不老不死の代償
「イツキ、最近ね村に錬金術師を名乗る人達が来たんだ。」
とエマが言う。
「錬金術ねぇ。金でもつくりに来たのか」
「それがね、なんでも不老不死の妙薬を研究してんだって」
「なんでそんな奴らがこの村に」
「よく分からないけど硫黄を取りに来たんだって」
「なるほど」
グレン村の近くには温泉が湧き出ており、硫黄がよく取れる。
「不老不死になんかなったってなんもいい事ないと思うけどな」
「ところで不老不死の妙薬は現実的に作れるの?」
「今のところ不可能だ。」
「やっぱりそうなんだ。錬金術師達はあと少しで作れるそうだと言ってたらしいけど」
少し残念そうにエマは言った。
「聞きに行ってみるか?」
ワクワクした様子でエマは「うん」と言った。
村に出て錬金術師を探していると
すぐ先に見慣れない奇抜な格好をした人達がいた。
見た途端にこれが錬金術師だとわかる格好だった。
何故かずっと手が小刻みに震えている。
「すいません。王都から来た錬金術師は、皆さんのことですか?」
イツキは聞く
「ほう……我らを見分けるとは。なかなか目が聞くな」
イツキは愛想笑いをした。
「少しお尋ねしたいことがあって」
「あぁ、なんでも答えれることは教えてやろう」
「不老不死の妙薬を作っているのは、本当なんですか?」
「あぁ本当だ。試作品ならもう出来ているよければくれてやる。」
「ありがとうございます。また後で飲んでおきます」
「そうか。これで試作品を渡すのは4人目だ」
(まずい……もう既に複数人に渡っている)
「誰に渡しましたか」
少し焦るようにイツキは言う。
「2つはカップルに渡した、もう1つは男に渡した」
「ありがとうございます」とだけ言いイツキは診療所に戻った。
貰った不老不死の妙薬を開けて調べてみると
銀色の思く光沢のある液体所々に金色の何かが見えていた。
中からは腐った卵のような匂いがした。
「やっぱり、伝承にある通りだ」
「どういうこと?」
「これは、毒だ。」
エマの血の気が引いていくのがわかった。
「も…もしかして、このく…薬を貰った人は……」
「分からない。だが、この量なら定期的に服用しない限り大丈夫だろう」
錬金術師達の手が小刻みに震えているのを見て、予想はたっていた。
これが不老不死の妙薬ではなく、人を殺す毒だと言うことは
「こ…この毒は、な…何でできてるの?」
エマは、恐る恐る聞く。
「金と硫黄そして、唯一の液体金属である水銀だ」
硫黄のところは、砒素や鉛時には、翡翠や雲母の場合もあった。
「硫黄はわかるけど金と水銀がなぜ毒なの?」
「金は毒じゃない。問題は水銀だ。」
「水銀が...」
「手の震えや痺れなどが起こる。」
これだけ聞くと大したことがないと勘違いするかもしれないが
水銀は排出することが困難なため蓄積していくそうなると死に至る病となる。
「まず、この試作品を貰った人達を探さないと」
イツキとエマは二手に分かれて探した。
村の中を走り回り、やっとのこと見つけることができた時には、もうあたりはすっかり暗くなっていた。
3人には、診療所に来てもらった。
名前を聞くとカップルの方は男がリオで女がミナと言う名前らしい。
もう1人の男はガルドと言う名前だ。
「単刀直入に聞きます。不老不死の妙薬と渡された薬を飲みましたか?」
イツキは聞く
3人が首を縦に振る。飲んでしまったということだ。
「効くって聞いたからな。仕事での疲労も回復すると思ってな。正直、体がもたなくてよ」
とガルドが言う。
「落ち着いて聞いてください。あれは、薬ではなく毒です」
「嘘だ...錬金術師様が言ったんだ...そう言ったんだ!ミナの体が弱いからって…これを飲めば治るって...!」
リオは自分を言い聞かせるように言う。
「信じるかどうかは任せます。ですが、このままだと確実に体は壊れます」
人を信じさせるのは難しいそれが真実であったとしても。
「お前さんの言うことが正しいとして、俺らを助ける事はできるのか?」
ガルドは聞く
「はい、できます」
「なら、助けてもらおうじゃねぇか」
「...嘘だ。錬金術師様が嘘言うわけがないんだ」
リオは言う。
「落ち着け。治療を受けても何も悪いことは無い」
ガルドが宥めるように言う
「……リオ、私……さっきから手の震えが止まらないの」
ミナは言う。
(やはり来たか……)
もう、体が蝕まれ始めた。




