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帝国皇女の憂鬱(前世の夫の生まれ変わりを捕まえろ)  作者: @000-ooo


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7.伯爵邸の訪問

 しばらくして、伯爵邸に着いた。ずいぶん遅れた。「10時の鐘の頃に行く」と言ったのに、もう昼前である。玄関を見ると伯爵家の当主以下、家族全員がお出迎えである。私の気まぐれで来ただけなのに、そんなに丁寧にしてもらうと気が引ける。


 馬車を降りて挨拶をする。

「私は、ルネスティーネ・ブルヘンハイム、帝国の第一皇女です。今回は、フランツィスカさんとお話がしたくて寄せてもらいました。途中、少女の誘拐騒ぎに会いまして、遅くなりました。今回はご足労をかけますが、よろしくお願いします」

「これは、これは、ご丁寧なごあいさつ、私はメルケンブルグ伯爵家の当主カールです。伯爵家一同皇女殿下のご訪問を歓迎します。私のことは気楽にカールとお呼びください」


 本当は、フランツィスカさんの部屋に行って、転生者探しの話をしたかったのだけれど、もう昼前、仕方なく昼食を一緒にいただくことになった。


 当主様が

「お城の料理と比べると、お口汚しにすぎないと思いますが、当家のシェフが精一杯作った料理です」

「そうでもないです。お城の料理は、間に毒見役が入るので、私が食べるころにはもう冷めていて、あまりおいしいと感じたことはありません。今日は温かい料理が食べられるので、それだけでごちそうです」

「皇女様はお口が上手で、うちのフランツィスカも見習ってほしいです」

「フランツィスカさんもいいところはありますよ。他の令嬢は私の顔を見て、影でいろいろ言いますが、フランツィスカさんは、裏表のない性格なので安心できます」


 すると当主が、悪そうに

「その痘痕は、疫病の結果ですか」

「ええ、そうです。これが出来た最初は、誰にも見られたくなくて、部屋からも出なかったし、メイドや護衛も遠ざけました。スキル授けの儀式はみんなが帰ってから一人で受けました。そうしたら、皇帝や皇后が泣いていたので、「これではいけない」と思って、開き直ることにしました」

「皇女殿下はお強いですな」


 その後も当主はいろいろ話がしたかったようだが、私も、フランツィスカと、今後の転生者探しの作戦を練りたかったので、昼食後は「フランツィスカさんの部屋に行って遊ぶ」と言って当主の前を辞した。


 フランツィスカの部屋に行くと、部屋がきれいでまるで模様替えでもしたようである。フランツィスカに聞くと

「皇女殿下が来るというので、急遽業者を入れて中を改装した」

とのこと。以前はもっと汚かったらしい。


「それで、転生者探しは進展あった?」

「そんな時間はなかった。皇女殿下が来るというので、部屋の模様替えでしょ。当日何をするか。昼食で出す料理はどうする。その打ち合わせで、てんてこ舞い。時間なんてなかった」

「前世もセリーナは、不器用だったわね。一度に幾つものことをこなすなんてできなかったものね。期待した私が悪かった」

「そんなあ、見捨てないで、皇女殿下に見捨てられたら、私はそれこそ廃嫡される」

「見捨てないわ。あなたにできることをしてもらうことにしただけ」

「よかった。それで私は何をするの」


「今度、ズザンナさんの所へ遊びに行って、『ミリーさんて知っている?』と聞いて、そして、知っているなら、転生者かどうか聞いてほしいの。もし『知らない』と言ったら、ズザンナさんは転生者じゃないということで、次はヘレーネさんが転生者かどうか調べることにする」


「ズザンナさんが知っている場合の報告は『ズザンナさんはバラが好き』知らない場合は『ズザンナさんは本が好き』こういう手紙をちょうだい」

「どうして、そんな面倒くさい文章にするのですか」

「多分、検閲されると思うし、わかりにくくする方がいいと思うの」


「わかった、今度、ズザンナさんの所へ遊びに行って、聞いてくる」

「期待しているわ。それと、あなたがこの部屋で一人になることがある」

「夜9時以降だったら、ここで寝るから、一人になる」

「そう、じゃその時間にこの部屋へ転移するわ。場所はあのカーテンの影、それでいい」

「皇女様がいきなり現れるというのは少しきついかな」

「文句言わないの。あなたに拒否権はないのだから」

「ひどい。私にも権利はないの」

「ないわ。そんなことしていたら、あなた何もしないでしょう」

「そんなあ」

「つべこべ言わないの。わかった」

「はい」


「それで、普段、あなたはここで何しているの」

「ううん。何もしていない」

「読書とかは」

「勉強は嫌い」

「あなた、そんなことしていると学院に入学できないわよ」

「大丈夫、金さえ積めば伯爵家以上の子息令嬢は学院に入学できるってお父様が言っていた」

「でもFクラスだったら、あまり私の役に立たないから、もっと勉強しなさい」

「きつい、皇女様はお母様と同じことを言う」


 こうして、打ち合わせの時間は過ぎていった。その後は子供ということで、お絵かきや人形の着せ替えなどで遊んだ。この時間はフランツィスカはとても元気であった。ため息の出る皇女殿下であった。


 その後、夕方になったということで、帰ることにした。玄関で、

「今日はとても楽しい時間を過ごせてうれしかった。またお邪魔してよろしいでしょうか」

「どうぞ、どうぞ、いつでも来てください」

「ありがとうございます。それではまた、ごきげんよう」

と言って伯爵邸を後にした。


 夜、皇女殿下が伯爵邸のフランツィスカの部屋に転移すると、フランツィスカは爆睡していた。頭に来たので、フランツィスカの頬をつついて、起こした。フランツィスカが声を上げそうになったので、フランツィスカの口元をさえて、

「今日は仕方がないとして、明日からは行動開始よ。わかった」

「わかった。でも、いきなり現れるのは勘弁してほしい。心臓に悪い」

「ほっておくと何もしないじゃない」

「そんなあ」

「シー。声がでかい」

「わかりました。皇女殿下」

「よろしい。それじゃ帰るわね」


 そう言って、皇女殿下は帰って行った。


 少し頭の足りない助手をどう使うか思案しながら、今日も皇女殿下のミッションは続く。

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