らせて。
気がついた時には、あの妹はもういなくて。
女は気がついたら、いつも以上に腹正しく感じたのだった。
「……自分だけ自由になるだなんて、ずるいよ?」
そんな、ずるい妹はもういなくなればいい。
女は、まだ聞こえてくる唄をかき消すように。
呪いの歌、呪歌を歌い出した。
【消えろ、消えろ
滅べ、滅べ
我が呪言は
堕ちる歌
堕ちよ、堕ちよ
呪え、呪え
我が妹を地に堕とせ】
ああ、これで終わったと思ったのに。
歌の効果は無効にされて、あの唄がどんどん大きくなっていくのだった。
「おい、来るぞ!」
後ろにいる男の声と重なるように。
ぐちゃぐちゃにした道標の糸の向こうから、白い光が現れて。
その後ろから、妹や万屋の所長達がやってきたのだった。
次回は木曜日〜




