Boy's Side 17 ~訂正しよう~
「う~ん……あれはよろしくやっていると言っていいのかなぁ~……?」
末野さんが誰から何をどんな風に聞いたかは想像の域を出ない。けれど、異義を差し挟む余地は有り余っている。
まず、エージが八十島さんとよろしくやっているという事実はない。そしてその様な嘘を吐く理由もない筈だ。末野さんの捉え方の問題、という可能性もないとは言い切れないけれど。エージが普通に自分の近況を語り、その中で八十島さんが話題に上がったとすれば、それは八十島さんへの愚痴になりそうなものだ。
大体エージが他の女子と仲良くやっているというのは末野さんの予見が正しかった、別れて正解だったとするだけ。なので、未だに未練のある素振りを見せるエージにすれば、嘘であってもあってはならない話だ。部活の事を話すにしても、その辺りに気を配るくらいはする筈だ。
だったらエージ以外の人物が末野さんにかるた部の事を教えた、と考えた方がすんなりいく。まぁ、犯人の目星はついているけれど。
一先ずは歪んでしまっている事実を少し正しておこう。
「八十島さんにはことあるごとに怒られてて、エージのやつ、随分と参っているよ。大江山さんのことは多分眼中にないだろうし。エージがかるた部の女の子となんて出鱈目もいいところだよ。そんなデマ、誰に吹き込まれたの?やっぱ……八十島さん?」
気まずそうに小さく頷く末野さん。一応、口止めされていたらしい。しかし、かるた部の内情を知り、他校に通う末野さんにまで届く伝手と、その伝手を実際に使って早々にコンタクトを取ってしまう行動力とを併せ持つ人間と言えば、八十島さんをおいて他にいないだろう。僕も人のことは言えないけれど、大江山さんなんかはそういった人脈や積極性には乏しいと思われる。
「それにしても、八十島さんは一体何がしたいんだろう?」
末野さんもそこのところが引っ掛かっていて僕に相談しようと呼び出したのだと言う。
「先週の土曜日に友達に紹介されて会ったの。かるた部のことなんかもその時に聞いたんだけれど、「クラスに軽薄で調子のいい男子がいてちょっと苦手なタイプなんだけれど、部活も一緒になっちゃったから避け続けることもできない。彼の事をよく知る人の話を聞けば少しは見方も変わるんじゃないかと思って」とか何とか言って」
その話に感じた小さな違和感は何だろう?物事に善処しようとする辺りはとても八十島さんらしい。それを表立って見せないところも。それらを考慮しても、日頃のエージに対する態度とのギャップが埋まらないから?
その答えに気が付いて思わず独り呟いてしまった。
「あ、違う」




