52.入学準備
フェアフュアングは宮殿の離宮に隔離されている。離宮からは皇女殿下とその取り巻き以外の女性は一切近づけないようになっている。
しかし、『白馬の浮気男』の小説が広まると、なんとかフェアフュアングの容姿を見ようとする女性のメイドや文官が離宮に潜り込もうとしている。
そのような女性は離宮に近付いた時点で警備の衛兵に排除されるだが、相手が高位の貴族女性ともなると、衛兵だけでは対処できずに皇女殿下の出番となる。
皇女殿下がいないときはフランツィスカ伯爵令嬢の出番となるが、フランツィスカ伯爵令嬢はいかんせん頭が弱い。その場合はマリア伯爵令嬢の出番となるが、しかし、マリアは元男爵令嬢、威厳という意味ではフランツィスカに及ばない。そのため、そのような高位貴族の女性の対応はフランツィスカとマリア2人がかりで行っている。今日も離宮に潜り込もうとした伯爵令嬢を追い返したところである。
フェアフュアングは今のところ両親や村長の説得が効いているようでおとなしくしている。それも不気味である。転移魔法を使われたら対応できないのである。しかし、今のところ、宮廷の料理に文句をいうこともなく、メイド代わりにつけた前世の妻たちの生まれ変わりたちとも和やかに会話している。不満は言ってこない。少なくとも表面上は静かなものである。
皇女殿下の思いとしては、このまま学院入学まではこの状況を続けるつもりである。そして、この間を利用して前世の妻たちの生まれ変わりを鍛えて一人でも多く学院に入学させるようとしている。
そのために、帝国内の妻たちの生まれ変わりは皇女殿下の側近としてそばに置くことにした。また、他国の人間は皇女殿下の友人としてこれも近くに置くことにした。
そして彼女たちにはフェアフュアングの世話と学院の受験準備として皇女殿下の家庭教師から皇女殿下と一緒に勉強を教わっている。
ただし、フランツィスカ伯爵令嬢だけは早々にこの受験勉強から脱落した。彼女の場合はもう金の力で無理やり学院にねじ込むしかない。しかし学院に入れられたとしてもそこまで、とてもAクラスにはなれそうにない。これも頭の痛い問題である。
それともう1つ頭の痛い問題がフェアフュアングが頭がいいということである。彼にはスキルとして言語理解と鑑定がある。これを駆使されたら、国語と外国語それに他の入試問題も大抵はすんなり解ける。
それにライムは前世でも頭がよかった。特に計算は、その世界の住人のはるか上を行っていた。それに魔法も剣術も得意である。とにかく能力的はすごくレベルが高いのである。たぶん何もしなくても余裕でAクラスには入れる。
下手をすれば主席合格するかもしれない。そうすると入学時に主席合格者として挨拶するかもしれない。そうなったら、学院のどれだけの女生徒が彼に恋をするかわからない。
学院入学後は、フェアフュアングには認識疎外の魔道具をつけさせる予定である。そのため宮廷魔法士には、一番強力な認識疎外の魔道具を作るよう皇帝陛下から命令してもらった。
これが出来れば、少しはましになるかなと思っているのだが、これで、フェアフュアングの甘美の香りの効果を打ち消すことが出来るのか、それは魔道具が出来てみないことには分からない。
少なくとも既存の魔道具では甘美の香りの効果を打ち消すことは出来なかった。少し効果が薄れたといった程度であった。
愚痴を言っていてもしょうがないので、今は出来ることをしている。今できること、それはフェアフュアングと皇女殿下とその取り巻き以外との女生との接触を断つこと。
そしてフェアフュアングより入試でいい点数を取ること。これはなにも皇女殿下でなくても、誰でもいいのである。
そのため、他の貴族家にも優秀な人間はたとえ低位貴族であっても、受験環境を整え、いい点数を取るよう皇帝陛下から命令してもらった。
そのため、離宮には皇女殿下とヘレーネ子爵令嬢、フランツィスカ伯爵令嬢、マリア伯爵令嬢だけでなく、その友人ということでカルナとマヤも呼び寄せた。また、ズウォレタット王国のアロイジア男爵令嬢やシャルルランス王国のマルレーヌ、パーペンランド王国のルナ、トリスタント王国のリッカルダも留学ということで呼び寄せた。
もうなりふり構っていられない。とにかくあと2年しかないのである。勉強は一朝一夕には成せないのである。
いつも「帝国皇女の憂鬱(前世の夫の生まれ変わりを捕まえろ)」をお読みいただいてありがとうございます。
「北の関を死守せよ、野望は泡沫の夢と消えて」を投稿しました。3299文字で完結の短編です。よろしくお願いします。
「転生者とバグでない異世界人の物語」と「牛乳とチーズは違う味がする(顔だけ男の気ままな旅)」も引き続きよろしくい願いします。




