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ウィンタージュに憩いの羽音を  作者: 櫛田こころ
バレンタインデートの続き
109/164

23-5.情報屋ASUKURU

お待たせ致しましたー







 *・*・*








 まさか、彼らと出会うことになるとは。


 最近は利用することがなかったのと、リアルタイムでも接触する機会がなかったから。


 なので、あれだけ親しい様子を見た(れん)が苛立つのも無理はない。今は空呀(くうが)に勧められるがままに、回転寿司を楽しんではいるが。


 ただ、食べさせ過ぎるといけないので。また連れてくるからと落ち着かせてから、隣にあるミスボと言うドーナツチェーン店に入り。


 ボックス席を占拠していた彼らと同席することになった。



飛鳥(あすか)美乃梨(みのり)でーす!」

車谷(くるまたに)祈里いのり言いますー」

「二人揃って、情報屋『ASUKURU』ぅ!」

「いつもご贔屓にー」



 と、陽気に挨拶はいつものことなので。呆気に取られている漣の頭をぽんぽんと撫でてやった。



「けど、最近(あさ)兄。うちらの情報使わないじゃーん? 昔よしみで許してはあげるけどぉ〜〜、なんか新人増えたって聞いた時は驚いたよー? それが彼女??」

「……おう」

「別嬪な嬢ちゃんやないか? んで、名前聞いてもええ?」

「え……っと、熊谷(くまがい)、漣……です」

「晁兄の親戚??」

「そう言うことにしてくれ……つか、響木(ひびき)の結界の方がいいなー?」

「ほいほーい?」



 美乃梨の守護精を顕現させた。青い兎で燕尾服を着ているタイプ。可愛いのが好きな漣には当然抱っこしたいのか目が輝き出してしまった。



「何用か、主よ?」

「あっつい、防音の結界よろしくぅ! ちょーっと重要な話するからー」

「承知」



 そして、持っているステッキをくるくる回せば。漣の目にも見える青白くて分厚い四角上の囲いが出来上がったのだった。



「え、え?」

【ほう? 音を通さぬ結界か?】

(かつ)爺や安斎(あんざい)先輩には負けるけどねー? で、漣ちゃんってどーゆー子?」



 事前に情報屋だから調べることも可能だが。彼らには独自のルールがある。ある程度の情報はともかくとして、依頼者などの細部の情報は。依頼されてから、と。


 なので、そのルール通りなら漣の事情を知らないに等しい。


 新人紹介も兼ねて、晁斗は彼らには伝えておこうと口を開いた。



「まず最初に。漣の名前は本名じゃない。記憶喪失なのと、守護無しなんだ」

「へ? けど」

「そっちは、璐羽(ろう)ってんだが。守護精じゃない。裏と関わった事件がきっかけで、一時的に守護獣になってる。次世代の狗神なんだ」

「ほっほーう?」

「え、え〜〜? 守護無しに、次世代の狗神ぃ? あたしパンクしそうー」

「せやな? 俺かてびっくりしたわ」

「で、漣は今俺の彼女」

「!」

「……晁斗。こんなかいらしいお嬢ちゃんが好みやったんや?」

「うっせ」



 晁斗の好みなどどうでもいい。


 それよりも、美乃梨の方が漣を凝視しているので漣が居た堪れない状況になっている。ここまで興味を持たれた経験がないからだろう。記憶喪失以前はわからないが。



「……あと。能力は癒し手。ついこの間、ケサランパサランの大発生があっただろう? 漣と璐羽が主軸となって、あいつらを止めたんだ」

「ひょー!?」

「すっご! すっご!? 守護無しなのに癒し手!? 漣ちゃん、すっごいね!!」

「え、っと。皆さんに助けていただいているので、出来るだけで……!」

「かっわいい! え、だいたいいくつくらいとか。荘重(むらしげ)せんせーんとこで調べた?」

「おう、二十二歳くらい」

「むー、タメかぁ」

「俺は三つ違いか?」



 そう言えば、歳の差とかは二人とちょうど同じだった。美乃梨がフランク過ぎるので、時折年齢差を忘れがちではあるが。



「けどけどぉ! タメならタメ口で言い合えるよね!? 漣ちゃん、私のこと美乃梨って呼んで!!」

「えっと……美乃梨、さん?」

「んー?? 呼び捨て苦手?」

「璐羽以外には……」

「ま、いいや! 晁兄ちょーっと借りていい? 話もちょい終わったし、漣ちゃんとドーナツ買ってくるから!!」



 ここは奢るよ、と言われたので仕方なく結界を解除してから、漣と璐羽を連れて行ってもらった。



「しっかし、晁斗も変わったな?」



 二人が行って、璐羽も気になるからとついて行った後、祈里がホットコーヒーを口にした。



「何が?」

「言い方悪いけど、ある意味得体の知れない嬢ちゃんやで? よく恋人にまでなったなあ?」

「……漣だから、だな」




 たしかに、裏と関わりがあるかもしれないと思う気持ちもあるが。それ以上に可愛くて目が離せない。


 もし、記憶が戻ったとしても晁斗は漣以外の誰とも付き合いたいとは思わないでいる。祈里に伝えたら、何故かコーヒーで咳き込んだのだった。



「ちょ、ま……本気やねえ?」

「ああ、本気だ」

「晁斗、晁斗ー? 俺も買ってきていいかー?」

「美乃梨に一応聞けよ?」

「うぃ」



 デートと言うかダブルデートになってしまったが。


 これから漣とたくさん過ごすので、いいなと思っておくことにした。

次回は木曜日〜

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