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りんけーじ73 うみあかり亭

りんけーじ73 うみあかり亭


 マリスのアドバイスで、その日は海の近くの宿に宿泊し、明日出発することになった。

 海の近くの宿はどこもいっぱいで、6件目の丘の上に立つ白い小さな「うみあかり亭」と言う宿でようやく空き部屋が見つかった。

「お客さんたち、悪いねえこの時期はお客が多くて、一部屋しか空いていないんだよ」と、

宿の老婆に部屋に案内された。

老婆は続ける「えーっと、夕食は食べたんじゃったな、朝食は海の美味しい物を用意するからのう。あと、浴場が自慢じゃ、宿の地下深くから温い泉が湧き出しているんじゃ。日焼けの火照った肌にいいんじゃ、ウチミ、捻挫、疲労回復効果もあるんじゃよ」

どこかで聞いたような話だ。

「あと、女の魅力が上がるね」老婆はボソッと付け加えた。

俺は、老婆がニヤッとした一瞬の顔を見逃さなかった。

「さあ、着いたこの部屋じゃ」老婆はギィと部屋のドアを開けた。

「ほえ~大きい部屋ですね~」あかねが見回した。

「相変わらずこの世界の縮尺はどうなっているのかしらね?」鈴乃は頭を抱えた。

確かに宿の大きさからするとあり得ない間取りだ。

「えっ!?この部屋で一緒に寝るの?」一瞬俺は、ドアの前で中に入るのを躊躇した。

「バカね!あんたも、女の子でしょ、早く入んなさいよ」鈴乃があたふたしている俺を後ろからグイっと押し入れた。

部屋にはベットが6床あった。

ええっと、今日泊まるのは、俺、鈴乃、あかね、凜、える、ヴァールとマリスの7人だよな…あれ、1個足りない

「ベットが足りないんじゃ?」俺は、皆に言った。

「し、仕方ないです!わ、わたしが円正寺さんと一緒に寝ます!!」誰かが叫んだ。

声のした方に皆の視線が注がれた。

それは、ヴァールだった。

「あ、あの、変な意味じゃなくて、ベットが足りないから仕方なく…」皆の注目を浴びるとヴァールは赤面した。

「ヴァール、それはやめなさい!」鈴乃が遮った。

「で、でも…」ヴァールは両方の人差し指をくっ付けてもじもじした。

「ふむ、それならわれが、えると一緒にねるのじゃ!」凜がえるに向かって言った。

えるはニッコリとほほ笑んだ「はい、甘えん坊な、ますたーですね」

「あー、凜様ずるい!」それを聞いていたマリスが頬を膨らませた。

「仕方ないのじゃ、われは寝相が悪いからベットから転げ落ちることがあるのじゃ、それをえるに防いでもらうのじゃ」凜は赤面しながら言った。

まあ、そこら変が妥当か…

結局、凜とえるが一緒に寝る事になった。

浴場には俺を除いた、女性陣が先に行った。




「あいたたた、油断したわね、日焼け後がヒリヒリする」鈴乃が体を洗いながら、言った。

「そうですね、女の子だから、日焼けするのはちょっと」あかねも水着の境目を見ながら言った。

「そう言えば、ヴァールって、日焼けするの?」鈴乃は夜になり皮膚の色素が濃くなった

ヴァールに尋ねた。

「基本的には、しないと思います。でも、なんか日焼けした様な感じもします。きっと、生前の感覚が残っているんでしょうね…」ヴァールは寂しそうに答えた。

「ま、まあ、女子にとって、日焼けしないって、言う事はいい事よ!」鈴乃はヴァールを慰めた。

「そ、そうですよ!日焼けしないなんてヴァールさん羨ましい!」あかねがヴァールに抱き着いた。

「あら、あかねちゃん、少し胸が大きくなったんじゃないの?」鈴乃がヴァールに抱き着くあかねを見た。

「えへへ..気づきましたか、あかねも日々成長しているんです!」あかねが仁王立ちになり右手で拳を作った。

「あ、あ、あ」会話を聞きながら、凜は涙目になっていた。

「大丈夫ですよ、ますたー!ますたーには、マスターの魅力があります!」えるが凜をなでなでした。

「ほ、ほんとに!?」凜は涙を堪えてえるを見つめた。

「はい!そういう需要もあるんです!」えるは、力説した。

「はーっ、しかし気持ちいいお湯ね~」鈴乃は、お湯に浸かりながら言った。

「ホントに、気持ちいですね~」あかねは髪の毛をたくし上げた。

「誠に!」凜がお湯をピチャピチャと肩に掛けた。

「ふえ~っ」ヴァールが少し赤くなった。

「ほんまに、ええ湯加減や~とろけてまうで~、なあ、親分」マリスが泳ぎながら言った。

「マリス!お行儀わるいですよ!」えるが顔を赤らめながら言った。



女子たち風呂に行っている間、俺はベットに横たわっていた。

スフフシェルが見つかるだろうか…考えているうちに、ウトウトと眠ってしまった。


―――どれ位時間が経ったのだろう、俺は、耳の横でする人の吐息で眼を開けた。

「!?」

そこには、鈴乃の顔があった。

「円正寺君、わたしを抱きなさい!」鈴乃が布団のなかで言った。

「はい!?」俺は、思わず聞き直してしまった。


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