17:帰宅
「どうだった?初めての実戦は」
「どうもこうも普段通りでしたよ。特に何もなく」
「まぁ……なら楽勝か」
「なんて言いました?」
上手くエルダラムさんの言葉が聞き取れなかった。
「何でもねえよ、こちの話だ。」
そう言って話を打ち切る。
「さ、帰るぞ。“転移”は?」
「使えますよ」
「なら自分で飛べよ“転移”」
そう言って先に帰ってしまうエルダラムさん。まだ暴れたりないんだが。
城に帰ってから誰かに相手してもらおう。
「“転移”」
一度視界がぼやけるとそこは王城の訓練場だった。周りで剣を降ってた奴らが、唖然としている。
ごめんごめん、転移先を間違った。
※※※※※※
『な~んかい嫌な感じがしたんだよな』
「ん?どうしたんだ?」
俺が間違えて転移してしまった訓練場から出て食堂に向かっていると、メリアリオが何かを呟いていた。
……何で誰かに相手してもらおうとか言っておきながら食堂に向かっているのかって?
腹が減ったからだ。やっぱり携帯食料だけじゃ物足りない。もちろん旅の途中とかだったら我慢するんだが、食べれる可能性があるのなら食べておきたい。
「で、結局どうしたんだ?」
『結局って、なにもいってねえよ。』
ん?そうだっけかな。まぁいい。
「いや、ホントにどうしたんだ?いつもあんなに話していたお前が全然話さなかったじゃないか」
俺が改めてそう問うと悩みながらも答えてくれた。
『何かあのダンジョン違和感があったんだよな』
「違和感ってなんだ?」
『お前あのモンスターの戦いを見て何も思わなかったのか?』
そう言われて考えてみるが特に思いつかない。
「強いて言うならめちゃくちゃ弱かったな」
『それだよ』
……は?
『本来いくらゴブリンとは言えあんなにやたらめったら突っ込んで来るもんじゃない。しかもお前は気付かなかったかもしれんが、あのゴブリンども縛られてたぞ』
「縛られてたって、縄なんか付いてなかったろ」
『物理的な縛りじゃねえよ、魔力だ』
「魔力?」
『そうだ。それも相当強い力でな』
メリアリオがそう言うなら確かなんだろう。だが、そうすると疑問が残る。
誰が?何故?どうやって?
「こりゃあエルダラムさんに報告しねえとな」
『ああ』
食堂に向かっていたのをきりあげてエルダラムさんを探すことにした。




