第三十七話
「せーいー!!」
喧騒の中で、少女の声がおれの名を呼ぶ。
その声に対し、おれの身体は条件反射で立ち上がる。
いつの間におれが来ていることを知ったのだろう、と思いつつも、おれは小夜の元へと向かう。
「おはよう、小夜。元気そうで安心したよ。」
珍しく嘘0%な言葉。それを知ってか知らずか、小夜もいつもより少し明るい声で答える。
「もー!心配するくらいなら迎えに来てよー!」
またご機嫌取りをしなくちゃな、と思ったおれは、思ってもいないようなことを吐く。
「お嬢様がお越しになられましたらすれ違いになってしまうかな、と思ったもので。また次の機会があれば今度はお迎えにあがりますね、お嬢様」
少し笑っているくらいのノリで、あくまで重たくならないように。
なんやかんや、ファンタジー好きの小夜にはこのやり方がいちばんご機嫌になりやすいのだ。
「早く図書館に行きましょう?早くしないとせっかく今日来た新着本も借りれませんわよ?」
その言葉で、おれのお嬢様(小夜)の執事、という演技は一瞬にして崩れた。
「は?今日新着本来てんの?お前ら、なんで教えてくれなかったんだよ。そして小夜、話が終わったら行くからちょっと待ってて」
おれに疑問を向けられた、おれの中ではクラス内でいちばん仲の良いと思っている3人が答える。
「「「小夜ちゃ…三日月さんが教えるかなって思って…」」」
綺麗なハモり。これを合唱コンクールで発揮してほしかった。
そうしたら学年最下位にならなかったかもしれないのに。
いつも『小夜ちゃん』と呼んでいるこいつらだが、小夜が嫌そうな顔をしたせいか、『三日月さん』と言い直している。
それを見た小夜は、満足げな顔をしている。
ついこの間、おれが『三日月さん』と呼んだときの様子は見る影もない。
「話は終わった?終わったなら行こ?」
周りの奴らが惚れこんだ音が聞こえた気がした。
同時に失恋した音も。
小夜に恋するなんて可哀想な奴らだな、と思う。
最も、失恋しただけ良いのかもしれないが。
そして何故か一部の人たちがおれを見ている。
その感情は良くわからなかったが、憎しみや悲しみなどといったマイナスな感情ではなさそうだ。
よくわかんない奴らだな、と思いつつも、
「ん、さっさと行こ。あ、お前らは後でまた話聞くからな」
そう言い残して、おれは教室を出た。
その日の昼休み、3年1組の教室からは、これが合唱コンクールだったら優勝できるんじゃないかというくらい綺麗にハモった大声量の絶叫が聞こえた。
今日もギリギリ投稿成功
危なかった…
ちなみに星が3−1、小夜が2−1です
見てくださってありがとうございます!
ではまた〜!!




