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Girl's Side 15 ~散会~

「おおっ!?」


「ん?どうかしたの、エージ?」


何か知らないけれど、部室の隅が俄に騒がしくなっていた。


「んっ、ちょっと、な。悪いけど俺、用事が出来たから先に帰るわ」


つっついていた携帯をスルッと胸ポケットに滑り込ませ、鞄を掴み取ると目にも留まらぬ速さで部室を飛び出して行った。鬼気迫るものがあったけれど、まさか、ご両親が事故に……なんてことは、ないよね?


「……行っちゃった、ね。一体どうしたのかな?」


「鼻の穴を膨らませていたから、どうせ女の子からデートのお誘いとか、そんなところでしょ。全く、身勝手ね。今日は大江山さんがいなくて人数が少ないというのに」


八十島さんの鋭い観察眼にちょっぴり引いてしまったけれど、でもきっとその通りの気がする。


「はははっ……今日はもうお開きにしておこうか」


もう一回対戦するくらいの時間は有りそうだったけれど、今日のところはそれでお開きとなった。

八十島さんが札を仕舞い、ボクは窓を閉めて鍵を確認した。

全員が退室した部室は施錠された。


「あ、和泉君。一応大江山さんには私から連絡入れておくわね」


流石、八十島さん。気が利くなぁ。それに比べて部長の方は、面目ない。


「うん、お願いしてもいいかな?それじゃ、僕は職員室に鍵を返してくるから。八十島さんも先に帰っちゃって」


「えぇ……ミィーナ、一緒に帰りましょう?」




帰りの坂道を八十島さんとゆっくりと下る。散り始めた桜の花弁が道の所々に集まって、ちょっぴり無様なコントラストの虎柄を描いていた。


「あの……前にも言ったけれど、その、ミィーナってゆーの、止めてくれないかな?」


「前にもきいたけれど、そんなに嫌?私としては一応、他の人の前では使わない様にって、気を遣ってみたりしているのだけれど」


「努力しているのは知っているけれど、それ、逆にボロを出しているだけじゃない?」


変なイントネーションで名前を呼ばれたのは、一度や二度のことじゃない。周りの人だってボクが妙な呼び名で呼ばれているのを何度も繰り返し聞いていれば不審に思うに違いない。


「誰にもバレてはならない、二人きりの時だけの、二人だけの呼び名。まるでひめごと、何だかイケないことでもしてるみたい」


唇と唇の間に指を置いて塞いでいたけれど、その隙間からはスクスクと笑いが溢れている。


「ミィーナはミィーナの何が気に入らないの?」


「そんな可愛らしい呼び方されても、普通に困るだけだよ」


「あら?ミィーナってば、こんなに可愛いのに?」


八十島さんの指がボクの髪を掻き分けて側頭部を包み込み、一瞬、ドキリとする。少し時間がかかってしまったけれど、今八十島さんが言ったミィーナはアダ名のことではなく、ボク自身のことなのだと、ようやく理解出来た。

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