1:はじまり
《創世神話》
世界の始まりには
三柱の神と
神になりそこねた者がいた
三人でいることにあきた神々は
それぞれひとつの種族を生み出した
獣人 人間 魔人
三つの種族は
神々のつくった一つの大陸で
平和に暮らしていた
しかし 神になれなかったものは
その平和を嫌った
〈それ〉はやがて新たな種族を創り
世界に放った
〈それ〉が新たな種族に持たせたものは
争いの種
やがて世界は
三つの種族にわかれ
争いが始まった
神々は 世界に干渉する力を失い
それも力を失い眠りについた
神々が 最後の力で
一つだった大陸を 三つに分かち
世界は 永い永い争いへと
突入した
希望の存在として創られた勇者は
争いによって他種族を 殺し
自らをも殺すものとなった
※※※※※※
光に巻き込まれ、あまりの眩しさに目を閉じていると、光が収まったようで、声が聞こえてくる。あまりの光の強さに、眼だけではなく耳まで逝ってしまったのか、周りから聞こえてくる音が聞き取れない。その代わりに、体に違和感がある。何者かに俺という存在そのものを読み取られ書き換えられるような感覚。言い方が変かもしれないが、これ以上は言いにくい。ファイルの書式を全く違うものに書き換えているといえばいいのだろうか。俺の存在が、表面上は全く同じ、けれどその存在は全く違うものに変えられているのがわかる。この時点でもうだいたい予想はついていたが、実際に目を開くまでは信じられない。いや信じたくない。だから、光のダメージから目が復活したときに、視界に入ってきたものを見て、完全に理解した。『ああ、俺は召喚されたんだな』と。視界に入ってきたもの、それはいかにも異世界です、と主張しているような新刊らしき人たちの姿だった。ここに来る前、確か高校の昼休みだっただろうか。 俺は弁当をすぐに食べて本を読んでいた。教室に他にいたのはハーレム2つ。なんで1つのクラスに2つもハーレムがあるのかは知らない。が、そんなことはどうでも良く、ただひたすらに鬱陶しかった。羨ましい訳ではない。そもそも俺は恋愛をしたいとは思っていない。時間の無駄だと思っている。今の俺には他にしたいことがありすぎるのだ。世間一般だと厨二病と言われるかもしれないが、俺はカッコよくてワクワクするものが大好きだ。剣と魔法の世界、命がけの戦い、それ以上に心を震わせる何かが存在するだろうか。もちろん、スポーツの中にそれを見出す者もいれば、研究を見出すものいるだろう。別にそれは否定しない。だが同時に、俺にはこれしかないというのを分かってほしかった。なぜ今これを考えたのか。教室にいた彼ら彼女らが、それを否定してきたからかもしれない。だがそれ以上に、今の、この物語としては楽しんでいた、けれど誰も自分におきるとは決して思わない状況から、逃げようとしていたのだろう。そんなに心が強いわけでもなく、やる気があるわけでもない。したくないことなどできるだけ手を抜く。けれど、一度入れ込んだものには全力。それが俺、天尾駆という人間だ。
文章が自分で気に入らなかったため、読んでくださる方に分かりやすいように書き直しました。続きも書き直していくつもりです。話の本筋が変わらないように気を付けているつもりですが、もし違和感などを感じたら、ぜひコメントを送ってください。




