21.ズウォレタット王国での調査
次の日、ヘレーネとアリーナは、貴族年鑑の保管されている部屋に案内された。順番に貴族の家族の中にヘレーネと同じ7歳の子供がいないか。いた場合は誕生日がいつか調べていった。すると、ハイゼンスタット男爵家にアロイジアと言う令嬢がいて年齢はヘレーネと同じ7歳、そして誕生日は第4夫人オリーヌと同じ9月25日であった。他には7歳で誕生日が同じ令嬢はいなかった。夕方までに貴族年鑑の調査は終了した。
あとはこの令嬢に会って確かめるだけである。感動で、自然と笑みが浮かぶ。するとアリーナが
「何かいいことがありましたか」
「はい、7歳の令嬢が見つかりました。あとは皇女殿下のお友達になってくれそうか確かめるだけです」
「そう、それはよかったわね。どの子」
「この、ハイゼンスタット男爵家のアロイジアと言う令嬢です」
「でも男爵家では、身分が違い過ぎるのではなくて」
「大丈夫です。皇女殿下は身分を気にするような人ではありませんから」
「アリーナさん、この令嬢に会うことはできませんか」
「ズウォレタット王国の人に聞いてみるけど、下級貴族の令嬢を帝国の要人に合わせるというのは、多分この国の官吏が嫌がるでしょうね。成人前だと、礼儀作法もなってないだろうし、何かあった時、あとの処理をするのはこの国の官吏になるから。一応は聞いてみるけど」
ズウォレタット王国の官吏に聞いてみたが、やはりダメと言う返事であった。それに、この令嬢は、領地にいるとのことであった。領地は王都から北へ馬車で2日ほど行ったところのハイゼンスタットという町とほかに小さな漁村がいくつかあるところとのことであった。
ヘレーネはどうしたものか悩んだが、とりあえず、ここまでの状況で皇女殿下に相談することにした。
前回同様、ヘレーネを除く特使一行が歓迎パーティーに出るのを見計らって、護衛を廊下に出すと、ヘレーネは魔力結晶の包蔵容器のふたを開けた。すると、すぐに目の前に皇女殿下が現れた。
「ヘレーネ、転生者らしき人物は見つかった」
「はい、ここから北へ馬車で2日ほど行ったところのアロイジア・ハイゼンスタット男爵令嬢です。ところが、アリーナさんを通じてこの令嬢と会いたいと申し出たのですが、帝国の要人を成人前の令嬢には合わせられないと断られました」
「そう、それじゃ、今から行ってみる」
「廊下の護衛はどうします」
「護衛は部屋の中に入ってもらって、眠ってもらいましょう。そして、部屋に結界を張っておけば誰も部屋に入れないし」
「皇女殿下、本当に眠るだけですよね。殺したりしないのでしょうね」
「そんなことはしないわよ。今世の私は繊細なのだから、魔力の配分を間違えたりしないわ」
「ほんとでしょうね」
「くどい、いざとなったら治癒魔法も使えるから」
「やっぱり絶対じゃないのだ。大丈夫かな」
「大丈夫、責任は私がとる」
「わかりました」
ヘレーネが
「着替えが済んだので部屋に入って」
と言うと、護衛が部屋に入ってきた。部屋の戸が閉まるのを待って、後ろから皇女殿下が眠り魔法をかけた。すると護衛はすやすやと寝息を立てて眠り始めた。
「だから言ったでしょう。今世の私は完ぺき。繊細な魔力操作もできるのよ」
「はいはい、わかりました、皇女殿下は完ぺきです」
「今から行くわよ。準備はいい。でも相手の顔も知らないのでしょう。どうするの」
「ハイゼンスタット町に転移して男爵邸の場所を聞く。そして屋敷の前から、7歳の女の子のいる部屋に転移する」
「もし、その部屋のメイドとかほかの人がいたらどうするのですか」
「その時は女の子以外は眠らせる」
「やはり、力任せにいくのですね」
「細かいことは気にしない。それじゃ行くわよ。と、その前にこの部屋に結界を張って。これで完璧。いざ、ハイゼンスタット町へ」




