20:到着
「つまり、他の街から旅をしてきた時に間違えて、引っ掛けてしまったと、そういう事だな?」
「ああ大変迷惑をかけた。すまない」
『ああ、本当に迷惑だ』
うるさいことを言うメリアリオをマントの上から叩く。メリアリオの声は他人には聞こえないようになっている。もちろん、聞こえるようにすることはできるが、確実に怪しまれるのでしない。
「いや、無事で何よりだ。それでこの後はどうする?」
「しばらくこの街に居ようと思っているが、何故だ?」
そう言うと、悩むように目を閉じるアーク。周りの三人はアークを信頼しているのかにも言わない。アークは苦労人の資質があるな。
「実は最近、この村の周りで気になることがあってな。お前は実力も確かのようだし、いっしょに狩りをしないか?」
それを言い出そうかどうか悩んでいたのか。俺に言って
くれたのは、俺を信頼してくれたからだろう。少しでも信頼してもらえるというのは、やはり俺の人格のなせる業だろうか。
「わかった。こちらからも頼む」
こうして、この世界で王城以外で仲間を、初めて見つけた。
※※※※※※
「右、オーク三来るぞ!」
アークが支持を出せば、
「イリア!」
アルが戦術を指揮する。
「シュライン、カケル!」
「分かってる」「あいよ」
俺と槍持ちのシュラインの立ち位置は遊撃、もしくは殲滅係だ。イリアが弓で支援をし、アルの付加魔法を受けたアークが前線を支える。俺を含めて五人の連携は、結構うまく行ってる。
それに安定感がすごい。一人では危ない橋を渡るような時も、誰かがカバーしてくれる。
仲間って、悪くねえな。
「よし、片付いたな」
剣を鞘に収めたアークが言う。
「今日はこの辺までにしよう」
さっそく魔物のからだを解体する。ゲームのようにドロップ品などは存在しないんだ。リアルの異世界だというのがよくわかる。
そう言えば、ジジィもそんな事言ってたな。




