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妄想設定作品集  作者: 蒼和考雪
god slayer
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11

「それで、どうしてあんな状況になってたんだ?」

「あいつらがどいてくれなかったんだ」

「……うん、アルツの言ってるのはわかった。それで、君の話も聞きたいんだけど」


 アルツは多分あてにならない。連れてきた女の子に話を聞くことにしよう。


「あ、あの……えっと、その」


 話を振られて戸惑っている。まあ、いきなり連行されてこれだしな。


「ああ、そういえば名前も聞いてないか。まずはこちらから。俺はハルト・マルジエート。こっちのがアルツ」

「……お貴族様なんですか!?」


 ああ、普通は貴族の冒険者なんていないもんな。上の立場が相手ってのはかなり戸惑うかもしれないな。


「今は気にするな。ただの冒険者だから。それで、君の名前は?」

「は、はい……私はシェリーネって言います」

「うん、それじゃあ。シェリーネ。いったい何故あんな状況になってたんだ?」

「あ、そ、その……」


 シェリーネは少し言いづらそうにしていたが、内容を話してくれた。

 最初、シェリーネが冒険者になってからしばらくはチームに所属していたが、どうしても討伐依頼に苦手意識があり、チームを抜けたそうだ、そのチームを抜けてからはずっと採取依頼をしていた。それ自体は別に変な話ではない。そもそも討伐依頼ばかりが依頼ではない。戦闘能力の低い冒険者も少なくない。まあ、そういう冒険者事情は別にいい。採取依頼だけをしている冒険者、というのは少し珍しいしかもソロだ。


「あれ? ソロで依頼は受けられないんじゃないのか? 最初にそう言われたぞ?」

「討伐依頼はそうだな。採取依頼は一応受けられるぞ。まあ、ランクで制限があったりするけどな。」

「そうなのか」


 討伐依頼以外はどうでもいい感じの反応だな、こいつ。まあ、受付さんもそういう雰囲気を感じたから依頼を受けられないって言ったんだろう。

 シェリーネの話に戻ろう。採取依頼を受け続け、チームに入っていたときの依頼達成の成績もあり、結構早めに橙に上がったらしい。だが、それを知った若い冒険者たちが文句というか、言いがかりをつけてきたのだという。

 彼らは最近橙のランクになったらしい。何度も討伐依頼を受けてようやく橙になったのだが、それに対しシェリーネが採取依頼のみ、しかも一人で依頼を受けて橙のランクに上がったことに、なんで採取依頼程度で自分たちのランクと同じランクになったんだ、と思っているらしい。

 別に採取依頼は討伐依頼と比べて簡単、というわけでもないのだが。別に採取だって危険がないわけでないし、必要な知識も多い。討伐依頼は確かに命懸けだが、採取依頼だって普通に命懸けになることは珍しくない。結局は自分たちが苦労したのになぜおまえは苦労していないのか、という感情的な理由なんだと思う。

 今までも何度かああいうふうに言われていたのだが、今回はアルツが邪魔に入った……という形になったらしい。別にアルツは依頼を見に来たら掲示板の前にいたからどけと言っただけらしいが。


「なんというか……」


 まあ、そういう面倒ごともあるだろう。巻き込まれる側はたまったものではないだろうが。


「なあ、ハルト。採取依頼の何が問題なんだ?」

「……採取依頼は危険がない、安全で楽な仕事って考える人間もいるって話だよ」

「ふーん」


 それなら自分が選んでやればいいって話なんだけどな。まあ、実際は理解しているだろう。言いがかりをつけるための口実みたいなもんだ。


「……ところで、その手に持っているのは?」

「あ、これ持ってきちゃった……」


 どうやら受けるかどうかを考えている所に突っかかれたせいでここまで持ってきてしまったようだ。内容を見てみる。


「……川辺での採取? でもこれランクが橙になってるな」


 この街の南方を流れる川での採取依頼だ。だが、橙になっているのが謎だ。それほど危険はないはずだが。


「あ、えっと、実は今川を牛呑みが下ってきているらしいんです」

「牛呑みが?」


 牛呑み。名前の通り、牛を呑みこむほど大きい、鰐だ。


「…なんだそれ?」

「牛を呑みこむほどでかい大鰐だよ。本来なら王都方面にいるんだけどな」


 南下してきたのだろう。牛呑みは魔窟から生まれる魔物で確認された時点で討伐されるはずだが、掻い潜ったのがいたのだろう。だが、この辺まで来るとは相当だ。


「へえ」


 アルツは軽い返事をしているが、すごくうれしそうな響きを含んでいる。ああ、大きい鰐だから強そうだもんな。


「なあ、その依頼受けないのか?」

「え?」

「なんなら俺たちが手伝うぞ!」


 ああ、勝手に決めるな、アルツよ。多分言っても聞かないから受けるしかないだろうけど。


「え!? で、でも受けるって決めてなくて」

「受けようぜ! 手伝うからさ!」

「そ、その、えっと……」


 シェリーネがこちらに助けてほしそうに視線を向けてくる。


「諦めなさい。アルツは一度決めたら最後まで貫き通すタイプだから。アルツ、手伝うのはいいけどこの子はちゃんと守るんだぞ」

「おう!」


 大丈夫かな。不安はあるけど。


「ええっ!?」

「よし、依頼を受けるぞ!」

「ああっ! 待って、止まって下さい!」


 強引な。せめてもう少しゆっくり連れて行きなさい。


「さて、どうせだし牛呑みの討伐依頼も見てくるか」


 恐らくだが、採取依頼が橙に上げられているのだから、討伐依頼もあるはずだ。多分アルツが倒したがるはずだから受けておいた方がいいだろう。討伐は事後処理でも問題ないが、素材の問題もあるしな。

 掲示板を見て依頼を探してたところ 牛呑みの依頼のランクは橙。俺たちのランクの茶より一つ上になるが、一応一つ上のランクまでは受けられる。

 かかっていた討伐依頼を持っていき、受理した。シェリーネと俺たちはチームを組んでいないため、依頼の受理がちょっと大変だった。とりあえず共同での依頼遂行という形になった。

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