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この先は本編終了後の後日談です。


フェリシアンの同郷の幼馴染【ミレイユ視点】での外伝となります。


三巡目ではマチルダと面識なし・アカデミーも卒業済みです。

もちろんマチルダとフェリシアンも出てきます!全四話です。






「フェリシアンが……婚約⁈」


 新聞の見出しを見た瞬間に声が出た。

 ここが魔法省の管理事務室だってことも忘れてしまいそうなぐらいの衝撃。


「びっくりよねぇ、一介の男爵令息が聖女様を娶るなんて」

 

 同僚のカテリーナが横から覗き込んでそう言うと、部署の同僚たちが好奇の目を向けながら寄ってくる。

 ああ……嫌な予感。


「あのフェリシアン様がねぇ……ミレイユ、昔から知ってるんでしょ?」

「まあ……小さい頃はよく遊んでましたけど」


 そう答えた途端、いろんな方向から声が飛んでくる。

 

「羨ましいわぁ! 一度夜会で見たとこがあるけど、すっごい美形よね」

「でも、侯爵令嬢との縁談をすっぽかしたって噂よ」

「巷では、女泣かせのフェリシアンって呼ばれてるものね」

「じゃあ聖女様には相応しくないんじゃない?」

「あはは……」


 フェリシアンと幼馴染だって話をするといつもこう。

 私は適当に愛想笑いをしてやり過ごす。

 

 結婚もせずに王都で働いていると、こんな風に嫌でもいろんな噂を耳にする。


 最近は会っていないけれど、幼い頃から彼を見てきた。だから分かる。

 フェリシアンが『女泣かせ』だなんてちゃんちゃらおかしい。

 彼は子供の頃から優しい人。そしてどこか浮世離れしてて……掴みどころがない不思議な人。

 女心を弄ぶような人じゃないのは確か。

 でもわざわざ噂を否定すると、また別の噂が流れるから……結局静観するしかないんだけどさ。

 

 侯爵令嬢の件だって、お父様曰く、相手が悪どいやり方で婚約を結ぼうとしてきたから、逃げるしかなかったみたい。お気の毒。


 そんな彼が、あの聖女様と婚約……。

 喜ばしいという気持ちと同時に、心配になる。どういう経緯でそうなったか知らないけど、大丈夫なの……?

 あのどこか上の空で、自由人みたいなフェリシアンに、聖女様の夫なんて務まるの?




 そんなことで頭がいっぱいになって仕事を終えて、下宿に戻った。

 今は年季の入った古い下宿で一人暮らし。

 アカデミーを卒業したら、実家に戻って結婚しろと言われていたんだけど、断ってしまった。

 もう少し自分の道を歩いていきたいと思ったから。不便なことも多いけれど、今の暮らしの方が性に合ってる。

 

 

「手紙……?」


 部屋の前のポストに、見慣れない封筒が入っていた。

 高級感のあるしっかりした作りのそれには、大層立派な封蝋が押されている。

 これは……王家の紋よね。どうしてそんなものが?

 とりあえず中を見てみる。

 

「えっ……」


 思わず息が止まった。

 どどどどどどどうしよう。

 ……招待されたんですけど。

 聖女様とフェリシアンの、婚約パーティーに。

 手が震えてる。こんな庶民同然の田舎貴族の娘に……王宮からの招待状なんて。

 しかも差出人はフェリシアンではなく、マチルダ王女……聖女様だ。

 ……どういうこと? もちろん面識はない。


 こんな大層な場なんて初めてだし、もちろんパートナーもいないし……。私なんかが場違いすぎるんじゃないの?

 

 でも……聖女様のお誘いを断るわけにはいかないよね。

 それにちょっと気になるし。フェリシアンがちゃんとやっていけるのか、この目で確かめたい。

 だからもちろん行くんだけど……。

 ふと自分の着ているブラウスに目をやる。

 最後にパーティ用のドレスを着たのは何年前だっただろうか。

 まずい。まずいぞ……。これは……。


「着ていく服がない!」


 夜空を見上げながら、頭を抱えた。

 はあ、とりあえず貯めていたお給料で新しいドレス買わなくっちゃ……。

 

 

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