18:旅立ち
結局、あの後何も事件は起きなかった。いや、少なくとも人に害は与えていない、というべきか。
崩れ落ちたのだ、あのダンジョンは。
エルダラムさんの部下が調査に向かったときには、ダンジョンが存在しなかったそうだ。入り口は完全に閉じ、地面にも陥没が見られ、ダンジョン内に侵入するのは困難だったらしい。その後ダンジョンの調査は続いているが、成果は上がっていない。
あの事件から四ヶ月、俺がこの世界に召喚されてから、およそ半年がたった。
そして今日、俺は一人で旅に出る。初めから魔王やエルダラムさんとは約束していたことだ。
「じゃあ、行ってこい」
「絶対に戻ってきてくれ。お前は私達にとって必要な存在だ」
「わかってるさ。俺もここには戻ってきたい」
ここには確かな温もりがあったから、と心の中で付け加える。現にこうして、何人もの人が俺を見送りに来ている。
……一部の奴らにはサボる口実にされていそうだが。
「じゃ、行ってきます。多分一年以内には戻るんじゃないかな?」
「なぜに疑問形だ」
自分でも確信が無いからに決まっている。気分次第だからな。
「じゃあな」
そう言うと多くの人が手を振ってくれた。この暖かさは忘れられそうにない。
※※※※※※
「さて、しばらく歩いて来たんだが、なぁメリアリオこの辺に集落があったか?」
『何で俺に聞く。自分で調べろよ』
「そりゃあお前に聞いたほうが早いからな」
そう言うとため息を吐きながら教えてくれた。
『後二、三日はあるかねえとないな』
結構遠いもんだな。そもそも、この魔神の大陸には王都以外に大きな都市は無いらしい。王都から離れた土地には、小さな集落があるらしいが、それらは一応魔王の支配下にある。と言ってもほとんどの自治区になってるらしいが。
「仕方がない、歩くか。」
『当たり前だ』




